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<17・暗雲。>
恐らく、自分はきっかけを与えたに過ぎないのだろう。
物語を作って、それに基づいて召喚獣を生み出す。オスカーに足らなかったのは単純に、どのような設定を作ればいいのかという発想、それを作りだすためのインプットに過ぎない。
だからエミルと一緒に色々な本を読んで経験を積めば、おのずと想像力も磨かれるのだ。
「その魔術師の名は、“カイネス”」
エミルはノートに書いた文章を朗読する。
「雷の国の魔術師で、雷の魔法を駆使して国を守ってきた偉大な魔術師。特にカイネスの場合は二つ名……“迅雷”の名を賜る魔術師で、王様の信頼も厚い。同時に忠誠心も高いが、女性に対応するのは苦手。男性ばかりの環境で育ってきた影響で、女性がどのようなことをすれば喜ぶとかがさっぱりわからず、女性を前にすると緊張してしまう。しかし、どのような状況においても魔法の腕はピカイチで、魔法を使った競技会でも高いスキルを誇る……」
魔法陣の上に置かれているのは、一枚の油絵だ。
長い銀髪に青い瞳の魔術師は美しく、若々しい。今回のモデルはオスカーの実父であるバイロンだった。オスカーいわく、“父は女性に対してかなり奥手で、モテるのにちっとも恋人ができなかった人なんですよね”とのこと。同時に、彼もまた雷系の魔法が得意であるというのも共通している。
魔法を使う時は、その青い瞳が金色に変わる。
細身で腕力はないが、身体能力そのものは高く、レイピアを使った戦闘も行うことができる。温厚で争いを好まない性格だが、いざ敵を前にすればその能力を存分に生かして容赦ない魔法戦を繰り広げる――と。
「それで……競技会っていうのが、射撃っぽいイメージなんですよね」
エミルは手で円を作りながら言った。
「こう、射撃の的みたいなものに対して、魔法で攻撃を加えると。それで正確に当てられた者が勝ち、みたいな?」
「わかりやすいですね。そして、競技会で優勝できるほどの腕前ならば、魔法のコントロールも得意であることでしょう。……それを再現できるかどうか、わたくしの腕にかかっているわけですが」
「オスカーならきっとできます!妖精もあれだけ顕現できるようになったし、本だってたくさん読んで勉強したではないですか!私が保証します、自信を持って!」
「で、でしたら……!」
自分が少し褒めるだけで、オスカーは頬を染めて嬉しそうな笑顔を見せてくれる。エミルとしてはそれだけで満たされた気持ちになるのだ。自分の言葉で喜んでくれる人がいる。お互いに一つの目的に向かって、共に仕事をこなすことができる。セックスはなくても、愛を確かめ合うことができる。
毎日毎日。彼と一緒にいると、嬉しいことを発見してばかりだ。
「それでは、参ります」
オスカーは絵の上で手を翳すと、小さく呪文を唱え始める。
「アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ……」
彼が魔法を唱えれば唱えるほど、彼の手から伸びた光が油絵を包み込んでいく。召喚魔法の呪文は、何語なのかさっぱりわからなかった。実は、オスカー自身にもわかっていないのだという。
召喚魔法をドラゴニストの血族以外が使えないのはそれも起因している。彼等は召喚魔法を使えるようになると同時に、独自の呪文が頭の中に浮かび上がってくるようになるのだそうだ。ドラゴンの古代語ではないかと言われているが、それもはっきりしない。そして、召喚を行うごとに魔法の言葉も変わる。エミルも、彼が妖精を召喚するごとに違う呪文を唱えているのを目撃している。
その呪文に、法則性はない。そして、恐らく個人によっても内容は変わる。ゆえに、仮に呪文を聞いていたところで、誰かがまったく同じ呪文を唱えても意味がないのだそうだ。
長らく引き継がれてきた召喚魔法だが、血と感覚によるものが大きいため、彼等自身にもわかっていないことが多いという。まったく不思議な話である。
「アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ……」
やがて、銀色の光とともに、絵の中から美しい魔術師が立ち上がった。彼は海のような青い瞳を開いてオスカーを見ると、はじめまして、と恭しく頭を下げてきたのである。
『我が名は迅雷の魔術師、カイネス。我が王、どうかご命令を』
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「やった、やりましたよエミル!」
「ええ、オスカー!やった、やった!」
妖精より遥かに強い精霊を作り出した自覚がある。これで失敗するようならば、もう一度段階を踏んで術の組み方から考えなければいけなかったところだ。
