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第26話 ルナの安心が最優先!
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「よーし、山小屋の生木から水分を全部抜き終わったぞ!」
『おめでとうございます、タカシさん! これで快適に過ごせるようになりますね。』
あれから数日。
毎晩こっそりとウッド・ドレインを使って、山小屋の改善をした。
一気に全部やるとルナに気付かれるかもしれなかったので、ちょっとずつ進めてたんだけど……ようやく終わった!
「そろそろ他の魔法を覚えたいな。マキナは何がいいと思う?」
『ルナさんを優先に考えるなら、怪我や病気を治す魔法がおすすめです。森の中の生活では枝や草などに触れると生傷が増えますし、未知の病原体に罹患する可能性もあります。あるいは、住まいの安全性を高めるために警報を鳴らす魔法や、罠を設置する魔法も有効です。通常の罠と違ってタカシさんやルナさんには反応しないようにすることもできます。』
「うーん、悩ましいね」
【魔力】100と【知力】200のおかげで魔法を覚えるのは簡単だと思ってたけど、そんなに甘くなかったんだよなぁ。
「怪我を治す魔法を覚えるには、実際の治療を魔力操作をやってみないといけないんだよね。だからといって、わざと怪我をしてうまくいかなかったら大変だし。病気を治す魔法も、実際に病気を治してみないといけないわけで……」
『そうですね。治療の応用性を考慮に入れるなら、魔力操作による治療を何度も経験したほうがいいかもしれません。ただ、魔力操作には集中が必要ですので、緊急時の治療魔法の習得は必要になるかと思います。』
「タカシ、どこっ……?」
「えっ、ルナ?」
ルナが目をこすりながら山小屋から出てきた。
「マキナと、お話し、ですか……?」
「そ、そうなんだ。ごめんね、うるさかったかな?」
ふるふると首を振るルナ。
「起きたら、タカシ、いなくて、こわかた、です……」
「ちゃんと近くにいるから、大丈夫だよ」
「タカシの、そばが、いい、です……」
ありゃりゃ……だったら、今夜はここまでかな。
「夜が怖いのかな。じゃあ、一緒に寝ようね」
「あい……」
眠そうなルナを連れて山小屋に戻る。
その日の夜はルナを寝かしつけてから、俺もそのまま眠りについた。
◇
次の日。
ルナに薪に使えそうな枯れ木を拾ってもらっていたときのこと。
「いたっ!」
「ルナ!」
洗濯を中断して駆けつけると、ルナが尻餅をついていた。
「大丈夫? どこか怪我してない?」
どうやら足を滑らせて転んでしまったみたいだ。
ガロといっしょにすぐ助け起こしてあげる。
「へいき……あうっ!」
「ひじを擦りむいちゃったか。ちょっと袖をまくるね」
「やあっ!」
ルナにパシッと手をはらわれてしまった。
「ルナ?」
「わたし、からだ、きたない、から……」
汚い? 水浴びは毎日してるのに……。
いや、そうだった!
ルナはいじわるおばさんにつけられた古傷を見られたくないんだった!
「ルナは汚くなんかない」
「や、やっ!」
ひじをかばうようにして後ずさりするルナ。
ガロもどうしたらいいかわからないみたいで、ソワソワしながら俺とルナを交互に見る。
「わかった。じゃあ、服ごしでいいから、戻ったら包帯を巻かせて」
「……そで、まくる、ない?」
「もちろん」
ルナがだいぶ警戒している。
ここで嘘を吐いて袖をまくったら、二度と信用してもらえなくなるだろう。
だから、そんなことは絶対しない。
荷物から包帯を取ってきて、服の上から巻いてあげた。
「はい。しばらくは無理して動かさないようにしてね。お仕事も休んで大丈夫だから」
「やくに、立たない、ごめん、なさい」
申し訳なさそうにうつむくルナを見て、胸がきゅっと締め付けられた。
「そんなことないよ。しばらく小屋の中で休んでて」
「あい……」
「クゥーン……」
ガロといっしょに山小屋のほうへ戻るルナを見送ってから、ゆっくりと深呼吸する。
「……マキナ。俺が次に覚える魔法は決まったみたいだ」
『そうなんですか。何の魔法を覚えるんですか?』
確固たる決意とともに告げた。
「ルナの古傷を消す魔法」
『おめでとうございます、タカシさん! これで快適に過ごせるようになりますね。』
あれから数日。
毎晩こっそりとウッド・ドレインを使って、山小屋の改善をした。
一気に全部やるとルナに気付かれるかもしれなかったので、ちょっとずつ進めてたんだけど……ようやく終わった!
