硝煙にキスを

罪架風理。

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「――くそが!」
 帝都に帰還する軍車両のなかで、腕の痛みに――いや、リズィーにやられたことに奥歯を噛み締めた。
 あの女、ことごとくこの俺をあしらい続けやがった。たかが野良猫のくせに、女のくせに、この俺を!
「この借りは絶対に返してやるぞ、リズィー!」
「スコット隊長!」
 部下が叫んだ。何かと思ったその瞬間に目の前で爆発。突然の熱と衝撃をよそに、浮遊感が俺を襲う。間髪入れずに落下、洗われるように転がされた。車両が爆発し、放り出された……?
「くっ、何が……。おい、誰か助けろ!」
 痛みに苦しみながら片腕で隊員を呼んだ。手を借りて立つと発砲音。入れ替わるように隊員が倒れ……?
 残っていた隊員が次々と殺されていく。一体何が、
「――腕の調子はどう、スコット」
「……リズィー……」
 馬の上からこちらを見下ろす女。こいつ、馬を見付けてきたというのか……!
「くそが、なんでそんな都合良く……!」
「私には、運命の女神がついている」
 ……は?
「あなたがお人形にしている腐れ神ではない、本当の神様よ」
 小銃を捨て、馬から降りたリズィー。手にした大型拳銃に弾倉を挿し込み、こちらに突き出した。
「ねぇスコット。ひとつ言い忘れていたんだけど」
 今さら何を……。
「おっさんが気付いていたという話はしたけど、そのときはまだ、私は気付いていなかったの」
「……スロートマイクの扱いが慣れていたんだろ」
 いいや、と首を振る。
「そんなの、研究で使っているかもしれないじゃない。私が気付いたのはそこじゃない。……帝都を出る前、煙草を吸っている私に向けた視線よ」
 視線、だと?
「あなた、お喋りなのよ。女というカテゴリーで私を見たでしょ。その時点で妹のために動くような男ではないって分かったわ。女は細かいところを見ているものよ。お馬鹿なあなたよりか、ね」
「――くそがァ!」
 激昂。俺はリズィーの銃口を払うと倒れている隊員に飛び付いた。そして銃を引き抜き――
「――」
 何もかも馬鹿にしてくるこいつが、最初から嫌いだった。なのに常にふざけた口を利きやがる。女のくせに、こいつは――
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