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第2章 異世界(トゥートゥート)
04. ツンデレな小鳥
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教会へ向かう馬車の中、俺は窓を流れる景色の中から、飲食店やカフェで食事する人々を見ては羨ましい気持ちで一杯になっていた。
昔は俺もこんな風に、街の中で気軽に食事をしていたものだ。
庶民街の安くてボリュームのあるメニューは、屋敷ではなかなか再現出来ない大雑把で豪快な旨さがある。
あぁ、思い出したら食いたくなってきた。
後でこっそり食べに行くか。
そう考えていると突然、景色を眺めていた目の前の窓をカーテンで勢いよくシャッと閉められてしまう。
「スノウ様!そんな物憂げな表情で外を眺めていらしたら、なんだか私・・・お嬢様が誰かに連れて行かれてしまうのではないかと不安になるのです!」
向かい側に座る、付き添いメイドのマーガレットが悲壮な顔をして言う。
いったい何のことを話しているのか?
時々こうして様子のおかしくなる専属メイドは、黄色味の強いブロンドヘアにソバカスが可愛らしい健康的な娘だ。
「・・・。マーガレット、どうしたの?急に・・・。」
まさか、俺がこっそり街の食堂へ行こうとしていたのがバレたのか!?
だったら見逃してはくれないだろうか・・・もう半年はあの味から遠ざかっているのだ。
俺は知らず、請うような視線を向けていた。
「・・・っ!!?、ですからっ!そのような可愛らしい顔なさらないでください!!普段、神秘的で儚げなお嬢様が時折見せるその隙だらけの表情!!そのギャップでどれだけの人を堪らない気持ちにさせているのかっ・・くっ、いつになったら理解してくれるのです!もうっ、いい加減自覚してください!!」
興奮気味にまくし立てるマーガレット。
つまり、だらしのない表情を人に晒すなと言う事だろうか?
ブラッドといい、マーガレットといい、俺には理解できないことをよく言ってくるが、なかなか手厳しい。
そういえば最近、新しい恋愛小説にハマっていると言っていた。
感受性豊かな彼女の事だ、また変な影響を受けているのだろう。
そう思っていると、外からドアをトントンとノックする音が聞こえた。
気付けば、馬車は停まっている。
「着いたみたいね。」
いつも通り、教会近くの大通りで降ろしてもらうと、マーガレットが御者に運賃の支払いをする。
公爵家の馬車では仰々しくて、かえって悪目立ちしてしまうため、ここへ来るときは辻馬車を利用していた。
何気なく賑わう街の風景を見ていると、すぐ側から少年の声が俺を一喝する。
「おいっ!何勝手に馬車なんか乗ってんだよ!」
聞き慣れたその声は、この辺に住む顔見知りの少年だった。
淡い柔らかそうな栗色の短髪に、まだあどけないりんご色の頬をした10歳くらいの利かん坊。
「赤髪のくせに、生意気なんだよ!! 」
これは、顔を合わせる度に言われる決まり文句だ。
すっかり耳ダコになっている。
「ジャック、お使い?偉いわね。」
昔の幸希を思い出し、微笑ましくて笑っていえば、それを見たジャックが耳まで赤くして視線を逸らす。
「そんなんじゃねぇよっ。」
片手に人参やカブの入った袋を提げて、明らかに買い物帰りだというのにそれを否定する。
素直じゃないところがまた可愛い。
「お前、今日もうちに来ないのかよ・・・か、勘違いするなよ!父ちゃんと母ちゃんがたまには顔を見たいって、そう言ってたんだ!俺はお前の顔なんか見たくねぇんだかんな!」
一瞬、前世で構って来ては悪戯していく小鳥たちとジャックの姿が重なった。
