旅鉄からの手紙

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予讃線〜松山-宇和島〜

松山城から宇和島へ

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あの時の情けない四国一周の旅の中でさえもとても印象に残ったスポットがいくつかあったので記述して行こうと思う。青春18切符を使って東京から36時間くらいもかけて京都発で真夜中の瀬戸大橋を渡り四国に向かう夜行快速列車「ムーンライト高知」も含めていくつもの普通列車や快速列車を乗り継いで松山駅に着いた時は

「よく遥々やって来たなあ」

としみじみ思えた。JR線のみならず松山市駅を中心とした周辺地域には伊予鉄道が走っているし松山駅前から道後温泉までの市街地には路面電車も走っている。

松山駅からその路面電車に乗って道後温泉の近くにあるユースホステルに向かった。雨は降っていたが路面電車から見た松山城を中心とした街並みは「いで湯と城と文学のまち」らしく立派に見えた。俳句や短歌でお馴染みの正岡子規の出身地で司馬遼太郎の「坂の上の雲」や夏目漱石の代表作「坊ちゃん」など有名な小説を読むの舞台になるなどで文学の街として知られている。私はまだそれらの小説は読んでいないが正岡子規の故郷で有名な小説を読みながらもしくは読んだ後に舞台を辿る旅も面白そうである。

あの時松山に行って最初に驚いたのが、朝6時に道後温泉本館の開館を合図する威勢の良い太鼓の音を聞いた時であった。太鼓の音とともに当時日常生活では全く味わうことのなかった朝風呂に入った。朝風呂後しばらくしてから松山城に向かった。

松山城は松山藩の拠点として江戸時代初期に築城された。以来400年以上松山のシンボルで在り続けていると言える。天守閣が高く聳えるように建つ姫路城、熊本城、鶴ヶ城(会津)などとは一味違い、一番高い大天守でも三層でその隣に小天守や櫓と天守にあたる建物がいくつか横に広がるように連なっている独特な印象を受けた。市内の標高100mを超える小高い丘にあり天守閣からの眺めは本当に見事であった。しかもその年は冷夏と言われるくらい雨が多い中での貴重な晴れの中で見られたので、松山の市街地よりも遠目に望めた瀬戸内海がとても鮮やかなブルーであった。

友達の言いなりになって来た旅によって感じていたすっきりしない気持ちを忘れさせてくれるくらい素晴らしい景色であり、やっと旅の開放感に浸ることができた。

その気持ちは松山から宇和島へ向かう予讃線の中でも続いた。鉄道の旅で有名な絶景スポットとなっている海に最も近い駅の一つである下灘駅も含めて列車はそのまま宇和島までほぼ海沿いを走って行くのかと思いきや、伊予長浜からは肱川沿いを内陸の地域へと進んで行く。城下町として発展してきた大洲市、さらに九州の方向へ延びる佐田岬半島のつけ根付近に位置しで四国から九州への玄関口ともなっている八幡浜市を経由する。八幡浜から宇和島方面に向けてリアス式海岸による複雑な地形のためなのか列車は引き続き内陸の地域を抜けて行く。

外皮だけではなく中の皮も剥かないと食べづらい大きなみかんで「伊予柑」という名前をよく聞く。愛媛県と言えばみかんどころである。卯之町駅付近を中心とした西予市(旧宇和町)の市街地から法華津トンネルを抜けるとみかん畑もよく車窓に映るようになりみかんどころの愛媛県ならではの風情を列車の中でも味わえた。伊予吉田駅の辺りでは宇和島湾も望めた。この辺りは複雑な地形ではあるが温暖で海面からの照り返しも含めて日光がよく当たり砂地のために水はけが良く、おまけに海風が豊富なミネラルを運んでくれるのでみかんの栽培に適している。段々畑も含めて複雑な地形を成している山々でみかん畑を切り開いて行った先人達のご苦労も察せられる。
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