社員旅行は、秘密の恋が始まる

狭山雪菜

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不安

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「んっ…んふっ…ん」

彼の膝の上に向き合って座り、首に腕を回し彼の舌を貪る。くちゅくちゅっと水音が大きくなり、じゅるっと彼の唾液を飲み込む。また舌を絡めて、彼の舌を追う。なかなか動かない彼に焦れて、下半身を揺らすが彼はピクリとも動かない。
「んっ…ねっ、ねぇっ動いてっ」
下半身裸の私は、同じくズボンと下着がくるぶしまで下がっている。
何にも身につけていない彼の昂りが、私の蜜壺に入ってぴたりと重なっているのに、さっきから全然動いてくれなくて、焦れた声が漏れる。

さっきまでいつもの甘い普通の雰囲気だった。ソファーで晩酌をしている彼に呼ばれるまま、洗い物をしていた私は、ソファーに寄り彼の膝の上に乗った。
ーーそこから何だか変わった
キスに応じてくれるのに、蜜壺を広げ柔らかくすると、すんなり入るゴムを付けた彼の昂り。腰を下ろし腰の上でペタンと座ると、いつもみたいに下からの突き上げもなければ、キスも応じてくれない。

ーーどうしてっ、どうしてっ

一生懸命に腰を揺らしても、満足する快感は得られず、ただただ焦る気持ちが頭の中を占めていく。
彼の頬を両手で抑え、視線を合わせても彼の瞳に熱が篭っているのが分かるのに、動いてくれない。

ーーなんで、なんでっ

目が潤み、嫌な思いが蘇る。
ーーこの状況知ってる、覚えてる。
扱いが雑になるか、無視されるかーー
健吾さんは……無視なのっ

ーー嫌だ嫌だ嫌だ

とうとう我慢出来なくなり涙が溢れ、ポロポロ零れる。
ギョッとする彼に、頬の手を離し彼に抱きつく。
「っ…飽きた?…それともっ…他に好きな人出来た?」
もやもやしていた言葉を口にして、スッと心に響き納得した。

そうだ、やたら一緒に住みたいと言っていたけど、実は断り続ける私が嫌になったんだ。
それか、電話のし過ぎで私が重いって思い知ったんだ。
酷いことしちゃった、我慢すれば良かった…彼が甘やかすから図に乗って…
「うっ…うぅ」
本格的に泣き始めた私は、抑えようと試みるが見事に失敗して、変な声が出る。

ーー泣いたらダメ、泣いたらダメ、1番やっちゃダメなやつ

しかし溢れる涙を止める事など出来ずに、嗚咽が漏れる。
「瑠璃っ、ごめんっ」
慌てる彼が私の太ももに触ると、ぴくっと身体が反応し、ぎゅぅっと蜜壺の中にいる彼の昂りを締め付ける。
「っ、つ」
私の肩に額を付け、腰を掴むと一気に下から突き上げる彼。急に始まった動きに快感の波に襲われ、悲しみで目からは涙が出て、感情がぐちゃぐちゃだ。
「ンァっう…なんっ…ぁっあんっ」
抗議したいのに激しい突き上げの動きに、ただ喘ぐ事しか出来ない。
「っ、飽きたって…何?…他に好きな人っ…て」
掠れた声に怒りが混ざっているのが分かるが、どうする事も出来ないまま、彼の髪に指を絡め身体を密着させる。
「好きだ、瑠璃っ」
私の鎖骨を噛み痛みが、私の意識をはっきりとさせる。
「健吾さっ…はげしっ…好きっ、好きなのっ」
涙が止まらず、彼の耳に叫ぶように喋る。五月蝿いはずなのに彼の動きは止まらずに、より一層突き上げが早くなる。
ぐっと腰を強く掴まれ、動く事を許さず抑え込まれた私は、ゴムの中で彼が達したのに気が付いた。
健吾は目の前にある、先程付けた瑠璃の鎖骨への歯型の横にもう一度噛んだ。それにより瑠璃は呆気なく絶頂に達し、彼の胸へと倒れた。


あのあと、ズルッと抜けた昂りからゴムを外し口を結び、新しいパッケージを開き、付け直しすぐに持ち直した健吾は、瑠璃をソファーへと押し倒して2回目を始めた。瑠璃は彼の腰に足を絡め、彼の昂りを受け止める。
「あっ、んっ、ぁぁぅぁっ」
本革が擦れて背中が赤くなるのも、構わず彼と離れたくなかった。途中で気が付いた彼が、床の瑠璃の服を拾い背中に差し込みながらも、腰の動きを止める事はなかった。


記憶している限り、2回ソファーでしたあとは寝室へとお姫様抱っこのまま連れていかれ、また交わった。
背中が赤く擦れてる、ごめん、と言いながら、四つん這いにした私を背後からガンガンと責める。擦れた所にキスをしては、舌を這わせる彼は何度も何度も謝った。

指1本動かせない程疲れ切っていた私は、ベッドボードに背を預け、背後から私を囲う彼にぽつりぽつりと過去を話す。
膝を立て座る彼の間に収まっていた私は、彼の腕に頭を乗せ身体をシーツで隠すが、背中は隠れず彼のキスが止まらない。
「…私って…男運ないの…いつも浮気されるか…振られてばかり」
一度ピタッと止まった彼が、また背中にキスを落としていく。
「…健吾さんと付き合う前の彼もそうだった…一緒に住もうって言った矢先に同僚と浮気していたの…あれはキツかったなぁ」
彼の腕に頭を乗せたまま、遠くなっていた過去を思い出す。
「…だから、俺と暮らせない?」
「…うん、健吾さん優しいから…私に甘いから…こんな甘やかすから図に乗って…別れたくないのにっ、っ…こんなんになるならっ…深入りしたくなかった」
涙が溢れて彼の腕を濡らす。彼は私の腕を引き寄せ彼の胸板に頬が付く。

彼に抱きつき涙が止まるまで、背中を摩り続けてくれた。



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