そう言えば、クリクリとしたつぶらな瞳が似ている。
「う~ん、行きたいところなんだけど、如何せんマーガレットを説得しないと・・・。」
さっきの様子では、俺の企みに気づいている可能性がある。
さて・・・、どう説得しようか。
「お前・・・、変わったな。昔はしょっちゅう来てたくせにっ。やっぱりお貴族様ともなればウチの味は口に合わないってか!?聞いた俺が馬鹿だったよ!!」
そう言って走って行ってしまうジャック。
ジャックの家は、大衆食堂を営んでいる。
この街に住んでいた時、俺は頻繁にその食堂に通っていた。
なにせ、値段の安さに比べ量が格段に多いのだ。
もちろん味だって他の店に引けを取らない。
「お嬢様、気にすることありませんよ。あの小僧はお嬢様の気を引きたいだけですから。」
支払いを終えたマーガレットが俺の隣に立って、人波に消えていくジャックを見て冷めた口調で言う。
「マーガレット、今日行っちゃダメかしら?思い出したらどうしても食べたくなってしまったの。ね?お願い。」
もうここは、正攻法で行くことにする。
真っ直ぐに懇願しよう。
俺は食堂の飯に有り付きたいという思いを全身全霊に込めてマーガレットを見つめた。
「グホッ・・・!!」
突然奇声を上げ、たじろいだ様子のマーガレットが何かに耐えるように肩で息をしだす。
「くっ・・・ふっ・・・・。仕方がないですね・・・。今日だけ・・、特別ですよ!門限までには必ず帰りますからね!」
「マーガレット!!」
「あぁっ、もう!!こんなところで、そんな笑顔の大盤振る舞いしないでください!誰が見ているかわからないのですから!」
マーガレットの手を両手で掴んで、「ありがとう!」とブンブン振る俺を、彼女が顔を真っ赤にして嗜める。
いけね、また淑女らしからぬ行動をしてしまった。
仮にもお嬢様なのだから、気を付けなければ。
「勝手にお一人で食べに行かれるよりはましです!お嬢様は隙を突いては抜け出すのが得意ですからね。全く・・・人が宜しいのですから。あんな小僧の事なんかほっとけば良いのに・・・。」
今日の食事で頭が一杯な俺は、マーガレットの小言など全く耳に入っていなかった。
昔は俺もこんな風に、街の中で気軽に食事をしていたものだ。
庶民街の安くてボリュームのあるメニューは、屋敷ではなかなか再現出来ない大雑把で豪快な旨さがある。
あぁ、思い出したら食いたくなってきた。
後でこっそり食べに行くか。
そう考えていると突然、景色を眺めていた目の前の窓をカーテンで勢いよくシャッと閉められてしまう。
「スノウ様!そんな物憂げな表情で外を眺めていらしたら、なんだか私・・・お嬢様が誰かに連れて行かれてしまうのではないかと不安になるのです!」
向かい側に座る、付き添いメイドのマーガレットが悲壮な顔をして言う。
いったい何のことを話しているのか?
時々こうして様子のおかしくなる専属メイドは、黄色味の強いブロンドヘアにソバカスが可愛らしい健康的な娘だ。
「・・・。マーガレット、どうしたの?急に・・・。」
まさか、俺がこっそり街の食堂へ行こうとしていたのがバレたのか!?
だったら見逃してはくれないだろうか・・・もう半年はあの味から遠ざかっているのだ。
俺は知らず、請うような視線を向けていた。
「・・・っ!!?、ですからっ!そのような可愛らしい顔なさらないでください!!普段、神秘的で儚げなお嬢様が時折見せるその隙だらけの表情!!そのギャップでどれだけの人を堪らない気持ちにさせているのかっ・・くっ、いつになったら理解してくれるのです!もうっ、いい加減自覚してください!!」
興奮気味にまくし立てるマーガレット。
つまり、だらしのない表情を人に晒すなと言う事だろうか?
