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夏の終わりに2
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間もなく(無理矢理)付き合い始めてひと月になる。
熱い日差しを反射したアスファルトを歩きながら顔が隠れる程のツバの麦わら帽子を被り、白いワンピースと白いサンダル、麦わら帽子と同じ色のカゴバッグを持ってとある場所へと向かっていた。
家から出ること20分を過ぎた頃に見えてきた全国展開をしているファミリーレストランに入る。
「いらっしゃいませー」と、制服を着た女性のウェイトレスに声を掛けられて、「2人です」と告げると窓際の4人で座れるソファー席へと案内された。
荷物を置いて席に着くと、スマホを取り出し、お店に着いた事をメッセージを送った。すると先程のウェイトレスが、氷の入ったお冷を2つと茶色の細長いプラスチックのカトラリーセットをテーブルの上に置いて、「ご注文がお決まりになりましたら、ボタンを押してお呼びください」と言って、どこかへ言ってしまう。
メニューを開き何にしようかと悩んでいると、私の目の前の空いたソファーに荷物が置かれて、1人の女の子が座る。ポニーテールでピンクの花柄のワンピースの女の子だ。
「お待たせ」
「ううん、今来た所」
軽く挨拶をする彼女にもメニューを見せて、パフェとドリンクバーを頼む事にした。
順番でドリンクバーの飲み物を取りに行き、私が席に着くと
チョコレートのミニパフェとバニラのミニパフェがテーブルに置かれていた。
私はバニラのミニパフェを自分の方へと寄せ、彼女と他愛のない話をしながらスプーンで食べ始めた。
***********************
「…で?聡とはどうなってるの?」
とある程度話した後に、今日会う事になった理由の大本命の話を切り出された。
「あ…うん、あの…」
「なんでコイツといる?」
私が口を開くと、とっても不機嫌な声が聞こえたと同時に、私の横にドカッ座りテーブルが揺れた。
「「っ!聡」」
2人で声のする方へと顔を向けると、今日は午後に部活があるから夕方に会う事になっていた聡がいた。私達が驚いている間にウェイトレスが来て、氷の入ったお冷を置くと、
「…ドリンクバー1つ追加で」
と言ってウェイトレスが居なくなると、テーブルに頬杖をつき私と彼女を順番に見る。
「って!コイツですって?!あんたっ!お姉様に対してっっ」
「うるせぇ、店の中だろ」
「ななな、何で?!ここに?!だってだって、今日部活だってっ!!」
「この間から様子がおかしかったから……スマホ見た…悪い」
「最低ー!男のくせにありえないわ~!」
「…嘘…だってスマホのロック…」
「…俺の誕生日だった…嬉しい」
「…聡」
彼の方へ身体を向けた私は、感動してテーブルの上に置いている彼の手に自分の手を重ねた。聡は重なった私の指先を自分の指に絡めて、見つめてくる。
「…………ちょっと、ちょっと!2人の世界に入らないでよっ!」
しばらく見つめ合っていた私達の間に割って入る彼女が、ツッコんでくるまで2人の世界に浸かっていた。
「あんたが、部活で悩んでいるって言うから!元気づけようと彼女を作らせたんじゃない!」
「……やっぱり罰ゲームだったのか」
「違っ…確かにお姉さんに言われたけ…ど、私中学の時から聡の事っ…好きだったの!」
呆然とする聡に、私は慌てて否定した。
「…中学…?愛花は違う中学だよな…?」
「…うん、私隣町の中学で中1の時剣道部の友達の試合を見に行った時に…試合をしていた…聡に一目惚れして…毎回試合を見に行っていたら…お姉さんと知り合って…」
「感謝しなさい!私のおかげで彼女が出来たのよ!」
「…姉ちゃん…ちょっと黙ってもらっていいかな」
私の決死の告白もお姉さんが遮り、聡は不機嫌な声を隠そうともしない。
「何ですって?!あんた!可愛いお姉様になんて口の利き方?!愛花ちゃんも付き合う前は試合で負けて陰湿だったくせに!愛花ちゃんと付き合い出したら毎日毎日家で筋トレばっかりして暑苦しいのよ!」
ビシッと聡に向かって指をさすお姉さんに、聡は飲んでいた烏龍茶をこぼした。
「ぐっ」
「筋トレ…?」
「そう!聡は愛花ちゃんに手を出したくてしょうがなくて、悶々とする想いを断ち切るように筋トレばっかりしてる!相変わらずヘタレな弟よ!」
ーーそんなっ…私のため…に…?