「そろそろ他の魔法を覚えたいな。マキナは何がいいと思う?」
『ルナさんを優先に考えるなら、怪我や病気を治す魔法がおすすめです。森の中の生活では枝や草などに触れると生傷が増えますし、未知の病原体に罹患する可能性もあります。あるいは、住まいの安全性を高めるために警報を鳴らす魔法や、罠を設置する魔法も有効です。通常の罠と違ってタカシさんやルナさんには反応しないようにすることもできます。』
「うーん、悩ましいね」
【魔力】100と【知力】200のおかげで魔法を覚えるのは簡単だと思ってたけど、そんなに甘くなかったんだよなぁ。
「怪我を治す魔法を覚えるには、実際の治療を魔力操作をやってみないといけないんだよね。だからといって、わざと怪我をしてうまくいかなかったら大変だし。病気を治す魔法も、実際に病気を治してみないといけないわけで……」
『そうですね。治療の応用性を考慮に入れるなら、魔力操作による治療を何度も経験したほうがいいかもしれません。ただ、魔力操作には集中が必要ですので、緊急時の治療魔法の習得は必要になるかと思います。』
「タカシ、どこっ……?」
「えっ、ルナ?」
ルナが目をこすりながら山小屋から出てきた。
「マキナと、お話し、ですか……?」
「そ、そうなんだ。ごめんね、うるさかったかな?」
ふるふると首を振るルナ。
「起きたら、タカシ、いなくて、こわかた、です……」
「ちゃんと近くにいるから、大丈夫だよ」
「タカシの、そばが、いい、です……」
ありゃりゃ……だったら、今夜はここまでかな。
「夜が怖いのかな。じゃあ、一緒に寝ようね」
「あい……」
眠そうなルナを連れて山小屋に戻る。
その日の夜はルナを寝かしつけてから、俺もそのまま眠りについた。
◇
次の日。
ルナに薪に使えそうな枯れ木を拾ってもらっていたときのこと。
「いたっ!」
「ルナ!」
洗濯を中断して駆けつけると、ルナが尻餅をついていた。
「大丈夫? どこか怪我してない?」
どうやら足を滑らせて転んでしまったみたいだ。
ガロといっしょにすぐ助け起こしてあげる。
「へいき……あうっ!」
「ひじを擦りむいちゃったか。ちょっと袖をまくるね」
「やあっ!」
ルナにパシッと手をはらわれてしまった。
「ルナ?」
「わたし、からだ、きたない、から……」
汚い? 水浴びは毎日してるのに……。
いや、そうだった!
ルナはいじわるおばさんにつけられた古傷を見られたくないんだった!
「ルナは汚くなんかない」
「や、やっ!」
ひじをかばうようにして後ずさりするルナ。
ガロもどうしたらいいかわからないみたいで、ソワソワしながら俺とルナを交互に見る。
「わかった。じゃあ、服ごしでいいから、戻ったら包帯を巻かせて」
「……そで、まくる、ない?」
「もちろん」
ルナがだいぶ警戒している。
ここで嘘を吐いて袖をまくったら、二度と信用してもらえなくなるだろう。
だから、そんなことは絶対しない。
荷物から包帯を取ってきて、服の上から巻いてあげた。
「はい。しばらくは無理して動かさないようにしてね。お仕事も休んで大丈夫だから」
「やくに、立たない、ごめん、なさい」
申し訳なさそうにうつむくルナを見て、胸がきゅっと締め付けられた。
「そんなことないよ。しばらく小屋の中で休んでて」
「あい……」
「クゥーン……」
ガロといっしょに山小屋のほうへ戻るルナを見送ってから、ゆっくりと深呼吸する。
「……マキナ。俺が次に覚える魔法は決まったみたいだ」
『そうなんですか。何の魔法を覚えるんですか?』
確固たる決意とともに告げた。
「ルナの古傷を消す魔法」
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