ブラッドといい、マーガレットといい、俺には理解できないことをよく言ってくるが、なかなか手厳しい。
そういえば最近、新しい恋愛小説にハマっていると言っていた。
感受性豊かな彼女の事だ、また変な影響を受けているのだろう。
そう思っていると、外からドアをトントンとノックする音が聞こえた。
気付けば、馬車は停まっている。
「着いたみたいね。」
いつも通り、教会近くの大通りで降ろしてもらうと、マーガレットが御者に運賃の支払いをする。
公爵家の馬車では仰々しくて、かえって悪目立ちしてしまうため、ここへ来るときは辻馬車を利用していた。
何気なく賑わう街の風景を見ていると、すぐ側から少年の声が俺を一喝する。
「おいっ!何勝手に馬車なんか乗ってんだよ!」
聞き慣れたその声は、この辺に住む顔見知りの少年だった。
淡い柔らかそうな栗色の短髪に、まだあどけないりんご色の頬をした10歳くらいの利かん坊。
「赤髪のくせに、生意気なんだよ!! 」
これは、顔を合わせる度に言われる決まり文句だ。
すっかり耳ダコになっている。
「ジャック、お使い?偉いわね。」
昔の幸希を思い出し、微笑ましくて笑っていえば、それを見たジャックが耳まで赤くして視線を逸らす。
「そんなんじゃねぇよっ。」
片手に人参やカブの入った袋を提げて、明らかに買い物帰りだというのにそれを否定する。
素直じゃないところがまた可愛い。
「お前、今日もうちに来ないのかよ・・・か、勘違いするなよ!父ちゃんと母ちゃんがたまには顔を見たいって、そう言ってたんだ!俺はお前の顔なんか見たくねぇんだかんな!」
一瞬、前世で構って来ては悪戯していく小鳥たちとジャックの姿が重なった。
そう言えば、クリクリとしたつぶらな瞳が似ている。
「う~ん、行きたいところなんだけど、如何せんマーガレットを説得しないと・・・。」
さっきの様子では、俺の企みに気づいている可能性がある。
さて・・・、どう説得しようか。
「お前・・・、変わったな。昔はしょっちゅう来てたくせにっ。やっぱりお貴族様ともなればウチの味は口に合わないってか!?聞いた俺が馬鹿だったよ!!」
そう言って走って行ってしまうジャック。
ジャックの家は、大衆食堂を営んでいる。
この街に住んでいた時、俺は頻繁にその食堂に通っていた。
なにせ、値段の安さに比べ量が格段に多いのだ。
もちろん味だって他の店に引けを取らない。
「お嬢様、気にすることありませんよ。あの小僧はお嬢様の気を引きたいだけですから。」
支払いを終えたマーガレットが俺の隣に立って、人波に消えていくジャックを見て冷めた口調で言う。
「マーガレット、今日行っちゃダメかしら?思い出したらどうしても食べたくなってしまったの。ね?お願い。」
もうここは、正攻法で行くことにする。
真っ直ぐに懇願しよう。
俺は食堂の飯に有り付きたいという思いを全身全霊に込めてマーガレットを見つめた。
「グホッ・・・!!」
突然奇声を上げ、たじろいだ様子のマーガレットが何かに耐えるように肩で息をしだす。
「くっ・・・ふっ・・・・。仕方がないですね・・・。今日だけ・・、特別ですよ!門限までには必ず帰りますからね!」
「マーガレット!!」
「あぁっ、もう!!こんなところで、そんな笑顔の大盤振る舞いしないでください!誰が見ているかわからないのですから!」
マーガレットの手を両手で掴んで、「ありがとう!」とブンブン振る俺を、彼女が顔を真っ赤にして嗜める。
いけね、また淑女らしからぬ行動をしてしまった。
仮にもお嬢様なのだから、気を付けなければ。
「勝手にお一人で食べに行かれるよりはましです!お嬢様は隙を突いては抜け出すのが得意ですからね。全く・・・人が宜しいのですから。あんな小僧の事なんかほっとけば良いのに・・・。」
今日の食事で頭が一杯な俺は、マーガレットの小言など全く耳に入っていなかった。
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