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初めての異世界ライフ
勇者とスキル
しおりを挟む場所は移動して、何処かの部屋。
羽虫は肩にへばりつく二匹を初め、何匹かふよふよと着いてきてくれている。
皆が腰を降ろす椅子とやらに、素知らぬ顔をして同じように座る。そういや、唐にこんな感じの家具があるらしいな。うむ、足も痺れないで良いな。
「こちらに移動しましたのは、スキルを見るためです。」
「スキルとは?」
聞きなれない単語に即座に質問すれば、ルードリィッヒは丁寧に答えてくれた。
「スキルとは、その人の持つ能力です。例えば、弓を嗜む者なら遠くを見る遠視スキル、確実にあてる精度スキルを持つものが多いです。」
「それは、後天的にも持てるのか?」
「はい。人によりますが。」
僕からの質問が終わると、何処からか女の人が入ってきて水鏡の様な金属器に水が張られたものが目の前に置かれた。
ルードリィッヒの前にも置かれていることから、手本を見せてくれるらしい。
使い方は簡単である。指先で水に触れるだけ。
波紋が広がり、ステータスとやらが浮かび上がる。そこには、名前や性別、体力や能力、その他もろもろが見えるらしい。
これって、手の内を見せるようなもんだろ?
良いのかルードリィッヒ。
説明しながら、実践しているルードリィッヒのステータスが浮かび上がる。
─────
ルードリィッヒ・ウェーバー (18)
レベル:不明
性別:男
体力値:5500/5500
魔力:6800/6800 (120)
職業:魔道剣士 第二王子
魔法:不明
能力:不明
─────
うん、平気そうだ。
おそらく、この水鏡ではレベルとやらが高いと写らないのだろう。
自分の能力が知れるとは面白いな。これがあれば、口頭でいくら優秀だと言ってても見破られてしまうのだから。できれば、平安京にも欲しかった。
感慨に耽っていてもしょうがない。では、こちらもやってみるか。
『待て。』
水鏡に触れる直前に青龍王によって止められた。そのまま固まっていては怪しまれるだろうから、周りの金属器に興味があるかのように指先の行方を変えて縁をなぞる。
髭の男やルードリィッヒは他の異界者のステータスを見ている様でこちらを見てはいないみたいだ。
青龍王に先を促せば、また声が響く。
『ステータスオープンと念じろ。』
『ステータスオープン。』
変化はすぐにあった。
頭に浮かぶのは先ほどのルードリィッヒのステータスと同じ表示であった。
『別にあの装置はいらない。あれは、他人に見せるための物だ。そして、想像通りレベルが高いと不明が出てくる。』
なるほど、召喚した我々の手の内を見たいと言うことか。そして、利用できそうなら利用するつもりか。
なら、あらかじめ確認しといたほうが良いな。
─────
ユキミツ・アシヤ (14)
レベル:5
性別:不明
体力値:5000/5000
魔力:20000/20000 (300)
職業:陰陽師(Uレア) 世界の調律せし者(Uレア) 勇者?
魔法:未取得
能力: 陰陽五行(Uレア)
理を知るものが修得。
魔力を使わず、五大属性が使用可。
理を無視しては使えない。
暗器マスター (レア)
使用可の隠し武器を数個持つ者が修得。
戦闘能力向上 隠密能力向上
隠匿
隠蔽スキルの上位。
隠すべき理を持つ者が修得。
都合の悪いものは隠しちゃおうね。
主神からの贈り物
主神から贈り物があります。
修得しますか?(→はい はい)
※スキル隠匿により他人にみられたときのステータスが変わります。変化、表示は変更が可能です。
ドーマン・アシヤに変化します。
職業:勇者?のみ表示します。
能力:秘密に変化します。
──────
……青龍王、とりあえずありがとう。これは見せちゃいけないやつだ。
まだ、皆は他の者にかかりっきりみたいだから、これをこう変えて、ついでに贈り物も見てしまおうか。
はいしか無いんだから選択しようがないよな。
──────
贈り物が開かれました。
言語サーチを獲得します。
ぐーぐりますを獲得します。
主神の加護を獲得します。
言語サーチ
その名の通り。
様々な言葉が分かる。異界者が必ず持つ。
ぐーぐります
分からないものの知識をくれる。
何でも教えてくれる。
思うだけでも答えてくれる。
──────
さらになんか増えた。
でも、何で言葉が通じているのか理由がわかって良かった。それより、ぐーぐりますが凄く気になる。
何でも教えてくれるとはどの程度なのか。
(森羅万象すべて。)
「っ!」
頭に言葉が浮かび上がる。不思議な感覚でちょっぴり驚いた。
ぐーぐります、確かに便利だ。先ほどのゲームとやらも答えてぐれるのか?
