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第2章 異世界(トゥートゥート)
05. 教会の名前はペンテン教
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トゥートゥート王国。
南北を海に面した貿易業の盛んなこの国は、平坦な地形に、肥沃な大地と、比較的寒暖差の少ない気候によって、世界有数の農業大国でもある。
庶民の暮らしは、他国に比べ豊かではあるが、貿易や商業の発展により裕福な人々がいる一方、低所得者との格差は広がっていた。
生活レベルは、まだ電気が日常生活に取り入れられていない18世紀のヨーロッパぐらいだろうか?
ここ、王都であるオインクの城下街は、街人をはじめ観光や貿易商でやってくる外国人など、様々な人々で賑わっていた。
庶民街に出るときは、俺もマーガレットも街の人たちが着ているカジュアルな服装で出かける。
ヨーロッパの民族衣装のような、白いブラウスにベスト、足首ほどまであるスカートにエプロンを結び、足元にはブーツを履いていた。
街の人々の服には、花や鳥などの刺繍が施され、色合いもカラフルでおしゃれだ。
人それぞれ、好みの柄や色を着て、その華やかさは見ているこっちまで楽しくなる。
貴族は流行なのか、落ち着いた色合いのシンプルなデザインを好む。
その代わり、レースや生地は良質な高級品をふんだんに使うのだが。
今日の俺は淡い若草色のスカートに、赤い小さなストックの花の刺繍が入ったベストだ。
マーガレットはパステルピンクのスカートに、春の様々な花と小鳥の刺繍が入ったベスト。
「よく似合ってる」と俺が言うと、「私より似合っているスノウ様に言われたくありません!」と顔を赤くして怒られてしまった。
乙女心は複雑だ。
「食堂って・・・あのむさ苦しいところでしょ?」
誰もいないのを見計らって、チャタが話しかけてきた。
ここは教会の裏にある小さな農園。
そこには、聖職者や保護された孤児たちを賄うため、野菜や果物、薬草などが育てられている。
マーガレットがお菓子やおもちゃなどを寄贈しに行っている間、俺は農園の手入れをしていた。
「僕、あそこは苦手だよ。酔っ払いだらけで騒がしいじゃないか。」
「明るいうちから飲んでいる人はそんなにいないわよ?行くとしても門限があるから、遅くなることもないし。」
「あそこ、酒のつまみは沢山あるけど、デザートがないんだよね。」
本音はそれか。
「確か、いつもは女将さんが特別にパウンドケーキを焼いてくれてたのよね。」
「今日も作ってくれるかな!?」
「急だからなぁ・・・、う~ん、聞いてみる。」
「・・・ッ!!頼んだよ!」
チャタが目を爛々と輝かせて、しゃがんで作業する俺の膝に乗り上げてくる。
エプロンに土がべったりと付いた。
俺はいいけど、後でマーガレットの小言が怖い。
汚れてもいいのがエプロンのはずだが・・・。
「スノウ。ここにいたのですね。」
振り返ると、裏口から教会の責任者であるギャビンがこっちに向かって歩いているところだった。
「来ていたのなら、書斎に顔を出してくれればいいのに。私だってお茶くらい出しますよ?」
俺は、手に付いた土をエプロンで払いながら立ち上がる。
「ごめんなさい。そろそろ剪定する時期と思いまして、農園が気になって見ていたんです。」
昨日も一昨日も来ていたんだ。
いちいち挨拶に行くのなんて面倒じゃないか。
「それはご苦労様です。あなたが来てくれてから、ここの農園はいつも生き生きとしていますよ。植物の病が流行った時は、どうなるかと思いましたけれど。」
今は公爵家の寄付によって多少ゆとりがあるが、俺がいた頃は孤児の数が多いという事もあり常にカツカツの状態であった。
当時この農園で作物が取れなくなるというのは、かなりの死活問題だったのだ。
「スノウ・・・。その、新しい生活はどうですか?レッドモア公爵は良くしてくれていますか?」
太陽の光を浴び透けるような美しいクリームブロンドを、耳にかからない程度に短く切り真っ白な聖職服を着たギャビンは、いつも清潔感を漂わせる爽やかな好青年だ。