エミルは嬉しくて、オスカーと共に手を叩き合って喜んだ。自分達の魔法は、確実に進歩を遂げている。これならいずれ、北の大国に対抗するための究極魔法も完成するだろう。
「これならドラゴンを呼び出せるようになる日も、近いですね!オスカー、あと少し、頑張りましょう!」
「ええ、もちろん。貴女と一緒なら、きっとできます」
エミルは、知らなかった。
明るく笑うオスカーが、ドラゴニスト家が――まさかあのような秘密を抱えていたなんてことは。
***
『拝啓お父様、お母様、カミル様。
皆さま、お元気でしょうか。私は相変わらず元気です。前回の手紙を見て驚きました。そちらはもう初雪が降ったのですね。ドラゴニスト王国のこの地方も、一週間後に雪の予報が出ています。
寒くなりそうです。どうか、コートなどをきっちり着込んでお出かけになってください。特にカミルは、自分は丈夫だからといってすぐ薄着で外に出て行ってしまうから心配です。それで去年は風邪をひいたこと、姉は忘れていないのですからね?貴方は元気がいっぱいだけれど、体はまだ未発達な子供だということを忘れないように。
お手紙にこのようなことを書くのは心苦しいのですが……皆さんは、ニュースは見られましたでしょうか。
北の大国が、フェアリスト共和国に進攻しました。フェアリスト共和国は小さな国ですが、豊富な地下資源があることで有名です。大国のたびかさなる非人道的行動に、かの国の大統領が怒りを露わにしていたのは記憶に新しいこと。それで経済制裁を行ったので、恐らく半分は報復目的でしょう。
同時に、フェアリスト共和国の地下資源を手に入れて、ますます軍事力を強化しようとしているのがわかります。
歴史の授業で私もいろいろと学んできました。そもそも北の大国が侵略を繰り返すようになったのは、南の温かい土地が欲しかったからなのだと。確かに、北の大地は寒く、凍り付いていて人が住めない土地が大半を占めています。南の資源豊富で、人が快適に過ごせるような街や国が欲しいと考えるのはわからないことではありません。
しかしだからといって、戦争を仕掛け、力づくで奪い取ることが何故正義と言えるのでしょうか?何故平和的に援助を求めることができないのでしょうか?
しかもかの国は、過去侵略した国々の扱いが酷いことでも有名です。自分達の大総統こそが現人神だと、そう信じるようにと植民地の人々に強制していると聞いています。本来その国の人々が持っていた宗教や文化を無理やり捨てさせ、大総統を敬うように言うのだと。かの国の聖書を押し付け、それを暗記できない者は鞭で折檻すると聞きました。
同時に、植民地の人々は皆最下級の身分に落とされ、当たり前のように搾取されるのだと。
ニュースで見て胸が痛くなりました。多くの人達が今日も苦しんでいます。
爆撃で両足が吹き飛んで、痛い痛いと泣いている子供がいました。
生きたまま戦車に踏みつぶされて、原型も留めなくなった男性の死体を見ました。
道端を歩いていただけでレイプされて、しかもそのままお腹を引き裂かれて全裸で捨てられた女性の死体も映されていました。
あんな暴虐が今、フェアリスト王国では行われている。断じて許されることではありません。しかも、我々もけして他人事ではないのです。
オスカーも、義父様たちも仰っておいでです。このままフェアリスト共和国が北の大国の手に落ちれば、次は間違いなく自分達の番だと。
オーガスト聖国と、ドラゴニスト王国は北の大国が欲しがる南の土地をたくさん持っている。資源もある。文化もある。そして、北の大国より明らかに軍事力で劣っている。……大統領や外交官の皆さまが必死で戦争を回避しようと交渉しているけれど、現状では相当厳しいということ。
つまり、戦争が近づいているのです。
私達がどれほど望まずとも、平和を願おうとも。そして無条件降伏などしようものならば、我々も今までの植民地と同じ末路が待っています。男も女も皆等しく蹂躙され、強姦され、人としての尊厳を踏みにじられて奴隷にされる。そのような未来しか、待っていない。
防ぐためには、抑止力が必要です。つまり、ドラゴニスト家が持っている究極召喚の力が。それを実際に行使せずとも、爆撃機が飛んできたらその力で報復するぞと脅すだけできっと意味はあることでしょう。
オスカー様は、必ず成し遂げるとおっしゃっています。偉大なドラゴンを呼び出し、この国を守るのだと。それが自分の天命なのだと。私はそれをお手伝いする義務があります。
どうか、見守っていてください。必ず、必ずエミルは成し遂げてみせます。
必ずオスカーは私たちの期待に応えてくれると、私はそう信じています。
だって私はあの方を、世界で一番愛しているのですから。
エミル・ドラゴニストより』
