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風流先生 曲と友達の思い出 小学校編
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風流先生 曲と友達の思い出 小学校編
登場人物
風流先生(58)
自宅の一室で生徒に勉強を教えてる塾講師。
高木結(ゆい)(20)
風流先生のところでアルバイトしている女子大生。
いつものように、先生は縁側に座って庭を見ていた。
授業が終わり、下に降りてきた私を見つけると笑顔で、
「今日からは、僕の印象に残ってる曲とその曲にまつわる友達の話をしよう」
と言った。
「まず、小学校編だ。1曲目は、ピンキーとキラーズの恋の季節、‘67年。これは、初めて買ったシングル。僕が初めて好きになった芸能人。悪いんだけどYoutubeで曲を検索してくれるかい」
「あ、はい」
私は、スマホを取り出した。
「あ、これですか」
YouTubeで恋の季節を検索するとすぐに見つかった。
「この真ん中の女の人がピンキーですか?」
「そう、今陽子さん。当時、ファンでねえ、部屋の洋服ダンスにレコードのジャケットを貼ったよ」
「先生この時いくつですか?」
「7歳、小2かな」
「ませてますね」
「耳コピしてピアノで弾いたりしてたな。当時、僕、習字習ってて、今陽子にちょっと似てる永安さんって女の子とよく遊んだんだ、ローラースケートを一緒にやったりして。その永安さんが、ある日習字に行ったら来てなくて、先生に、永安さんは?って聞いたら、引っ越したわよって、寂しかったよ」
「ですね」
「次は、ブルーコメッツのブルーシャトウ、‘67年」
「待ってくださいね」
私はスマホで曲を流した。
「これは隣の早川さんちの光ちゃんが、フルートの井上さんのファンだった。僕は当時よく光ちゃんのうちに遊びに行ってたんだけど、なぜか彼女を泣かしちゃうんだ。で、おばさんによく叱られたし、母親も光ちゃんのとこ行っちゃだめって言うんだけど、行ってたな」
「ありがちです」
「次は、ピーターの夜と朝の間に」
「わっ、めっちゃ美少年ですね」
「うちの左隣の家が光ちゃんちの早川さんで、右隣が当時は藤代さんって家族が住んでた。で、その藤代さんちには20代の三人の娘さんがいて、上からさっちゃん、みっちゃん、みみちゃん、そのみみちゃんが好きだったのがこの曲」
縁側にピーターの『夜と朝の間に』が流れた。
「何ていうか、低音の耳に残る歌声ですね」
「藤代さんの家にはステレオがあって、よく聞かせてもらったなあ、当時の歌謡曲を」
「先生の原体験ですね」
「あと、僕のことすごくかわいがってくれて、4人で一緒にお風呂に入ったりした」
「わおw」
「次は何ですか?」
「この曲」
と、先生はスマホを検索した。
「伊東ゆかりの小指の思い出。この伊東ゆかりを僕のお父さんが好きだった。そう言われて見ると、うちの母親と同系列の顔立ちと言えなくもないな」
「お母さん美人さんだったんですね」
「あなたが噛んだ小指が痛いって詞なんだけど、何で指なんか噛むんだ? って思ったよ」
「何でですか?」
「何でかねw」
「小6の‘72に札幌で冬季オリンピックが開かれて、その時のイメージソングがこの『虹と雪のバラード』、トワエモア。担任の柳沢先生が好きだった。次は『ハチのムサシは死んだのさ』、平田孝夫とセルスターズ、同じく’72年の曲。小6のクラスは頭のいい友達が多くて、早慶や国立に結構行ってるんだけど、中でもよくできたのが平野君、彼は東大からNTTに行って、今の携帯電話の基礎を開発してるんだ」
「すごい!」
「その平野君が小6のときなぜか好きだったのがこの『ハチのムサシは死んだのさ』」
「特徴的な眼鏡をしてます」
「あとはこの『夜汽車』って曲。これは調べたらドイツ民謡だった。小6のころ憧れてた神さんって女の子がピアノで弾いてくれた。あと、『山賊の歌』って知ってる?」
「知らないです。ちょっと、待ってください」
私はあわてて、『山賊の歌』を検索した。
牧歌的なメロディが流れてきた。
「この歌は遠足の時、ガイドさんと一緒にバスの中で歌った。やーまってガイドさんが歌ってから僕たちがやーまって歌うみたいにして」
「楽しそう」
「やっぱり、小学校の頃とか懐かしいよ。あと、家族の思い出の曲も紹介しよう。まず、妹はこの『パールピアス』。妹は家族の中ではそんなに歌を歌ってた印象がなくて、このカセットは妹が誰かに頼んで録音してもらったものを僕がなくしちゃて叱られた思い出。弟との思いでは『相撲甚句』。カラオケでよく歌ってた。最後に母親は、やっぱりこれかな」
と、曲を流した。中年の女性の落ち着いた歌声だった。
「岸洋子の『希望』だ。お母さんは寂しい子供時代を過ごした人で、こうい落ち着いた曲が好きだったな」
