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後編

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彼の部屋は5102号室で、扉から短い通路の右手にシャワーとトイレ、左手に荷物を入れるクローゼットと貴重品を入れる金庫、短い通路が終わるとメモ帳やペン、ルームサービスのメニュー表が載った黒いテーブルと黒いイスが視界に入る。細長い棚にはトレーに載ったグラスと湯呑み、カップとコーヒーや砂糖と緑茶のパック、下にはミニ冷蔵庫がある。ワンルームの室内はベッドも一つしかなかった。窓はそれほど大きくもなく、腰から下の高さは壁だった。
郁也は2人分のルームカードキーと紙類を、黒いテーブルに置く。そのまま無言でお互いの唇を求めた。
この後どうするの。
これから、えっちするの。
一旦部屋に行った方がいいのかな。
この先の未来、私達の関係は…?
頭の中に疑問が浮かんでは、他のことを考えるな、と咎められるかのように彼に自分の舌を強く吸われ、意識が彼に向く。顔の角度を変えながら貪欲に口づけに溺れ、お互い服を自分で脱ぎながら、床に落としていく。
シュルッ、くちゅっ、と生地が擦れる音と、2人の口の隙間から零れる唾液の水音、
「あっ…んっ、っん、ぁ」
私の甘い声が部屋に響く。
流石にTシャツはキスをやめないと脱げないので、一旦離れると下着姿となった彼の手が私の腰に回る。バンザイをしてTシャツを脱ぐと、彼の顔が私の首筋に埋まり舌を這わしていく。
「んっ、あっ、はっ…汗かいたからっ」
いやいやと言う割に、彼の首の後ろへと腕を回して、自分から密着する。
「可愛い、ずっと触りたかった」
と、私の耳朶を甘噛みし舌を這わしながら、熱い想いを囁く郁也。顔を動かすと、口を塞がれ呼吸ごと奪われるキス。腰にあった郁也の手が、私の下着の上からお尻を力いっぱい揉む。彼の手が指を広げるだけで、ぐにゅぐにゅといとも簡単に形を変えるお尻。
彼の胸を押すと、お互いの身体が離れる。両手を広げたまま固まる郁也に、くすっと笑みが溢れてしまう。
彼の手を掴み、この部屋唯一のベッドへと移ると、彼の胸を押した。背後から倒れた郁也はベッドの上へと仰向けになると、ギシッとベッドが軋む。私をじっと見つめている熱のこもった眼差しを心地よいと感じながらサンダルを脱ぎ、彼の足の横に膝をついて上から見下ろす。服を脱いだ彼は胸板もお腹も筋肉ではっきりと凸凹していて、お臍の周りからボクサーパンツの下まで一筋の体毛が生えている。
彼のお腹の上へとペタンと座ると、彼の足が曲がり私のお尻を動かないように固定する。私の太ももに触れる固い手のひら彼は私のする事を、目を細めて面白そうに見ている気がする。彼の胸板に指でなぞると、ピクピクと動いて面白い。セミロングの髪を左耳に掛けながら彼の顔の横に右手をつくと、口角が上がった郁也と視線が絡まった。そのまま顔を近づけて私から啄むキスをすると、郁也の手が私の太ももから腰へと流れ、くびれを摩り背中へと回る。ブラのブックを外すと、ブラで寄せていた胸が自由になり、ぷるんと揺れた。肩紐が肩から外れ、私は彼の首元に落ちたブラをベッドへとどかした。彼の顔の横に手を置いた私を、郁也は下から見上げ、下の重量に逆らえない乳房を両手で掬い、目を見開いた。
「…柔らかい」
「ふふ、毎日ケアしている自慢のおっぱいだよ」
そう、私のおっぱいは毎日毎日リンパマッサージやボディクリームを肌のコンディションを見て日替わりで変えていて、マシュマロのように柔らかく触り心地は自分で言うのもあれだが逸品。えいやっ、と彼の顔に乳房を押し付けると、柔らかな乳房に埋もれた郁也。すぐに上体を起こすと、郁也は変わらず驚いていた。
はっと我に返った郁也は、上体を起こし私の乳房を口に含むと、ちゅうちゅうと吸い付き始める。私は郁也の顔の横に付いていた手を曲げて肘をつけると、私の乳房に夢中になっている郁也の髪に鼻と口をつけた。私が肘を曲げた事でベッドに後頭部をつけた郁也は、愛撫しやすくなったのか交互に顔を動かし2つの乳房を丹念に舌を這わす。だんだんと乳房の中心が固くなって粒が現れると、甘噛みも加わり愛撫が激しくなっていく。押し潰すかのように乳房を揉んだかと思えば、優しく宝物に触れるように触ったり、彼の唾液で濡れた乳房全体に舌で辿る。
「あっ、っはっぁ」
彼の愛撫は絶妙で、すぐに身体が火照った。ピリピリと痺れる快感が身体を巡る頃には、無意識に腰を揺らし始めていて、乳房を愛撫していた彼の両手は、私のお尻へと移動した。腰から下着の中へと侵入した固い手のひらは、下着を下ろしながら揉んでいく。膝に近い太ももまで下着を下ろすと、彼の右の指先がお尻から蜜口に当たり、くちゅっと音がする。
