不遇幼女とハートフルなもふもふスローライフを目指します! ~転生前の【努力値】で異世界無双~

epina

文字の大きさ
32 / 54

第26話 ルナの安心が最優先!

しおりを挟む
「よーし、山小屋の生木から水分を全部抜き終わったぞ!」

『おめでとうございます、タカシさん! これで快適に過ごせるようになりますね。』

 あれから数日。
 毎晩こっそりとウッド・ドレインを使って、山小屋の改善をした。

 一気に全部やるとルナに気付かれるかもしれなかったので、ちょっとずつ進めてたんだけど……ようやく終わった!

「そろそろ他の魔法を覚えたいな。マキナは何がいいと思う?」

『ルナさんを優先に考えるなら、怪我や病気を治す魔法がおすすめです。森の中の生活では枝や草などに触れると生傷が増えますし、未知の病原体に罹患りかんする可能性もあります。あるいは、住まいの安全性を高めるために警報を鳴らす魔法や、罠を設置する魔法も有効です。通常の罠と違ってタカシさんやルナさんには反応しないようにすることもできます。』

「うーん、悩ましいね」

 【魔力】100と【知力】200のおかげで魔法を覚えるのは簡単だと思ってたけど、そんなに甘くなかったんだよなぁ。

「怪我を治す魔法を覚えるには、実際の治療を魔力操作をやってみないといけないんだよね。だからといって、わざと怪我をしてうまくいかなかったら大変だし。病気を治す魔法も、実際に病気を治してみないといけないわけで……」

『そうですね。治療の応用性を考慮に入れるなら、魔力操作による治療を何度も経験したほうがいいかもしれません。ただ、魔力操作には集中が必要ですので、緊急時の治療魔法の習得は必要になるかと思います。』

「タカシ、どこっ……?」

「えっ、ルナ?」

 ルナが目をこすりながら山小屋から出てきた。

「マキナと、お話し、ですか……?」

「そ、そうなんだ。ごめんね、うるさかったかな?」

 ふるふると首を振るルナ。

「起きたら、タカシ、いなくて、こわかた、です……」

「ちゃんと近くにいるから、大丈夫だよ」

「タカシの、そばが、いい、です……」

 ありゃりゃ……だったら、今夜はここまでかな。

「夜が怖いのかな。じゃあ、一緒に寝ようね」

「あい……」

 眠そうなルナを連れて山小屋に戻る。

 その日の夜はルナを寝かしつけてから、俺もそのまま眠りについた。


 ◇


 次の日。
 ルナに薪に使えそうな枯れ木を拾ってもらっていたときのこと。

「いたっ!」

「ルナ!」

 洗濯を中断して駆けつけると、ルナが尻餅をついていた。

「大丈夫? どこか怪我してない?」

 どうやら足を滑らせて転んでしまったみたいだ。
 ガロといっしょにすぐ助け起こしてあげる。

「へいき……あうっ!」

「ひじを擦りむいちゃったか。ちょっと袖をまくるね」

「やあっ!」

 ルナにパシッと手をはらわれてしまった。

「ルナ?」

「わたし、からだ、きたない、から……」

 汚い? 水浴びは毎日してるのに……。
 いや、そうだった!
 ルナはいじわるおばさんにつけられた古傷を見られたくないんだった!

「ルナは汚くなんかない」

「や、やっ!」

 ひじをかばうようにして後ずさりするルナ。
 ガロもどうしたらいいかわからないみたいで、ソワソワしながら俺とルナを交互に見る。

「わかった。じゃあ、服ごしでいいから、戻ったら包帯を巻かせて」

「……そで、まくる、ない?」 

「もちろん」

 ルナがだいぶ警戒している。
 ここで嘘を吐いて袖をまくったら、二度と信用してもらえなくなるだろう。
 だから、そんなことは絶対しない。
 荷物から包帯を取ってきて、服の上から巻いてあげた。

「はい。しばらくは無理して動かさないようにしてね。お仕事も休んで大丈夫だから」

「やくに、立たない、ごめん、なさい」

 申し訳なさそうにうつむくルナを見て、胸がきゅっと締め付けられた。

「そんなことないよ。しばらく小屋の中で休んでて」

「あい……」

「クゥーン……」

 ガロといっしょに山小屋のほうへ戻るルナを見送ってから、ゆっくりと深呼吸する。 

「……マキナ。俺が次に覚える魔法は決まったみたいだ」

『そうなんですか。何の魔法を覚えるんですか?』

 確固たる決意とともに告げた。

「ルナの古傷を消す魔法」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。 身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。 そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと! これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。 ※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

処理中です...