人に警戒心を与えないその柔和な物腰と微笑みは、子供達や信者の心を掴みとても親しまれていた。
若くして王都オインクの教会責任者になるのだから、相当優秀なんだろう。
「はい。私には過分なほど良くして貰っています。」
「そうですか・・・。」
どこか気遣わしげな様子のギャビン。
俺は、なんだ?どうした?と首をかしげる。
「・・・・っ!ス、スノウ!!」
突然ギャビンが俺の両手を握り締めて来た。
だいぶ挙動不審だ。
「そのっ・・困ったことがあったら遠慮せず何でも言うのですよ!あなたの髪色では、貴族社会で苦労も多いでしょう!辛くなったらいつでも帰って来なさい!ここは、あなたの家でもあるのですから。」
実は、この世界で赤毛は珍しい。
いない訳ではないが、俺も今まで1人、2人見かけた程度だ。
前世で赤毛に対する差別の話は聞いたことがあるが、この世界でも赤毛は差別の対象となっていた。
特にそれは貴族の世界で顕著で、その理由は貴族に赤毛がいないからと言う、すっげぇくだらねぇ理由からだ。
赤毛は庶民の象徴であり、血統をこよなく重視する貴族からすると不吉な存在らしい。
実際、貴族のご婦人に俺をまるで汚らわしい物のように、あからさまに避けられたことがある。
ここまで来ると、なかなか滑稽だったりするんだが。
「いつもご配慮感謝しています。」
そう言って微笑むと、俺の手を包んでいたギャビンの手がビクリと揺れた。
「でも、公爵家の皆さんはとても親切にして下さいますし、こうやって教会を訪れる事も許して下さっているので私自身、何の不安も心配もないんですよ?」
門限や、拘束は多少厳しいがな。
そこは上手くやるしかない。
「それに、私ももうすぐ15になりますから、もう教会のお世話になる訳にはいきませんわ。その時はどこか働き口を見つけるつもりです。」
教会が子供達の面倒を見るのは13歳までだ。
14歳になったら自立して、大抵はどこか住み込みで働くこととなる。
「・・・スノウ・・・その、君さえ良ければ・・・その・・・」
今日のギャビンは何だか歯切れが悪い。
具合でも悪いのだろうか?
そう思えば、心なしか顔が熱っぽいような。
大丈夫だろうかと様子を窺っていると、何やらモゴモゴ言っていたギャビンが、意を決したように俺を見る。
「スノウ・・・。ひとつ考えておいて欲しい事があるのです。もしあなたさえ許してくれるのであれば、私はあなたが16になった時に、あなたを私の妻・・・・」
「スノーーーー!!!!!」
あなたが、とか私は、とか良く要領の掴めない話だなとぼんやり聞いていた俺は、教会の建物から駆け足でやって来る子供達の姿に目を向ける。
「スノー!見てこれ!!くまちゃん貰ったの!!」
「私はこれ!うさちゃん!!かわいいでしょ?」
4歳と5歳になる女の子、デイジーとパメラが嬉しそうにぬいぐるみを見せに来た。
「本当、可愛いわね。お名前はあるのかしら?」
「んとね、この子はドゴルバー マッスル!」
「うさちゃんはね、ゴージャス ベルベット ゴールドマン!」
独特なネーミングセンスだな。
「こらこら、お前たち。先にスノウにお礼を言わなければ駄目ですよ。それはスノウが持って来てくれたものですからね。」
何だかさっきより憔悴した様子のギャビンが、子供達を促す。
「「ありがとうっ!スノウ!!」」
正確には、公爵家からだがな。
まぁいい、この笑顔を見るのは実際に教会へ来た俺の特権だ。
あぁ、かわいい。
俺は抱きつく2人を、思いっきり抱き返した。
後ろでは、ギャビンがまた何やらボソボソ言っている。
「くっ・・うらやま・・・じゃないっ!・・・おお神よ!私をお許し下さい・・・。」
勝手に祈り始めたギャビンを置いて、俺は子供達とチャタと一緒にマーガレットの元へと向かった。
南北を海に面した貿易業の盛んなこの国は、平坦な地形に、肥沃な大地と、比較的寒暖差の少ない気候によって、世界有数の農業大国でもある。
庶民の暮らしは、他国に比べ豊かではあるが、貿易や商業の発展により裕福な人々がいる一方、低所得者との格差は広がっていた。
生活レベルは、まだ電気が日常生活に取り入れられていない18世紀のヨーロッパぐらいだろうか?
