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トラブルを呼ぶ探偵
雫の矜持
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sideシズク
「ええ、入金確認致しました」
「はい、こちらこそ。また宜しくお願い致します」
通信画面を閉じ、私は息を吐いた。
昨日の依頼主からのお礼の連絡だった。
内容は、家出した精霊探しだったのだが、ある程度の情報があったために、予想よりも早く終わった。
しかも、報酬もそれなりによかったし、何よりも、依頼主が喜んでくれたのが一番嬉しい。
すると、電子音が部屋に響いた。
「ん?何だろ」
どうやらメールが来たようだ。
また依頼だろうと思いながら送り主を見てみる。
「ん?たまちゃんだ。何かあったのかな」
首を傾げながら、メールを開いてみる。
ーあ、あり得ないんてすけど。
メールを見た私は思わず固まった。
『処理報告 本日、依頼主の所へ向かう途中、ハグレ17体と遭遇。戦闘の末、全て鎮圧。MAB へ引き渡しました。主殿が請求しましたので、事務課まで確認を宜しくです』
私は思わず頭を抱えてしまう。
いくらシュウジがトラブルに巻き込まれると言っても、何故家を出て1時間もしない内にハグレと遭遇するのか。
「最早ここまでくると、呪いのレベルね」
ハグレの情報などの必要なところを読み終え、今度お祓いでもしてもらおうか、何て考えながら、メールを閉じた。
どうやら一般人には被害が無かったようだから安心したが、どこか引っ掛かる。
「でも、どうしてハグレとこんなに速く遭遇したんだろう。まるで待ち伏せされていたみたいな....」
そこまで呟いて、ふと思い返す。
確かに彼等精霊からすればシュウジのような魔力の持ち主は目立つだろう。
けれどハグレ化した精霊、特にlow程度のハグレには待ち伏せするなどの知能的なものは著しく低下しているはずだ。
報告のメールを見る限りlow以上の存在はない。
ーこれが意味するのは、一つしかない。
「やっぱり今回の依頼は変なところが多すぎる」
過去の柊司が関わった依頼には、直接ハグレが絡む事は無かった。
しかもハグレが群れを成しているなんて聞いたことがない。
「誰かが仕組んだとしか思えないわね」
恐らく柊司はこれを予想していたのだ。
だからこそ、MABへの訪問を実行に移した。
不明な部分を潰していくことで、依頼を完璧にこなす為に。
ーやっぱり、今回の依頼は止めた方が良かったのかな。
少し、後悔に似た感情が芽生える。
ーだけどここで私が動揺しても仕方がない。
私は私の戦いをして、必ず柊司を守る。
私の持ってる能力全てを使って。
それが、柊司の隣に並び立つ者としての私の矜持。
そう、覚悟はとっくの昔にきまっているのだから。
「気弱になるな、わたし」
軽く両の頬をパチンと叩き、私は自分の戦いを始めた。
「ええ、入金確認致しました」
「はい、こちらこそ。また宜しくお願い致します」
通信画面を閉じ、私は息を吐いた。
昨日の依頼主からのお礼の連絡だった。
内容は、家出した精霊探しだったのだが、ある程度の情報があったために、予想よりも早く終わった。
しかも、報酬もそれなりによかったし、何よりも、依頼主が喜んでくれたのが一番嬉しい。
すると、電子音が部屋に響いた。
「ん?何だろ」
どうやらメールが来たようだ。
また依頼だろうと思いながら送り主を見てみる。
「ん?たまちゃんだ。何かあったのかな」
首を傾げながら、メールを開いてみる。
ーあ、あり得ないんてすけど。
メールを見た私は思わず固まった。
『処理報告 本日、依頼主の所へ向かう途中、ハグレ17体と遭遇。戦闘の末、全て鎮圧。MAB へ引き渡しました。主殿が請求しましたので、事務課まで確認を宜しくです』
私は思わず頭を抱えてしまう。
いくらシュウジがトラブルに巻き込まれると言っても、何故家を出て1時間もしない内にハグレと遭遇するのか。
「最早ここまでくると、呪いのレベルね」
ハグレの情報などの必要なところを読み終え、今度お祓いでもしてもらおうか、何て考えながら、メールを閉じた。
どうやら一般人には被害が無かったようだから安心したが、どこか引っ掛かる。
「でも、どうしてハグレとこんなに速く遭遇したんだろう。まるで待ち伏せされていたみたいな....」
そこまで呟いて、ふと思い返す。
確かに彼等精霊からすればシュウジのような魔力の持ち主は目立つだろう。
けれどハグレ化した精霊、特にlow程度のハグレには待ち伏せするなどの知能的なものは著しく低下しているはずだ。
報告のメールを見る限りlow以上の存在はない。
ーこれが意味するのは、一つしかない。
「やっぱり今回の依頼は変なところが多すぎる」
過去の柊司が関わった依頼には、直接ハグレが絡む事は無かった。
しかもハグレが群れを成しているなんて聞いたことがない。
「誰かが仕組んだとしか思えないわね」
恐らく柊司はこれを予想していたのだ。
だからこそ、MABへの訪問を実行に移した。
不明な部分を潰していくことで、依頼を完璧にこなす為に。
ーやっぱり、今回の依頼は止めた方が良かったのかな。
少し、後悔に似た感情が芽生える。
ーだけどここで私が動揺しても仕方がない。
私は私の戦いをして、必ず柊司を守る。
私の持ってる能力全てを使って。
それが、柊司の隣に並び立つ者としての私の矜持。
そう、覚悟はとっくの昔にきまっているのだから。
「気弱になるな、わたし」
軽く両の頬をパチンと叩き、私は自分の戦いを始めた。
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