「あっ!…っ、あっん、ん」
お尻をふりふりと揺らしていると彼の指が蜜が溢れた蜜壺の中を滑らかに埋まっていき、彼の指が動き出した。1本の指で蜜壺の内側を広げようと指を曲げ、一度蜜壺から抜くと、更に1本増やした指を蜜壺の中へと入れた。太くなった指を侵入者として追い出そうと、ぎゅうぎゅうに締め付ける蜜壺。締まった蜜壺に追い討ちを掛けるように、構わず指を曲げてパラパラと動かす郁也の指。
「あっ、ん、ん、んっぁあっ」
乳房も蜜壺も同時に愛撫され、何なら彼の左手も私の乳房を愛撫したりお尻を揉んだり忙しない。蜜壺の中の一点を彼の指が掠めると、頭が真っ白になて軽く達っした。歯を食いしばりプルプルと震えていると、構わず彼の指が過剰に反応した箇所を集中的に攻める。いやいや、とお尻を動かすと、まるで強請っているいるように彼の指が抜けないように、ぎゅうぎゅうに締め付ける。
彼の指が抜けて私のお尻を持つと、私は上体を起こした。彼の腰の上に跨り、ぷるんと揺れる濡れた乳房とキュッと締まったお腹と腰、下着は太ももに途中まで脱がされ、熱にうなされた潤んだ瞳で下の者を見下ろす姿は、酷く扇状的で郁也はゴクンと唾を飲み込む。お互い視線を絡めたままゆっくりと腰を下ろすと、彼の手が私が腰を下ろす先を誘導する。ヌチャッと粘音がして、熱い塊が私の蜜口へと当たる。彼の腕が私の下半身に伸びると、自身の昂りを掴み、ちゃんと蜜壺へと入れるように調整する。
「あ…あ、あ」
あまりの大きさと固さに、上を向いて軽く背がのけ反る。バランスを落としそうになったので私の腰を掴む彼の腕に手を置くと、ズズッと少しずつ自分の体重で昂りを蜜壺の中へと入れていく。
ペタンと郁也の腰の上に座る時には、何度か達した後で息も絶え絶えだった。彼のお腹に両手を置いて、膝に力を入れてお尻を上げては下げると、抽送を始めた。パンパンと、お尻が彼の太ももに当たり肌がぶつかる音がする。下着が両足太ももにあって上手く動けなくてもどかしい。ぷるん、ぷるんと上下に揺れる乳房を、無意識のうちに両腕で挟むようにしていたらしく、突然彼が起き上がった。
「っ…くそっ、エロいっ」
と吐き捨てると、私を押し倒して身体の位置が入れ替わる。ベッドに仰向けになると、半分に折り畳まれた身体。下着を脱がされていないために真っ直ぐに伸びた脚、彼の胸にふくらはぎの裏がくっついていて、私の足首の間から彼の首が覗く。乱暴な手つきで太ももにあった下着を脱がすと、そのまま抽送が始まった。最初から激しく、欲情をぶつける昂りに、強烈な快感が身体を巡り、今までの快感なんか可愛いものだったと頭の片隅で囁く。
「あっ、あっあ、はっぁっ!ん、んっん、ん」
自由になった脚だったけど、彼の手が私の太ももの裏に置いてあるので、さっきの状況とあまり変わらない。押し潰された身体の上から勢いよく想いをぶつけて、行き場を無くした手はベッドの布団を求めて握りしめる。頭の上の布団を握ると、形の良い乳房が、攻められる度に大きく上下に揺れ、また郁也の欲情を刺激する。太ももの裏から手を離した郁也は私に覆い被さり、布団を握る私の指を解き、自分の指先を絡めた。額を合わせ抽送を繰り返す度に、彼の唇が私の唇に触れる。お互いの息を互いの口へ吐きながら、絶頂へとラストスパートをかけた。
「あっっ……んぅぅっっ!!」
「…はっ、くっ…っ」
彼の先端の凸凹が私の感じる箇所を掠めると、チカチカと目の前が真っ白になり、全身が強張り今日一番の強い快感と絶頂が身体中を巡った。
「あ…んんっ熱…いっ」
快感の波が引き始めた頃に、下半身からお腹に勢いよく掛かった熱い液体に、敏感になった身体は反応した。
私の首筋に顔を埋めた郁也は、自身の昂りを私の下生えにある下半身へと押しつけ緩やかな腰の動きを止めない。まるでマーキングされているかのような錯覚に陥り、俺の物だと言われているみたいで嬉しい。
彼の背に腕を回すと、郁也の顔が上がる。視線を絡めながら啄むキス。ちゅっ、ちゅっ、と何度か続けていると郁也の昂りが、ムクムクと芯を持って固くなっていくのを感じた。
「…足りない…?」
呆れたような言葉が口から出たが、背中に回した手の力は抜けない。むしろ足を上げて彼の太ももの裏へと掛けると、お互い腰を揺らし、下半身を擦りつけ合い快感を呼び覚ます。
「全然」
欲情に支配されつつある郁也の声が低く掠れ、だんだんと艶のある吐息が口から漏れる。
「…夜はこれからだ」
そう言って私の首に顔を埋めるのと、両手が私の乳房に置かれるのはほぼ同時だった。
「…ブッフェに行きたいんだけど」
不満そうに告げているのに、彼の昂りに自らの腰を前後に揺らし押し付ける行動はちぐはぐだ。
「それまでには一旦終わらせる」
ブッフェのその後は、離さないけどな、と私の耳たぶを甘噛みしながら郁也は囁いた。