先生はそう言うと、懐かしそうな眼をして庭を眺めた。
風流先生 曲と友達の思い出 小学校編 終わり
登場人物
風流先生(58)
自宅の一室で生徒に勉強を教えてる塾講師。
高木結(ゆい)(20)
風流先生のところでアルバイトしている女子大生。
いつものように、先生は縁側に座って庭を見ていた。
授業が終わり、下に降りてきた私を見つけると笑顔で、
「今日からは、僕の印象に残ってる曲とその曲にまつわる友達の話をしよう」
と言った。
「まず、小学校編だ。1曲目は、ピンキーとキラーズの恋の季節、‘67年。これは、初めて買ったシングル。僕が初めて好きになった芸能人。悪いんだけどYoutubeで曲を検索してくれるかい」
「あ、はい」
私は、スマホを取り出した。
「あ、これですか」
YouTubeで恋の季節を検索するとすぐに見つかった。
「この真ん中の女の人がピンキーですか?」
「そう、今陽子さん。当時、ファンでねえ、部屋の洋服ダンスにレコードのジャケットを貼ったよ」
「先生この時いくつですか?」
「7歳、小2かな」
「ませてますね」
「耳コピしてピアノで弾いたりしてたな。当時、僕、習字習ってて、今陽子にちょっと似てる永安さんって女の子とよく遊んだんだ、ローラースケートを一緒にやったりして。その永安さんが、ある日習字に行ったら来てなくて、先生に、永安さんは?って聞いたら、引っ越したわよって、寂しかったよ」
「ですね」
「次は、ブルーコメッツのブルーシャトウ、‘67年」
「待ってくださいね」
私はスマホで曲を流した。
「これは隣の早川さんちの光ちゃんが、フルートの井上さんのファンだった。僕は当時よく光ちゃんのうちに遊びに行ってたんだけど、なぜか彼女を泣かしちゃうんだ。で、おばさんによく叱られたし、母親も光ちゃんのとこ行っちゃだめって言うんだけど、行ってたな」
「ありがちです」
「次は、ピーターの夜と朝の間に」
「わっ、めっちゃ美少年ですね」
「うちの左隣の家が光ちゃんちの早川さんで、右隣が当時は藤代さんって家族が住んでた。で、その藤代さんちには20代の三人の娘さんがいて、上からさっちゃん、みっちゃん、みみちゃん、そのみみちゃんが好きだったのがこの曲」
縁側にピーターの『夜と朝の間に』が流れた。
「何ていうか、低音の耳に残る歌声ですね」
「藤代さんの家にはステレオがあって、よく聞かせてもらったなあ、当時の歌謡曲を」
「先生の原体験ですね」
「あと、僕のことすごくかわいがってくれて、4人で一緒にお風呂に入ったりした」
「わおw」
「次は何ですか?」
「この曲」
と、先生はスマホを検索した。
「伊東ゆかりの小指の思い出。この伊東ゆかりを僕のお父さんが好きだった。そう言われて見ると、うちの母親と同系列の顔立ちと言えなくもないな」
「お母さん美人さんだったんですね」
「あなたが噛んだ小指が痛いって詞なんだけど、何で指なんか噛むんだ? って思ったよ」
「何でですか?」
「何でかねw」
「小6の‘72に札幌で冬季オリンピックが開かれて、その時のイメージソングがこの『虹と雪のバラード』、トワエモア。担任の柳沢先生が好きだった。次は『ハチのムサシは死んだのさ』、平田孝夫とセルスターズ、同じく’72年の曲。小6のクラスは頭のいい友達が多くて、早慶や国立に結構行ってるんだけど、中でもよくできたのが平野君、彼は東大からNTTに行って、今の携帯電話の基礎を開発してるんだ」
「すごい!」
「その平野君が小6のときなぜか好きだったのがこの『ハチのムサシは死んだのさ』」
「特徴的な眼鏡をしてます」
「あとはこの『夜汽車』って曲。これは調べたらドイツ民謡だった。小6のころ憧れてた神さんって女の子がピアノで弾いてくれた。あと、『山賊の歌』って知ってる?」
「知らないです。ちょっと、待ってください」
私はあわてて、『山賊の歌』を検索した。
牧歌的なメロディが流れてきた。
「この歌は遠足の時、ガイドさんと一緒にバスの中で歌った。やーまってガイドさんが歌ってから僕たちがやーまって歌うみたいにして」
「楽しそう」
「やっぱり、小学校の頃とか懐かしいよ。あと、家族の思い出の曲も紹介しよう。まず、妹はこの『パールピアス』。妹は家族の中ではそんなに歌を歌ってた印象がなくて、このカセットは妹が誰かに頼んで録音してもらったものを僕がなくしちゃて叱られた思い出。弟との思いでは『相撲甚句』。カラオケでよく歌ってた。最後に母親は、やっぱりこれかな」
と、曲を流した。中年の女性の落ち着いた歌声だった。
「岸洋子の『希望』だ。お母さんは寂しい子供時代を過ごした人で、こうい落ち着いた曲が好きだったな」
先生はそう言うと、懐かしそうな眼をして庭を眺めた。
風流先生 曲と友達の思い出 小学校編 終わり
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