旅鉄からの手紙

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秋田内陸縦貫鉄道(秋田内陸線)

森吉山~アイスモンター達~

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阿仁合駅から明日の樹氷観賞とスキーに備えて森吉山麓の宿に泊まった。今回お世話になった宿は食事の味も良かったのみならず、阿仁合行き帰りの駅とスキー場のゴンドラ乗り場との送迎もしていただくなどおもてなしが良かった。

驚いたのが地元の方ではなく横浜出身の年配の女性の方一人中心に何人かのお手伝いの方々で切り盛りされている事であった。夏の高山植物の花々や秋の紅葉の見頃や我々も訪れた冬のスキーや樹氷など、予約がよく入る時季には秋田に来られて無い時期は横浜と行き来を繰り返しているという。この辺りではアルバイトをしてくる若者など人手が満足に集まらないのだろう。

国道から離れて森吉山麓のゴンドラに向かう送迎してくれた車の中から見た道路沿いの景色は、今回お世話になった宿も含めた2件のみの宿とゴンドラ乗り場スキー場以外周りは雪に覆われた多くの木々が生える山々以外は記憶にない。

マタギの方々はクマなどを授かる為にこれほどの深い山奥を歩き回るのかと思える程であった。これほどの山奥で宿の切り盛りをやる方はなかなか居ないのだという。

全国特に地方では需要があるのに若者など人手がなかなか集まらない地域があちこちにあるのではと改めて思えた。

まずはチェックインした夜に、スキー場にある圧雪車に乗ってスキー場の上にある森吉山の樹氷観賞スポットまで連れて行ってくれる「夜の樹氷観賞会」に参加した。山麓のスキー場ゴンドラ乗り場から樹氷観賞スポットまで30分くらい登って行く。

上に登って行くに連れて雪の勢いが強くなっていく。観賞スポットに着いて圧雪車から降りてみたが風雪が強くとても寒かった。圧雪車のヘッドライトによりライトアップされた樹氷が鮮やかであったのがとても印象に残った。

一緒に圧雪車に乗られていたガイドの方もおっしゃっていたが本当にこれが樹氷の出来る厳しい自然条件だと思えた。当時は寒くて辛いとも思ったが今思えば本当に貴重な思い出だ。一緒に連れて来た5歳の息子はゲレンデを登っている圧雪車の中で途中で眠ってしまった。スポットに着いた時に起こして1回外に連れ出してもあまりの寒さと風の強さで直ぐに中に戻ってしまい圧雪車の中から外に出ることが殆ど無く再び眠ってしまった。

それでも宿に戻って目が覚めた時にはよく頑張ってついて行ったと他のツアーの参加された方々からも褒められていた。

続いて翌日朝から昼過ぎまで森吉山のスキー場で息子と4~5時間くらいスキーを滑った。ゴンドラの山頂付近に斜度が丁度良いゲレンデが何本かあり息子もしっかりと滑れていた。霧が立ち込め雪が降り、風がとても冷たい悪天候の中でもスキーの合間に樹氷を見ることが出来た。

昨夜と同様に底冷えするような厳しい寒さではあったがほんの5~10分くらいではあったがゴンドラから遠目ながら樹氷が広がっている様子も見られたし樹氷のポイントからも霧が薄まった時にぼやけているような感じではあったが霧の中に遠くまで広がるいくつもの樹氷も見ることが出来た。

樹氷は日本海からの強い季節風に乗った水滴いわゆる過冷却水が木の葉にぶつかって凍って出来る。過冷却とは0度でも凍らずに衝撃を与えると一瞬のうちに氷になる状態でその衝撃を与えるのがアオモリトドマツの葉である。そのトドマツの葉に着いた氷に雪が積もる。それを繰り返しアイスモンスター(怪獣)のような樹氷が出来る。そのアイスモンスターのような樹氷が出来るのは次の条件が揃っているからである。

?冬でも葉をつけているアオモリトドマツ

?季節風がよく当たる山の西から北西の斜面

?雪が降りすぎない事

??はわかりやすく当てはまる地域は結構ありそうだが?はあまり雪が多過ぎてもアオモリトドマツが葉をつけなくなるからで雪が多過ぎず少な過ぎずという難しい条件がアイスモンスターのような樹氷を限られた地点でしか見られない珍しい現象にしているのだろう。

蔵王、八甲田、そしてここ森吉は日本三大樹氷と呼ばれている。樹氷が見られる事自体貴重であり天気が崩れなければアイスモンスターが山じゅうに広がるのが見えて、特に晴れていれば青空のもとでパラダイスのような景色が楽しめる。私は蔵王の坊平高原で青空の下に広がるいくつものアイスモンスターを見た事がある。

今回の私達が行った時のようにヒートテックも含めた防寒着に覆われた身体の芯まで冷やしてしまう程の冷たい風や雪が強い悪天候でもアイスモンスターが生成されるのに適した厳しい自然条件を体感出来る。

どちらにしても貴重な旅の思い出になる。

あの時の内陸線の冬旅は先述したように寒気がよく日本付近の上空に居座り、秋田県も含めた日本海側を中心に例年より雪が多い年に行けた。あまりの雪の多さや身体の芯まで冷やしてしまうような寒さにはびっくりしたが「マタギ語り」でお世話になったマタギの方やアイスモンスター、樹氷が生成されるのに適した悪天候や厳しい寒さの中で見られたなどの数々の旅の思い出が、一緒に行動した5歳の息子と共に何だか自然の美しさのみならず自然の厳しさを教えてくれた気がしている。それにより二人ともそれぞれまた一皮むけた感じがした。
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