ここ、王都であるオインクの城下街は、街人をはじめ観光や貿易商でやってくる外国人など、様々な人々で賑わっていた。
庶民街に出るときは、俺もマーガレットも街の人たちが着ているカジュアルな服装で出かける。
ヨーロッパの民族衣装のような、白いブラウスにベスト、足首ほどまであるスカートにエプロンを結び、足元にはブーツを履いていた。
街の人々の服には、花や鳥などの刺繍が施され、色合いもカラフルでおしゃれだ。
人それぞれ、好みの柄や色を着て、その華やかさは見ているこっちまで楽しくなる。
貴族は流行なのか、落ち着いた色合いのシンプルなデザインを好む。
その代わり、レースや生地は良質な高級品をふんだんに使うのだが。
今日の俺は淡い若草色のスカートに、赤い小さなストックの花の刺繍が入ったベストだ。
マーガレットはパステルピンクのスカートに、春の様々な花と小鳥の刺繍が入ったベスト。
「よく似合ってる」と俺が言うと、「私より似合っているスノウ様に言われたくありません!」と顔を赤くして怒られてしまった。
乙女心は複雑だ。
「食堂って・・・あのむさ苦しいところでしょ?」
誰もいないのを見計らって、チャタが話しかけてきた。
ここは教会の裏にある小さな農園。
そこには、聖職者や保護された孤児たちを賄うため、野菜や果物、薬草などが育てられている。
マーガレットがお菓子やおもちゃなどを寄贈しに行っている間、俺は農園の手入れをしていた。
「僕、あそこは苦手だよ。酔っ払いだらけで騒がしいじゃないか。」
「明るいうちから飲んでいる人はそんなにいないわよ?行くとしても門限があるから、遅くなることもないし。」
「あそこ、酒のつまみは沢山あるけど、デザートがないんだよね。」
本音はそれか。
「確か、いつもは女将さんが特別にパウンドケーキを焼いてくれてたのよね。」
「今日も作ってくれるかな!?」
「急だからなぁ・・・、う~ん、聞いてみる。」
「・・・ッ!!頼んだよ!」
チャタが目を爛々と輝かせて、しゃがんで作業する俺の膝に乗り上げてくる。
エプロンに土がべったりと付いた。
俺はいいけど、後でマーガレットの小言が怖い。
汚れてもいいのがエプロンのはずだが・・・。
「スノウ。ここにいたのですね。」
振り返ると、裏口から教会の責任者であるギャビンがこっちに向かって歩いているところだった。
「来ていたのなら、書斎に顔を出してくれればいいのに。私だってお茶くらい出しますよ?」
俺は、手に付いた土をエプロンで払いながら立ち上がる。
「ごめんなさい。そろそろ剪定する時期と思いまして、農園が気になって見ていたんです。」
昨日も一昨日も来ていたんだ。
いちいち挨拶に行くのなんて面倒じゃないか。
「それはご苦労様です。あなたが来てくれてから、ここの農園はいつも生き生きとしていますよ。植物の病が流行った時は、どうなるかと思いましたけれど。」
今は公爵家の寄付によって多少ゆとりがあるが、俺がいた頃は孤児の数が多いという事もあり常にカツカツの状態であった。
当時この農園で作物が取れなくなるというのは、かなりの死活問題だったのだ。
「スノウ・・・。その、新しい生活はどうですか?レッドモア公爵は良くしてくれていますか?」
太陽の光を浴び透けるような美しいクリームブロンドを、耳にかからない程度に短く切り真っ白な聖職服を着たギャビンは、いつも清潔感を漂わせる爽やかな好青年だ。
人に警戒心を与えないその柔和な物腰と微笑みは、子供達や信者の心を掴みとても親しまれていた。
