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陛下とこれからと
しおりを挟む陛下が変なテンションで現れたかと思ったら、レオが立ち上がって言葉の通りはっ倒しに向かいました。
こんな陛下は初めてで、目をぱちくりしていると、慣れた様子で侍女がお茶を入れて目の前に置いてくれました。
その様子に首を傾げていると侍女はにこにことして答えてくれます。
「昔はあんな感じでした。」
「しっているの?」
「陛下はよくドラクネア家に遊びに来ておりましたから。」
「へぇ。」
「昔から大人びていた旦那様と子供っぽい陛下がなぜか気があったみたいで。」
子供っぽい。
うん、その通り。
レオの気がすんだのか、陛下にまとわりつかれながらも戻ってきた。レオがわたくしの対面に座り陛下は父の対面に。
早く言えば仲良く並んで座っている。
陛下は満足げに息を吐いて、によによと父に話しかけてかきまさした。
「進展はしたのかい?」
「色々と飛ばしてプロポーズしていたぞ。娘もそれに答えた。」
「えっ、お兄ちゃん聞いてないよ。報連相は大事だよ。」
わたくしの中の陛下のイメージが崩れて行きます。そして、結構な年配の陛下が自分でお兄ちゃんなんて言う姿、見たくなかったです。
きっとティグリスもこんな姿の陛下を見たら何か変わっていたでしょうね。
あら、そうしたらわたくしはレオと出会わなかったしレオは蘇らなかったかも知れませんね。
今だと考えられません。
「遠い目をしているが、大丈夫か?」
「え、あ、ええ。陛下のイメージが崩れただけですわ。」
レオに言われて少しだけ現実逃避をしていた事に気がついた。だって、わたくしの前だといつもダンディなおじ様だったんですもの。
父は気にした様子もなくお茶をすすり、侍女も何事もないように陛下達にお茶をいれています。
きっとこれが陛下の仮面を外したお姿なのですよね。
「では、改めて。ラスレア嬢よ。レオナルドの兄であるグリード・コンティネンスだ。知っての通りここの国の代表者でもある。これから宜しく頼むよ。」
そこで、一息の間ぎはいり、一度だけ頭を深々と下げてくれた。
これは陛下のお気持ちだと思い、素直に受けとることにします。
「それと息子が迷惑掛けたな。」
「いえ。あ、あの。ティグリスはどうなるのですか?」
「あやつの望み通り、男爵令嬢の婿となろう。」
「ですが、男爵令嬢は…。」
男爵令嬢はわたくしを襲ったウルススに指示を出したということで、今、取り調べを受けている。レオの証拠もあるから無実とはいかないでしょう。
それに、騙りの件もある。
誰かが彼女に何か言ったかも知れないがそれでもです。
「うん。その優しさはラスレア嬢の美徳だと思うが、あまりにも度が過ぎると命取りだぞ。」
陛下の言葉にハッとした。
そうですよね。あの手を伸ばされたのに拒絶を示したのはわたくしです。そんなわたくしが今さら心配する資格などありませんね。
これからはレオの隣に立つのです。一人ばかり構ってはいられませんね。
まあ、レオは別ですけど。
それに、この中で彼について一番傷付いているのは陛下なのよね。
「あいつは、王族に戻れないそれだけさ。」
「陛下。」
「それにあいつも真実の愛のためならどこでも大丈夫だろ。」
その真実の愛がすでに無くなっているかも知れないのですが。
誰もその言葉だけは口には出さなかった。これは彼がもたらした結果なのだから。
少しの沈黙の後に、父は口をお茶で湿らせあの時退場した者達の行方を聞いた。おそらく、先程話していた蛇を唆した悪魔とやらが気になっているのでしょう。
「捕らえた奴等はどうしたんだ?」
「ああ。実行者のウルススと指示したアリア、それから馬鹿息子はそのまま一度牢行きだ。その他の三人は特に関与してなさそうだから解放したが?」
「もしかしたら、本当の黒幕が他に居るかも知れないんだ。」
「…詳しく聞こうか。」
陛下の表情がいつもの威厳のある物に変わった。それと同時に空気が張りつめた感じになります。
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