(ゲーム:この場で出てきたのは未来型玩具の事である。一人で遊べるものから多人数で遊べるものまで様々。目の前に仮想の映像が流れ、仮想の敵を倒したり、仮想の相手に恋愛したりすることができる。)
ほう、状況も把握しながらの回答か。凄いな。
ゲームという未来での玩具はなかなかに楽しそうだ。未来での玩具が口から出たと言うことは、時代的にも僕より後の者がいるんだな。
「貴方はどうでしたか?」
ぐーぐりますに気をとられていると突然声がかかった。他の者の確認が終わり、とうとう僕の所に来たみたいだ。僕はステータスを内心、変更させながら縁をなぞる指を心残りがあるようにゆっくりと外した。
「器が綺麗で見惚れてた。」
「おやおや、ではまだなのですね。」
「ええ。」
そのまま、ルードリィッヒに促されるままに指先で水に軽く触れる。水面に波紋がゆらりと広がり目の前にステータスが浮かび上がる。
少し心配していたが、ステータスは隠匿スキルがちゃんと発生された値だった。
──────
ドーマン・アシヤ (14)
レベル:5
性別:不明
体力値:5000/5000
魔力:10000/10000 (200)
職業:外法師(Uレア) 勇者?
魔法:未取得
能力:言語サーチ
その他表示不可
────────
「これはこれは、なんとも。」
「なにこれぇ、性別不明とか意味わかんない。」
「この者はウルトラレア持ちか。」
僕のステータスを覗きこむ皆。
ステータスってそんなに他人に見せるものではないだろ。まじまじと見るな。
勇者?だからUレアを入れておいたのだが、何を驚いている。
(Uレア:その存在を持つものはほとんどいない。珍しいの上行く珍しさ。他人に知られない方が良い。)
えー、そういうのはもっと早く知りたかった。そしたら、勇者?だけにしたのに。
やっちゃったと内心思っていると、僕のステータスを見る団体様からそっと抜け出したルードリィッヒがひそひそと話しかけてきた。
「この、外法師とは?」
「理から反れた秘術も使える術者だ。」
ぐーぐりますの知識を借りて簡潔に答えれば、ルードリィッヒは驚いたような顔をしたあと、嬉しそうに笑った。
その笑みは、希望を手にした者が見せる仄かに腹黒い怪しい笑みだ。
思わず、身を引きそうになったが目が真摯な輝きのため、おかしな事にはならないと判断して次の言葉を待った。
「父には内密で後でお話があります。外法師も内容は黙っていた方が良いです。」
その言葉に頷くと、ルードリィッヒは僕から離れて行った。
それと同時に他の奴等に囲まれる。特に近いのが髭の男。
それ以上近寄るな。近づいたら青龍王をけしかけるぞ!
あまりにも近い距離のため、数歩後ろに下がる。
どうにか距離を稼ぐと、今まで接点など皆無であった異界の者達が髭の男を押し退けて話しかけてきた。良いのかお前らそいつ一応人族の大王だぞ。
「同じ勇者としてお話ししない?」
異界者の一人である薄桃色の色味を帯びた榛色の髪を持つ少女がそう言って近づいてきた。
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