物語を作って、それに基づいて召喚獣を生み出す。オスカーに足らなかったのは単純に、どのような設定を作ればいいのかという発想、それを作りだすためのインプットに過ぎない。
だからエミルと一緒に色々な本を読んで経験を積めば、おのずと想像力も磨かれるのだ。
「その魔術師の名は、“カイネス”」
エミルはノートに書いた文章を朗読する。
「雷の国の魔術師で、雷の魔法を駆使して国を守ってきた偉大な魔術師。特にカイネスの場合は二つ名……“迅雷”の名を賜る魔術師で、王様の信頼も厚い。同時に忠誠心も高いが、女性に対応するのは苦手。男性ばかりの環境で育ってきた影響で、女性がどのようなことをすれば喜ぶとかがさっぱりわからず、女性を前にすると緊張してしまう。しかし、どのような状況においても魔法の腕はピカイチで、魔法を使った競技会でも高いスキルを誇る……」
魔法陣の上に置かれているのは、一枚の油絵だ。
長い銀髪に青い瞳の魔術師は美しく、若々しい。今回のモデルはオスカーの実父であるバイロンだった。オスカーいわく、“父は女性に対してかなり奥手で、モテるのにちっとも恋人ができなかった人なんですよね”とのこと。同時に、彼もまた雷系の魔法が得意であるというのも共通している。
魔法を使う時は、その青い瞳が金色に変わる。
細身で腕力はないが、身体能力そのものは高く、レイピアを使った戦闘も行うことができる。温厚で争いを好まない性格だが、いざ敵を前にすればその能力を存分に生かして容赦ない魔法戦を繰り広げる――と。
「それで……競技会っていうのが、射撃っぽいイメージなんですよね」
エミルは手で円を作りながら言った。
「こう、射撃の的みたいなものに対して、魔法で攻撃を加えると。それで正確に当てられた者が勝ち、みたいな?」
「わかりやすいですね。そして、競技会で優勝できるほどの腕前ならば、魔法のコントロールも得意であることでしょう。……それを再現できるかどうか、わたくしの腕にかかっているわけですが」
「オスカーならきっとできます!妖精もあれだけ顕現できるようになったし、本だってたくさん読んで勉強したではないですか!私が保証します、自信を持って!」
「で、でしたら……!」
自分が少し褒めるだけで、オスカーは頬を染めて嬉しそうな笑顔を見せてくれる。エミルとしてはそれだけで満たされた気持ちになるのだ。自分の言葉で喜んでくれる人がいる。お互いに一つの目的に向かって、共に仕事をこなすことができる。セックスはなくても、愛を確かめ合うことができる。
毎日毎日。彼と一緒にいると、嬉しいことを発見してばかりだ。
「それでは、参ります」
オスカーは絵の上で手を翳すと、小さく呪文を唱え始める。
「アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ……」
彼が魔法を唱えれば唱えるほど、彼の手から伸びた光が油絵を包み込んでいく。召喚魔法の呪文は、何語なのかさっぱりわからなかった。実は、オスカー自身にもわかっていないのだという。
召喚魔法をドラゴニストの血族以外が使えないのはそれも起因している。彼等は召喚魔法を使えるようになると同時に、独自の呪文が頭の中に浮かび上がってくるようになるのだそうだ。ドラゴンの古代語ではないかと言われているが、それもはっきりしない。そして、召喚を行うごとに魔法の言葉も変わる。エミルも、彼が妖精を召喚するごとに違う呪文を唱えているのを目撃している。
その呪文に、法則性はない。そして、恐らく個人によっても内容は変わる。ゆえに、仮に呪文を聞いていたところで、誰かがまったく同じ呪文を唱えても意味がないのだそうだ。
長らく引き継がれてきた召喚魔法だが、血と感覚によるものが大きいため、彼等自身にもわかっていないことが多いという。まったく不思議な話である。
「アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ。アルハトラズ、クルセウスラウ。マイテイリ、ラマ、アイサ、クルトーズ……」
やがて、銀色の光とともに、絵の中から美しい魔術師が立ち上がった。彼は海のような青い瞳を開いてオスカーを見ると、はじめまして、と恭しく頭を下げてきたのである。
『我が名は迅雷の魔術師、カイネス。我が王、どうかご命令を』
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「やった、やりましたよエミル!」
「ええ、オスカー!やった、やった!」
妖精より遥かに強い精霊を作り出した自覚がある。これで失敗するようならば、もう一度段階を踏んで術の組み方から考えなければいけなかったところだ。
