辺境の侯爵家に嫁いだ引きこもり令嬢は愛される

狭山雪菜

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初夜1

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ゆっくり顔が近づき、ちゅっちゅっと啄むキス。
舌を絡め歯列をなぞり、口内を余すことなく味わうキースに、彼の胸板に手を置き、拙いながらも一生懸命応える。
「ん、ぁ」
甘い声が漏れ、キースの腕が私の腰に回ると、引き寄せられ、彼の太ももの上に座らされた。
それでもまだ止めないキスに、次第に彼にもたれ掛かっていた。
頬にちゅっとキスをし、下に顔をずらしたキースは、ソフィアの首に顔を埋めペロリと首に舌を這わす。ちゅっちゅっとキスをしては、舌を這わし強く吸うと、チクリとした痛みが断続的に起こる。
「ん、キース様」
首の触れ合いが初めてのソフィアは、戸惑い彼の名を呼ぶが、彼は構わずに続けた。

鎖骨にまで唇が寄ると、流石におかしいと感じたソフィアは、キースの肩を押した。
「キース様…あの」
下から私を覗き込む彼の瞳が綺麗で見惚れてしまいそうになるが、鎖骨の少し下にある赤い印を見て、カッと頬が赤くなった。
「…嫌か?」
悲しそうな顔をする彼に、首を横に振るが
「…あの、こういうのは…結婚してからじゃ…?」
顔を真っ赤にして、恥を偲んで聞いた。
「…2人の気持ちに問題がないなら、いいじゃないか」

ーー確かに…じゃなくてっ

一瞬頷きそうになるのを、思い止まり、
「しっ…しかしっ、仕来りといいますか…その身体を清め…」
そう、何にも準備してない身体で、初めてはしたくない私は、一生懸命考えて彼に伝える。

「…身体を清めたら…いいのか…?」
そう告げる彼にコクコクと頷くソフィアは、とりあえずお風呂と考えていた私は、知らず知らずのうちに、先に進む事を許可していたのだ。


キースはショウを呼ぶと、準備するように伝え部屋から出た。
ショウは聞かされていたのか、数人の侍女を引き連れてきた。
「では、お嬢様準備を始めさせていただきます」
頭を下げて、あっとかうっとか赤くなる私を連れてお風呂場へと行くと、全身ピカピカに磨かれ塗りたくられ、いい匂いのする香水をつけられた。



ーー違う…なんか違う


カーテンが全て開いた、明るい室内で5人は寝れそうな大きなベッドの上で正座して待っている私。
この部屋は主寝室です、とアガサが私に言うと、この部屋に放り出された。
廊下は寒いですからと、厚着による厚着になり、雪だるまみたいな格好だった私は何枚かをソファーに置いてベッドで待つことにした。

室内を見渡すと、私の部屋よりも3倍ほど大きな部屋の、灰色の壁には電気の灯りが等間隔で設置されており、クローゼットと私が横になっても足が余りそうなソファーと、テーブル、このベッドとナイトテーブルのみの、シンプルな部屋だ。

ーーキース様はいつもここで眠っていらっしゃるのかしら

シンプルというか、壁が暗すぎて少し怖いイメージが残る。
そんな事を考えていると、扉が開きキースが入ってきた。
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