最後までして、鳴瀬さん! -甘党編集と金曜22時の恋愛レッスン-

紺原つむぎ

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■本編 (ヒロイン視点)

1-3

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「まさか先生、どこかのサイトで中傷を?」

 琴香はあわてて頭を振った。

「ち、違うんです! 私が読者さんの期待に、応えられてなかっただけで」
「期待、ですか」

「その……読者さんからご指摘いただいたところは、担当さんにも何度か修正を求められたところだなぁと……私だけが最後までわかってなかったんだなぁと、気づいてしまって。凹んでたところにちょうど、鳴瀬さんが」

「そうでしたか……先生、あんまり気になさらなくても」

「いえ、そうもいかないです。まだ次の作品も決まってないので……前々から実力不足を感じていたのもありまして。鳴瀬さんにもたくさんご指導いただいたのに、ほんと私……情けないったら」

 鳴瀬は「そんなことは」と言いつつ、スプーンを手にしたまましばらく無言になった。

「──先生、これから時間あります? 最近のエチプチ事情には明るくないっすけど、先生のことはそれなりにわかってるつもりですからね。ネーム見てもいいし、気分転換の雑談してもいいし」

「で、でも鳴瀬さん、お仕事中じゃ」
「打ち合わせ終わって直帰です。お気遣いなく」

 スマホを軽やかにタップして、鳴瀬は「これ」と画面を見せてきた。

「ここのホテル、最上階にもカフェがあるんですけど。パンケーキ食いません? 写真撮りたかったんすよ、資料になりそーだし。おかず系のパンケーキもありますよ。パフェのあとだし、それどうっすか?」

「わぁ素敵ですね。好きです、パンケーキ」
「ですよねー、俺もです。ちょい早い時間ですけど、夕飯にしちゃいましょ」

 じゃ決まり、と。
 とんとん拍子に話が進み、立ち上がった鳴瀬を追って琴香も慌てて席を立った。

(……さっきまではあんなに苦しかったのに)

 鳴瀬さんと話せてよかった。
 そう思うのと同時に、頼るとしたらやっぱりこの人しかいないと、琴香は静かに心を決めたのだった。
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