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わたくしは貴方を本当に
しおりを挟む偽物と言われたアリアは、般若の様に怖い表情で吼えている。
レオナルド様が言うようにアリアの瞳は明るめの黄土色に微かに縁が青味を混じっているような色で、明らかにアースアイではないし、早く言えばヘーゼル色ですわ。
そもそも、アースアイでしたら話題になっていますものね。
「あんたのせいだから!」
いきなり矛先がこちらに来て、ビックリしてしまい身体が跳ねました。こんなにオーバーアクションをしてしまい恥ずかしいです。
しかしそのあとに、わたくしを守るように背に隠しながら、レオナルド様が言った言葉で恥ずかしさもどこかに飛んでしまいました。
もしかして、あの買い物の時の黒幕は。
「なんの事よ。もしかして、そこの悪役令嬢ってば襲われたの?あは、悪いことしているからじゃない?」
嘲笑うかの姿に、確信が芽生えましたがわたくしには証拠がありません。恐る恐るとレオナルド様に寄り添い震える手は気付いたら彼の服を掴んでいました。不安を含んだ表情でいると後ろ手でまた、頭を撫でてくれます。
「往生際が悪いな。ウルススが自供したぞ。」
「ウルススがやったの?ああぁ、彼は私を守るためにしでかしてしまったのだわ。」
「ウルススは捨て駒か?憐れだな。」
「あら、私が知らないって言っているのよ。それとも私が唆した証拠はあるのかしら?」
アリアの自信満々の様子から見て、そんな証拠は残していないのでしょう。
でも、レオナルド様も考え無しにこの様な事は言わないはず。
「確か、ウルススに“あの女が怖い”と泣きついたのは学園の人気の無いテラスだったよな。確かにあそこなら人は来ないし、言葉だけなら証拠も残らない。ウルススを信じ込ませる演技も出来るな。」
「な、なん、何でそれを…。」
「散歩をしていたら見かけてね。何度も来ていたみたいだから、何気なく映像を記録する魔道具を置いておいたのだけど何が撮れているかな。」
「嘘よ。あそこは誰も近寄らない場所よ。幽霊がさ迷ってるって…。それに何であんたの様なおっさんが学園に…。」
あっ。たぶんそれはレオナルド様の霊魂ですかね。
実は、レオナルド様が幽霊の時、学園中を色々とさ迷っていたらしいです。わたくしが知っているのは1つですけど、幽霊の噂はいくつかあるようでしたから。全てがレオナルド様とは言いませんが、あの彼の様子からテラスはレオナルド様の仕業ですね。
それより、置いておいたとは触っている事からみるに肉体に戻ってません?
わたくしが目を赤くした別れの前ですよね。どういう事でしょうか。後で詳しく聞かせて貰おうかしら。
レオナルド様の証拠に何も言えなくなってしまったアリアに、今までちやほやしていた王子殿下が蔑んだ目をして見ていた。
でも、貴方様がそれをしてはいけないのでは?
「父上!僕はこの性悪女に騙されていたのです。むしろ変な魔術をかけていたに違いありません!」
「そうか。」
「ラスレアも、僕を愛してくれているのだろ?だから、危険をおかしてでもこの女を排除しようとしたのだろ?」
「……。」
「僕はこれから更に良い国の王になりましょう。」
「成ることは無いだろう。」
「…!?。」
陛下ははっきりとそう仰いました。
陛下曰く、王は国を背負っている。国とは国民であり、その国民の為ならば例え愛する妻であってもなにかの時には疑い、罰するのだとか。
今回もわたくしの話が王子殿下から聞かされたときにこれでもかと調べているのだとか。そして、その時点で女に簡単に騙された王子には見切りをつけたのです。とどめはわたくしの一族の事を裏切り者と罵り始めた事でした。
息子に向けるべきではない冷たい視線を陛下の覚悟だとやっと知った王子殿下は、わたくしの方に向き直り、手を差しのべて来ました。
「ラスレアは僕を助けてくれるのだろう?だって君は僕を愛しているじゃないか。」
「ええ。そうですわね。」
わたくしは、レオナルド様の背後からゆっくりとでて、ティグリスと久々に対等に立ちました。
こうしてちゃんと視線を合わせて話すのはいつぶりでしょうか。
頭のなかにはかつての楽しかった思い出が流れています。どれもこれも小さな頃の思いでしかありませんけど。
「貴方がわたくしを都合の良い召し使い扱いしても、本当に貴方を愛していました。」
「ラスレア?」
「婚約解消をされても貴方が幸せなら、支えようと思いましたし。ですが。」
わたくしの手で熱を持ってきたアザがじくじくと痛む。
「もう、わたくしは貴方を本当に人間とは思えませんの。」
わたくしの言葉に、辺りは静かになってしまいました。王族だからということでなくどなたにも、この様なことは言ってはいけません。でも、これぐらいちょっとした意趣返ししても良いじゃないですか。
辺りが静かになった後に、わたくしの背後で大きな笑い声があがりました。
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