若くして王都オインクの教会責任者になるのだから、相当優秀なんだろう。
「はい。私には過分なほど良くして貰っています。」
「そうですか・・・。」
どこか気遣わしげな様子のギャビン。
俺は、なんだ?どうした?と首をかしげる。
「・・・・っ!ス、スノウ!!」
突然ギャビンが俺の両手を握り締めて来た。
だいぶ挙動不審だ。
「そのっ・・困ったことがあったら遠慮せず何でも言うのですよ!あなたの髪色では、貴族社会で苦労も多いでしょう!辛くなったらいつでも帰って来なさい!ここは、あなたの家でもあるのですから。」
実は、この世界で赤毛は珍しい。
いない訳ではないが、俺も今まで1人、2人見かけた程度だ。
前世で赤毛に対する差別の話は聞いたことがあるが、この世界でも赤毛は差別の対象となっていた。
特にそれは貴族の世界で顕著で、その理由は貴族に赤毛がいないからと言う、すっげぇくだらねぇ理由からだ。
赤毛は庶民の象徴であり、血統をこよなく重視する貴族からすると不吉な存在らしい。
実際、貴族のご婦人に俺をまるで汚らわしい物のように、あからさまに避けられたことがある。
ここまで来ると、なかなか滑稽だったりするんだが。
「いつもご配慮感謝しています。」
そう言って微笑むと、俺の手を包んでいたギャビンの手がビクリと揺れた。
「でも、公爵家の皆さんはとても親切にして下さいますし、こうやって教会を訪れる事も許して下さっているので私自身、何の不安も心配もないんですよ?」
門限や、拘束は多少厳しいがな。
そこは上手くやるしかない。
「それに、私ももうすぐ15になりますから、もう教会のお世話になる訳にはいきませんわ。その時はどこか働き口を見つけるつもりです。」
教会が子供達の面倒を見るのは13歳までだ。
14歳になったら自立して、大抵はどこか住み込みで働くこととなる。
「・・・スノウ・・・その、君さえ良ければ・・・その・・・」
今日のギャビンは何だか歯切れが悪い。
具合でも悪いのだろうか?
そう思えば、心なしか顔が熱っぽいような。
大丈夫だろうかと様子を窺っていると、何やらモゴモゴ言っていたギャビンが、意を決したように俺を見る。
「スノウ・・・。ひとつ考えておいて欲しい事があるのです。もしあなたさえ許してくれるのであれば、私はあなたが16になった時に、あなたを私の妻・・・・」
「スノーーーー!!!!!」
あなたが、とか私は、とか良く要領の掴めない話だなとぼんやり聞いていた俺は、教会の建物から駆け足でやって来る子供達の姿に目を向ける。
「スノー!見てこれ!!くまちゃん貰ったの!!」
「私はこれ!うさちゃん!!かわいいでしょ?」
4歳と5歳になる女の子、デイジーとパメラが嬉しそうにぬいぐるみを見せに来た。
「本当、可愛いわね。お名前はあるのかしら?」
「んとね、この子はドゴルバー マッスル!」
「うさちゃんはね、ゴージャス ベルベット ゴールドマン!」
独特なネーミングセンスだな。
「こらこら、お前たち。先にスノウにお礼を言わなければ駄目ですよ。それはスノウが持って来てくれたものですからね。」
何だかさっきより憔悴した様子のギャビンが、子供達を促す。
「「ありがとうっ!スノウ!!」」
正確には、公爵家からだがな。
まぁいい、この笑顔を見るのは実際に教会へ来た俺の特権だ。
あぁ、かわいい。
俺は抱きつく2人を、思いっきり抱き返した。
後ろでは、ギャビンがまた何やらボソボソ言っている。
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