その異界者、陰陽師なり。

SHIN

文字の大きさ
4 / 6
初めての異世界ライフ

勇者とスキル

しおりを挟む


 
 場所は移動して、何処かの部屋。
 羽虫は肩にへばりつく二匹を初め、何匹かふよふよと着いてきてくれている。

 皆が腰を降ろす椅子とやらに、素知らぬ顔をして同じように座る。そういや、唐にこんな感じの家具があるらしいな。うむ、足も痺れないで良いな。


「こちらに移動しましたのは、スキルを見るためです。」
「スキルとは?」


 聞きなれない単語に即座に質問すれば、ルードリィッヒは丁寧に答えてくれた。


「スキルとは、その人の持つ能力です。例えば、弓を嗜む者なら遠くを見る遠視スキル、確実にあてる精度スキルを持つものが多いです。」
「それは、後天的にも持てるのか?」
「はい。人によりますが。」


 僕からの質問が終わると、何処からか女の人が入ってきて水鏡の様な金属器に水が張られたものが目の前に置かれた。
 
 ルードリィッヒの前にも置かれていることから、手本を見せてくれるらしい。

 使い方は簡単である。指先で水に触れるだけ。
 波紋が広がり、ステータスとやらが浮かび上がる。そこには、名前や性別、体力や能力、その他もろもろが見えるらしい。

 これって、手の内を見せるようなもんだろ?
 良いのかルードリィッヒ。

 
 説明しながら、実践しているルードリィッヒのステータスが浮かび上がる。


 ─────

 ルードリィッヒ・ウェーバー (18)

レベル:不明
    性別:男
体力値:5500/5500
    魔力:6800/6800 (120)
    職業:魔道剣士 第二王子

    魔法:不明
    能力スキル:不明


───── 


 うん、平気そうだ。
 おそらく、この水鏡ではレベルとやらが高いと写らないのだろう。
 
 自分の能力が知れるとは面白いな。これがあれば、口頭でいくら優秀だと言ってても見破られてしまうのだから。できれば、平安京にも欲しかった。

 感慨に耽っていてもしょうがない。では、こちらもやってみるか。


『待て。』  


 水鏡に触れる直前に青龍王によって止められた。そのまま固まっていては怪しまれるだろうから、周りの金属器に興味があるかのように指先の行方を変えて縁をなぞる。
 髭の男やルードリィッヒは他の異界者のステータスを見ている様でこちらを見てはいないみたいだ。

 青龍王に先を促せば、また声が響く。


『ステータスオープンと念じろ。』
『ステータスオープン。』


 変化はすぐにあった。
 頭に浮かぶのは先ほどのルードリィッヒのステータスと同じ表示であった。


『別にあの装置はいらない。あれは、他人に見せるための物だ。そして、想像通りレベルが高いと不明が出てくる。』


 なるほど、召喚した我々の手の内を見たいと言うことか。そして、利用できそうなら利用するつもりか。
 なら、あらかじめ確認しといたほうが良いな。

 



─────

 ユキミツ・アシヤ (14)

レベル:5
    性別:不明
体力値:5000/5000
    魔力:20000/20000 (300)
    職業:陰陽師(Uレア) 世界の調律せし者(Uレア) 勇者?

    魔法:未取得
    能力スキル陰陽五行いんようごぎょう(Uレア) 
           ことわりを知るものが修得。
           魔力を使わず、五大属性が使用可。
           理を無視しては使えない。

          暗器あんきマスター  (レア)
           使用可の隠し武器を数個持つ者が修得。
           戦闘能力向上 隠密能力向上
            
          隠匿いんとく
            隠蔽スキルの上位。
            隠すべき理を持つ者が修得。
            都合の悪いものは隠しちゃおうね。

          主神からの贈り物
           主神から贈り物があります。
           修得しますか?(→はい   はい)

         ※スキル隠匿により他人にみられたときのステータスが変わります。変化、表示は変更が可能です。

         ドーマン・アシヤに変化します。
         職業:勇者?のみ表示します。
         能力:秘密に変化します。


──────


 

