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青い光のスヴェトリナー
開幕
しおりを挟む王はその魔法道具を手に入れたときに歓喜した。
青い炎はその存在を示すかのように揺らめき輝いている。他に見ない青白いその炎が揺らめく度に王の望むことが叶った。そんな青い炎は時折人の姿になるときがある。性別はわからなかったが恐らくそれは可憐な少女の姿で『かえして』と嘆いて涙を零す姿がとても美しかった。その魔法具の土台には何かが嵌まるくぼみがあった。試しにそこに宝石を宛てがって見ると宝石は消え、炎の輝きがまし願いが叶うのだ。
王はその魔法具を使い民の暮らしを覗いてみることにした。国の主たるもの民に慕われているだろうと、それがいけなかった。
まずは魔道具に新たな宝石を与え人々が口の軽くなる酒場を壁に映し出させる。
そこには冒険者や仕事終わりの人々がやんのやんのと盛り上がっている。自分の女房がどうの、あそこの店員が可愛いだの、どこどこのダンジョンが胸熱だの。暫くは王の興味もなく知りたくもない事が話されていた。だが酒が入るにつれて段々と王への不満も微かに漏れ始める。
『兵士使いが荒い』『モンスターが来襲すると部屋に籠もるビビリだ。』
『給金も安い。』『税も高いのに税で造る設備は自分の物だけだ。』
そんな不満の声が聞こえてきて王は身体を震わせた。
いや、きっとここの者たちがおかしいのだろう。そう思って魔道具を使って国の他の場所を写して見たが結局の所は王を称える話はなく不満だらけだった。
彼は殊更に憤慨した。
何が兵士使いが荒いだ。ろくに城も守れもしないのにウロウロといるのだからちょっとした頼みぐらい聞けばよかろうに。
何がビビリだ。吾がいなければこの国は終わるのだぞ。吾は死んではならぬと部屋で籠城しているだけではないか。
何が給金も安いだ。それは自分の働きが悪いからではないか。もっともっとこんなところで酒を飲んでいる、いや寝ている暇があるなら働いて税金を払えば良いだろう。
何が税金が高いだ。ここは吾の国ぞ。吾の為に働いた金を何に使おうと良いではないか。
おのれ愛国心の低い国民共め。
怒り震える王。ふとその手にある青い炎が視界を掠めて思い立つ。
「吾にはこれがあるではないか。」
青い炎のついた美しい模様の入った魔道具は王の欲望に塗れた顔を映し出す。このランプに願えば自らの欲望が叶う。寝ずの兵士が欲しい。誰にも負けない守りがほしい。頭の中に浮かぶのは王のための欲望ばかりだ。
まずは何から願おうか。
ほくそ笑みながら青い炎のランプに輝く石を投げ入れた。
そんな王の姿を物陰から見ていた者がいた。
その者は王様の元にあのランプを運んだ者だった。
ひょんなことから手に入れたランプ。
ちょっとしたいたずら心で憎々しいく思っていた王様を懲らしめてやろうとしただけなのに。あの魔法のランプを取られてしまった。
どうしようか。
王様はあのランプを使って何かを仕出かす気である。幸いと王はこの者の事などすっかり忘れていたのだ。
今ならどうにかできるかも知れない。しばし迷ったあとその者はそっとその場を離れて逃げ出した。
なぜならこの者には何もなかったのだ。身一つで働いていたところから追い出されて、たまたま手に入ったランプを使い、こんな身の上になった原因でもあるこの国の王様を驚かそうとしただけなのに。
こんな国には居られない。
王様は自分勝手でこれから何が行われるのかも想像もつかない。
なぜか誰も居ない城の通路を走り、石畳の回廊を抜け見知った井戸のある一軒家にたどり着く。井戸の中には水が揺蕩いその水を組み上げた桶の中に自分の顔が写る。そこには情けない表情をした痩せこけた男の顔が写った。
どうしてこうなってしまったのだろうか
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