キラキラと輝く私の表情を見て、眉を寄せて額に手をつけたお姉さんは、
「…多分愛花ちゃんが思っているのとは違うけど…これが噂のバカップルなの…?めちゃくちゃじゃない…?」
見つめ合って2人の世界に入った私達を、お姉さんは呆れた顔して野菜ジュースを飲んでいた。
熱い日差しを反射したアスファルトを歩きながら顔が隠れる程のツバの麦わら帽子を被り、白いワンピースと白いサンダル、麦わら帽子と同じ色のカゴバッグを持ってとある場所へと向かっていた。
家から出ること20分を過ぎた頃に見えてきた全国展開をしているファミリーレストランに入る。
「いらっしゃいませー」と、制服を着た女性のウェイトレスに声を掛けられて、「2人です」と告げると窓際の4人で座れるソファー席へと案内された。
荷物を置いて席に着くと、スマホを取り出し、お店に着いた事をメッセージを送った。すると先程のウェイトレスが、氷の入ったお冷を2つと茶色の細長いプラスチックのカトラリーセットをテーブルの上に置いて、「ご注文がお決まりになりましたら、ボタンを押してお呼びください」と言って、どこかへ言ってしまう。
メニューを開き何にしようかと悩んでいると、私の目の前の空いたソファーに荷物が置かれて、1人の女の子が座る。ポニーテールでピンクの花柄のワンピースの女の子だ。
「お待たせ」
「ううん、今来た所」
軽く挨拶をする彼女にもメニューを見せて、パフェとドリンクバーを頼む事にした。
順番でドリンクバーの飲み物を取りに行き、私が席に着くと
チョコレートのミニパフェとバニラのミニパフェがテーブルに置かれていた。
私はバニラのミニパフェを自分の方へと寄せ、彼女と他愛のない話をしながらスプーンで食べ始めた。
***********************
「…で?聡とはどうなってるの?」
とある程度話した後に、今日会う事になった理由の大本命の話を切り出された。
「あ…うん、あの…」
「なんでコイツといる?」
私が口を開くと、とっても不機嫌な声が聞こえたと同時に、私の横にドカッ座りテーブルが揺れた。
「「っ!聡」」
2人で声のする方へと顔を向けると、今日は午後に部活があるから夕方に会う事になっていた聡がいた。私達が驚いている間にウェイトレスが来て、氷の入ったお冷を置くと、
「…ドリンクバー1つ追加で」
と言ってウェイトレスが居なくなると、テーブルに頬杖をつき私と彼女を順番に見る。
「って!コイツですって?!あんたっ!お姉様に対してっっ」
「うるせぇ、店の中だろ」
「ななな、何で?!ここに?!だってだって、今日部活だってっ!!」
「この間から様子がおかしかったから……スマホ見た…悪い」
「最低ー!男のくせにありえないわ~!」
「…嘘…だってスマホのロック…」
「…俺の誕生日だった…嬉しい」
「…聡」
彼の方へ身体を向けた私は、感動してテーブルの上に置いている彼の手に自分の手を重ねた。聡は重なった私の指先を自分の指に絡めて、見つめてくる。
「…………ちょっと、ちょっと!2人の世界に入らないでよっ!」
しばらく見つめ合っていた私達の間に割って入る彼女が、ツッコんでくるまで2人の世界に浸かっていた。
「あんたが、部活で悩んでいるって言うから!元気づけようと彼女を作らせたんじゃない!」
「……やっぱり罰ゲームだったのか」
「違っ…確かにお姉さんに言われたけ…ど、私中学の時から聡の事っ…好きだったの!」
呆然とする聡に、私は慌てて否定した。
「…中学…?愛花は違う中学だよな…?」
「…うん、私隣町の中学で中1の時剣道部の友達の試合を見に行った時に…試合をしていた…聡に一目惚れして…毎回試合を見に行っていたら…お姉さんと知り合って…」
「感謝しなさい!私のおかげで彼女が出来たのよ!」
「…姉ちゃん…ちょっと黙ってもらっていいかな」
私の決死の告白もお姉さんが遮り、聡は不機嫌な声を隠そうともしない。
「何ですって?!あんた!可愛いお姉様になんて口の利き方?!愛花ちゃんも付き合う前は試合で負けて陰湿だったくせに!愛花ちゃんと付き合い出したら毎日毎日家で筋トレばっかりして暑苦しいのよ!」
ビシッと聡に向かって指をさすお姉さんに、聡は飲んでいた烏龍茶をこぼした。
「ぐっ」
「筋トレ…?」
「そう!聡は愛花ちゃんに手を出したくてしょうがなくて、悶々とする想いを断ち切るように筋トレばっかりしてる!相変わらずヘタレな弟よ!」
ーーそんなっ…私のため…に…?
キラキラと輝く私の表情を見て、眉を寄せて額に手をつけたお姉さんは、
「…多分愛花ちゃんが思っているのとは違うけど…これが噂のバカップルなの…?めちゃくちゃじゃない…?」
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