……青龍王、とりあえずありがとう。これは見せちゃいけないやつだ。

 まだ、皆は他の者にかかりっきりみたいだから、これをこう変えて、ついでに贈り物も見てしまおうか。

 はいしか無いんだから選択しようがないよな。




──────

 贈り物が開かれました。

      言語サーチを獲得します。
      ぐーぐりますを獲得します。

      主神の加護を獲得します。

     言語サーチ
       その名の通り。
       様々な言葉が分かる。異界者が必ず持つ。

     ぐーぐります
         分からないものの知識をくれる。
        何でも教えてくれる。
         思うだけでも答えてくれる。


──────

 さらになんか増えた。

 

 でも、何で言葉が通じているのか理由がわかって良かった。それより、ぐーぐりますが凄く気になる。
 何でも教えてくれるとはどの程度なのか。

 (森羅万象すべて。) 

「っ!」

 頭に言葉が浮かび上がる。不思議な感覚でちょっぴり驚いた。
 ぐーぐります、確かに便利だ。先ほどのゲームとやらも答えてぐれるのか?

(ゲーム:この場で出てきたのは未来型玩具の事である。一人で遊べるものから多人数で遊べるものまで様々。目の前に仮想の映像が流れ、仮想の敵を倒したり、仮想の相手に恋愛したりすることができる。)

 ほう、状況も把握しながらの回答か。凄いな。
 ゲームという未来での玩具はなかなかに楽しそうだ。未来での玩具が口から出たと言うことは、時代的にも僕より後の者がいるんだな。
 

「貴方はどうでしたか?」


 ぐーぐりますに気をとられていると突然声がかかった。他の者の確認が終わり、とうとう僕の所に来たみたいだ。僕はステータスを内心、変更させながら縁をなぞる指を心残りがあるようにゆっくりと外した。


「器が綺麗で見惚れてた。」
「おやおや、ではまだなのですね。」
「ええ。」


 そのまま、ルードリィッヒに促されるままに指先で水に軽く触れる。水面に波紋がゆらりと広がり目の前にステータスが浮かび上がる。
 少し心配していたが、ステータスは隠匿スキルがちゃんと発生された値だった。


──────

   ドーマン・アシヤ (14)

 レベル:5
      性別:不明
  体力値:5000/5000
      魔力:10000/10000 (200) 
      職業:外法師(Uレア) 勇者?

      魔法:未取得
      能力:言語サーチ
               その他表示不可


────────





「これはこれは、なんとも。」
「なにこれぇ、性別不明とか意味わかんない。」
「この者はウルトラレア持ちか。」


 僕のステータスを覗きこむ皆。
 ステータスってそんなに他人に見せるものではないだろ。まじまじと見るな。

 勇者?だからUウルトラレアを入れておいたのだが、何を驚いている。

(Uレア:その存在を持つものはほとんどいない。珍しいレアの上行く珍しさ。他人に知られない方が良い。)

 えー、そういうのはもっと早く知りたかった。そしたら、勇者?だけにしたのに。
 やっちゃったと内心思っていると、僕のステータスを見る団体様からそっと抜け出したルードリィッヒがひそひそと話しかけてきた。


「この、外法師とは?」
「理から反れた秘術も使える術者だ。」


 ぐーぐりますの知識を借りて簡潔に答えれば、ルードリィッヒは驚いたような顔をしたあと、嬉しそうに笑った。
 その笑みは、希望を手にした者が見せる仄かに腹黒い怪しい笑みだ。

 思わず、身を引きそうになったが目が真摯な輝きのため、おかしな事にはならないと判断して次の言葉を待った。


「父には内密で後でお話があります。外法師も内容は黙っていた方が良いです。」


 その言葉に頷くと、ルードリィッヒは僕から離れて行った。
 それと同時に他の奴等に囲まれる。特に近いのが髭の男。
 それ以上近寄るな。近づいたら青龍王をけしかけるぞ!
 
 あまりにも近い距離のため、数歩後ろに下がる。
 どうにか距離を稼ぐと、今まで接点など皆無であった異界の者達が髭の男を押し退けて話しかけてきた。良いのかお前らそいつ一応人族の大王だぞ。


「同じ勇者としてお話ししない?」


 異界者の一人である薄桃色の色味を帯びた榛色はしばみいろの髪を持つ少女がそう言って近づいてきた。




 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

完結 私は何を見せられているのでしょう?

音爽(ネソウ)
恋愛
「あり得ない」最初に出た言葉がそれだった

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

処理中です...