入場時間ギリギリまで愛し合った私達は、彼の腕に手をつけていないと疲れて歩きにくかった。ブッフェ会場のテーブルに着くと、立ち上がれなくて郁也が私の代わりに甲斐甲斐しくお世話をして、お皿におかずやご飯類を盛り付けて持ってきた。彼のお皿にも山盛りになった料理を2人で、すごく美味しい食べてよ、これおかわりしよう、などと側から見たらいちゃいちゃとしながら食べた。
一度お風呂に入るからと、自分の部屋に戻ろうとしたら、
「俺の部屋に荷物あるだろ」
と言われ彼の部屋に向かうと、どうせならこっちで入ればいいじゃんと、ちゃっかり自分郁也も一緒にシャワーを浴びる事になっていた。ただ洗うだけの行為が濃厚になるのも、当たり前のことで。
日付も変わってだいぶ経つ頃、そっと抜け出した2つの影は、もう一つの部屋へと移動した。
新品同様の部屋でただ抱き合って、旅の疲れとは別の疲れで深い眠りについたのだった。




***************



朝食は前日の夜のブッフェ会場だった。ある程度スッキリして目覚めたらはずが、ベッドの上でいちゃいちゃとしていたら、お互い火がついて求めあってしまい、また疲れが出てしまった。
部屋に戻り荷物の整理をして、丸首の黒いTシャツと膝が少し隠れる赤いスカートを履いた私と、昨日とは違う青いポロシャツと昨日と同じ黒いスキニーパンツの郁也は部屋から出た。
当たり前のように、昨日と同じ私のキャリーケースを引いた彼の、何にも持っていない空いている左手を繋ぎ、集合場所からホテルのロビーへと向かった。
またもや昨日と同じバスの座席に座ると、このツアー2回目の葡萄狩りへと向かい、そのまま併設された食事処で昼食、その後はツアーの最初の集合場所へと高速道路で帰る日程となっている事を、出発前にバスガイドの吉田さんがアナウンスをする。
バスが出発すると手を絡めたまま座席の影で戯れ合い、時には口づけを交わす。だんだんと濃厚になるキスは熱くなっていき、キツく吸われた舌と唇に気分が高まっていく。
座席の間の肘掛けは自由に上下に動き、背もたれの座席の隙間に収納する事が出来る。すでに2人の間には遮るものがなく、上半身がべったりとくっついている。繋いでいた彼の左手と私の右手は解かれ、彼の左手が私の膝に触れると、スカートをたくし上げる。私の内腿を撫でる手つきは優しいのに、足の付け根へと向かうといやらしく感じてしまう。足を閉じると、彼の指先の方が早く下着に到達してしまい、ぐぐっと下着の中央を押される。
「っ…っ…ん」
「シッ…みんなに聞こえちゃうよ」
背もたれに背を預け彼の左腕に頭を付けと、彼の指の動きが大胆になり、下着をズラして指が蜜口に侵入した。
朝も抱き合って柔らかくなっているとはいえ、固い侵入者にぎゅうぎゅうと締め付けて追い出そうとする。それなのに頭の中は快感でいっぱいになり、腰が揺れて自分の気持ちいい所を自然と彼の指を誘う。
指が蜜壺の中を出たり入ったりすると、くちゅくちゅと溢れた蜜の水音が聞こえ始める。甘く感じている声が出てしまい、目の前にある彼の腕を甘噛みすると、指の出し入れが激しくなる。彼の手のひらが私の下生えにつくと、指先が蜜壺に留まったと同時に絶頂がやってきた。
「っ…っ…っ」
甘噛みした彼の腕には私の歯形があり、赤く凹んでいる。
「ごめん」
と謝ると、彼は蜜壺に入っていた指をぺろりと舐めた。恥ずかしくて顔が赤くなってしまい、
「…ばか」
と甘く詰ると、ふっと郁也は笑う。

少しすると、昨日とは違う葡萄狩りの農園に着くと、私の分まで取って2人で笑いながら食べる。またバスに乗ると2人の世界が始まる。
ツアー初日の集合場所に到着すると、始めて連絡先を交換していない事に気がついた。2人はSNSメッセージアカウントと電話番号を交換して、手を繋ぎ夕方の街へと消えていった。



付き合う人すべて、大好きなのに身体の相性が悪く燻る身体を持て余して、満足するまで付き合わせていくうちに彼氏がげっそりと痩せ細っていき、周りから魔性の女と恐れられ恋人が出来なかった紗英。
体力が有り余っている筋トレ男の郁也と、バスツアーで出会ったのはある意味赤い糸で結ばれていたのかもしれない。
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