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小さな怪獣くん②
しおりを挟む先日はブーケを決めて、可愛らしい探検家にも出会えたレイリです。
あいも変わらずイェシル殿下からのプロポーズはないですが、何かを言いよどむ姿が見えられた。
何だかんだで完璧主義なイェシル殿下は言葉が気に入らないのか、最後にはなんでもねぇと口を閉じる。
「私は、どんな言葉でも受けるつもりなんですけどね。」
「悪いな。人様の人恋には興味ないんだ。」
今日はドレスの採寸に東の国のイェシル殿下の知人と言うなの友人が来てくれている。
褐色の肌に切れ長の目、どことなく日本人に似た顔立ちの青年が、簡単に採寸をしてくれた。
彼は、イェシル殿下のひとつ下の学年にいたタイラ。
「それにしても悪趣味だな。イェシル先輩だなんて。」
「そう?優しいよ。」
「それはお前だからだろ。」
「ええぇ、そうかしら?」
腕を上げたり胸を張ったり、採寸は体力を使う。たまに水を飲んで休憩をする。
今日は、自信作のミルクレープも持ってきてテーブルに置いてある。甘さ控えめで彼にもきにいってもらえるだろう。
タイラも疲れたと休憩に入り、初めて見るミルクレープに舌鼓を打つ。
二人でのどかに食べていると、ぴょこりと手だけがテーブルに置かれた。正体は言わずとも可愛らしい子なのはわかっていたので、私のあまりで申し訳ないが、ミルクレープを彼の手に届くように置いておく。
ここの所私のストーカーになっている彼におやつをあげるのが日課になっている。ただし、彼は隠れているつもりらしいので、気付かれたと知られるのはまずいということで、こんなふうに一口だけ食べて置くようにしている。
「お腹いっぱいになっちゃったから、ここに置いておこう。」
「…彼は、イェシル先輩の…。」
「可愛いでしょ。」
「やはり、趣味が悪いな。」
いつの間にかミルクレープが消えていたのを確認して、ドレスの形や、デザインの希望をぶつけてみる。
マーメードラインだと体のラインが目立つし、プリンセスラインは可愛らしすぎるかしら。シンプルにAラインにして、パーティの時みたいに石でも散らす?
「いやいや、あんたならマーメードラインでもイケるだろ?」
「栄養不足だったからこんな貧相な身体よ?」
「十分いい身体だから大丈夫だ。その身体で不満を言ってるとオレの奥さんは壁だから落ち込む。」
タイラの奥さんは、タイラ曰く絶壁な持ち主、本人がとても気にしているらしく、相談を持ち掛けられたことがあった。私の知る対処方法で良ければ教えて挙げられるけど。
え、教えてほしい?
「豆乳飲んで、それから…。」
愛する人に揉んでもらえると大きくなりますよ。
「なっ、も、揉む!?」
「はい。そうするとホルモンが活性化して大きくなるらしいです。」
諸説はあるけれど。
豆乳は疑似女性ホルモンと言われる成分が入っているので効くらしい。というか昔の友人が豆乳でとても凄い成長を見せたのでぜひやって見て結果を教えてほしい。
まあ、そういうことでレッツチャレンジ!
「ご、ゴホンッ。帰ったら豆乳でも用意することにするよ。」
「飲みづらかったらラッシー風にしても良いですよ。」
「なるほど。」
きっと頭の中には私のドレスより奥様の為のメニューを考えているのでしょう。ラブラブで羨ましいことです。
別にイェシル殿下とベタベタしたいとかでなく、むしろ今の距離感が丁度良いです。ただ、タイラの様にお互いを考えているよい関係が羨ましいのです。
ふと、テーブルを見ると、空の皿が戻されているのが見えた。小さな探検家は満足してくれたらしい。
それにしても、最近小さな探検隊がストーカーの如くついてくるけど、一体何が目的なのかはわからない。
イェシル殿下の親族なのはわかるのだが、可愛いからいいのだけど。
その後、こちらに意識を戻したタイラによってものすごい速さでドレスを決められて、どことなく嬉々として帰って行ったことをここに記るす。
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