エミルは嬉しくて、オスカーと共に手を叩き合って喜んだ。自分達の魔法は、確実に進歩を遂げている。これならいずれ、北の大国に対抗するための究極魔法も完成するだろう。
「これならドラゴンを呼び出せるようになる日も、近いですね!オスカー、あと少し、頑張りましょう!」
「ええ、もちろん。貴女と一緒なら、きっとできます」
エミルは、知らなかった。
明るく笑うオスカーが、ドラゴニスト家が――まさかあのような秘密を抱えていたなんてことは。
***
『拝啓お父様、お母様、カミル様。
皆さま、お元気でしょうか。私は相変わらず元気です。前回の手紙を見て驚きました。そちらはもう初雪が降ったのですね。ドラゴニスト王国のこの地方も、一週間後に雪の予報が出ています。
寒くなりそうです。どうか、コートなどをきっちり着込んでお出かけになってください。特にカミルは、自分は丈夫だからといってすぐ薄着で外に出て行ってしまうから心配です。それで去年は風邪をひいたこと、姉は忘れていないのですからね?貴方は元気がいっぱいだけれど、体はまだ未発達な子供だということを忘れないように。
お手紙にこのようなことを書くのは心苦しいのですが……皆さんは、ニュースは見られましたでしょうか。
北の大国が、フェアリスト共和国に進攻しました。フェアリスト共和国は小さな国ですが、豊富な地下資源があることで有名です。大国のたびかさなる非人道的行動に、かの国の大統領が怒りを露わにしていたのは記憶に新しいこと。それで経済制裁を行ったので、恐らく半分は報復目的でしょう。
同時に、フェアリスト共和国の地下資源を手に入れて、ますます軍事力を強化しようとしているのがわかります。
歴史の授業で私もいろいろと学んできました。そもそも北の大国が侵略を繰り返すようになったのは、南の温かい土地が欲しかったからなのだと。確かに、北の大地は寒く、凍り付いていて人が住めない土地が大半を占めています。南の資源豊富で、人が快適に過ごせるような街や国が欲しいと考えるのはわからないことではありません。
しかしだからといって、戦争を仕掛け、力づくで奪い取ることが何故正義と言えるのでしょうか?何故平和的に援助を求めることができないのでしょうか?
しかもかの国は、過去侵略した国々の扱いが酷いことでも有名です。自分達の大総統こそが現人神だと、そう信じるようにと植民地の人々に強制していると聞いています。本来その国の人々が持っていた宗教や文化を無理やり捨てさせ、大総統を敬うように言うのだと。かの国の聖書を押し付け、それを暗記できない者は鞭で折檻すると聞きました。
同時に、植民地の人々は皆最下級の身分に落とされ、当たり前のように搾取されるのだと。
ニュースで見て胸が痛くなりました。多くの人達が今日も苦しんでいます。
爆撃で両足が吹き飛んで、痛い痛いと泣いている子供がいました。
生きたまま戦車に踏みつぶされて、原型も留めなくなった男性の死体を見ました。
道端を歩いていただけでレイプされて、しかもそのままお腹を引き裂かれて全裸で捨てられた女性の死体も映されていました。
あんな暴虐が今、フェアリスト王国では行われている。断じて許されることではありません。しかも、我々もけして他人事ではないのです。
オスカーも、義父様たちも仰っておいでです。このままフェアリスト共和国が北の大国の手に落ちれば、次は間違いなく自分達の番だと。
オーガスト聖国と、ドラゴニスト王国は北の大国が欲しがる南の土地をたくさん持っている。資源もある。文化もある。そして、北の大国より明らかに軍事力で劣っている。……大統領や外交官の皆さまが必死で戦争を回避しようと交渉しているけれど、現状では相当厳しいということ。
つまり、戦争が近づいているのです。
私達がどれほど望まずとも、平和を願おうとも。そして無条件降伏などしようものならば、我々も今までの植民地と同じ末路が待っています。男も女も皆等しく蹂躙され、強姦され、人としての尊厳を踏みにじられて奴隷にされる。そのような未来しか、待っていない。
防ぐためには、抑止力が必要です。つまり、ドラゴニスト家が持っている究極召喚の力が。それを実際に行使せずとも、爆撃機が飛んできたらその力で報復するぞと脅すだけできっと意味はあることでしょう。
オスカー様は、必ず成し遂げるとおっしゃっています。偉大なドラゴンを呼び出し、この国を守るのだと。それが自分の天命なのだと。私はそれをお手伝いする義務があります。
どうか、見守っていてください。必ず、必ずエミルは成し遂げてみせます。
必ずオスカーは私たちの期待に応えてくれると、私はそう信じています。
だって私はあの方を、世界で一番愛しているのですから。
エミル・ドラゴニストより』
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