悪役とは誰が決めるのか。

SHIN

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美味しく食べれないと意味がない!






 エルの相談から発覚した、エルの姉であるフレアの貧血やその原因の緩和の為に料理を作ります。
 医食同源の考え方です。バランスの良い食事は病気の予防にもなるのです。

 エルの話しによるとフレアは結構偏食がありますね。好んで食べるのは肉料理の様で野菜はあまり口にしないのだとか。
 肉料理を食べているから貧血に良いのではなんて思っているのは間違いなんですけどね。




「野菜がね。土臭い感じがするの。」




 そう感じる人も居ますよね。味覚が敏感なのかしら。
 うん、メニューはあれにしようかな。エルにも手伝いをお願いしよう。

 そうそう、今は厨房に居ます。とても広くて使い込まれた雰囲気の厨房です。
 そこにいるシェフの方々に睨まれておりますが、挫けません。フレアのためですもの。





「お嬢、言っていた材料は用意しといたよ。」
「さすがはエルね。じゃあ、ミルクも用意してもらえる?」
「はいはい。」



 エルに材料の追加をお願いすると、周りがざわざわとし始めた。そして、シェフの一人があわててミルクをエルに手渡している。
 もう、つっこまないぞ。エルが何者でもエルだもの。

 私は大豆を水につけて置き、ほうれん草を大量のお湯で湯がく。その時蓋はしないのがコツだ。少ないお湯だとフレアが言っていた土臭さやえぐみが出てくるのよね。
 湯がき終えたほうれん草は熱いまま水気を絞り、程よい大きさに切っておく。
 流水で洗う人もいるけど、そうすると水っぽい気がするので私はしない。



「エル、悪いけどほうれん草を一度凍らせて自然解凍しといて。」
「お嬢、私は冷凍庫じゃないのだけど。」
「時間短縮よ。」
「……わかったよ。」




 次に手をとったのはひじき、なんと生ひじき!
 した処理として下湯でをしておきます。そのままだと磯臭くなりますのでお気をつけください。
 
 そろそろ、牛肉にかかろうかな。
 牛肉は塊で用意してあったので余計な事はしないでダージリンの紅茶でゆでることにします。
 先ずはお湯に一度潜らせてから、水に紅茶の茶葉やネギや生姜を混ぜたものに入れます。あとはぐつぐつ十分から十五分放置。


 こうしているうちに、大豆がいい感じです。浸けていた水に泡が立ち、大豆が大きくなっています。浸け水をすて綺麗な飲み水にも使える水魔法の水を入れます。

 これは私がやりましたよ?エルばかり魔法は使わせませんって。

 こうした大豆をミキサーに入れて液状にします。液状になったものを布で濾せば、豆乳とおからの出来上がりです。
 豆乳を少し分けておき、あとは豆腐にしてしまいましょう。
 豆乳を温め、温度を確認しながらにがりを入れて行きます。にがりが入りゆっくりとかき混ぜてしばらくすれば、固まりができます。これを布を敷いたザルに流し、水分を抜くのに重しを乗せたら豆腐になります。


 先に分けていた豆乳はミルクと風味だけの少量のコンソメとあわせて、自然解凍したほうれん草を煮て塩胡椒で味を整えます。ほうれん草のミルク煮です。
 
ひじきはサラダにしよう。マヨネーズと塩で和えたお手軽でありながら食物繊維の豊富な一品となります。キュウリを千切りにして入れても美味しいの。うん、入れよう。色合いも良いしね。




「では、メインにいきましょうか。」





 私の言葉で、最初は敵意丸出しだったシェフ達が目を輝かせています。途中からメモをとり始めましたね。あとで、エル経由で色んなレシピを渡しますのでフレア様の為に作ってね。

 メインの牛肉は時間が経ったあと火を止めておきました。自然に冷めるのを待つとジューシーになりますよ。紅茶を入れなければ、残ったゆで汁はスープになります。
 さらに、冷めてからだと肉が切りやすいので薄く切ります。それを皿に盛り付けると、次にソースを作る。
 作るのは玉ねぎやパセリなどの入った香味野菜ソース。
 玉ねぎをあらみじん切りにして、パセリ、生姜はみじん切りにする。それを酒と醤油で軽く煮てから冷まし、レモンを入れる。これで完成、お手軽香味野菜ポン酢ソース。

 前世ではドレッシングというものがあったな。あれは便利だった。



 後は、料理を綺麗に器に飾り付ければ完成。心なしかひじきサラダとほうれん草のミルク煮は多目に盛っております。


 食事をフレアの部屋に運ぶようにエルが指示を出したあと、私と手を繋ぎ転移でフレアの部屋に。
 多目に作ったのでシェフ達も食べてくれるといいな。




「フレア様、完成しましたわ。」
「今持ってきてもらうからね。」



 料理は直ぐに用意された。
 フレアの目の前に広がる品々に目を丸くして、まじまじとみている。
 そして、おそるおそるといったように先ずはほうれん草のミルク煮を口に運ぶ。




「……美味しい。」




 フレアの口から漏れた言葉に、思わず私はふにゃっと笑みを浮かべだ。どうやら土臭くは無いようだ。対策をしたとはいえもし、ダメだったらと不安ではあったのだ。

 一口食べたら後はどんどん料理が消えてゆく。時おり『ほぉ。』とか『んー!』とか呟いて悶えている姿はエルでは見ることが出来ないもの。
 ちゃっかり自分の物も持ってきていたエルはいつもながら幸せそうに食べているが無言で味わっている。




「まさかひじきがマヨネーズと合うなんて。」
「私の屋敷では良くやるんですよ。」
「ほうれん草も柔らかくて臭みもなく初めて完食しちゃったわ。」
「それは良かったです。」
「それと気になったのはあの白いプルプルしたもの。初めて見たわ。」
「あれは大豆から作りました。」




 今回、豆腐はシンプルに冷奴で出してみたのですが、お口にあった様です。

 大豆には女性のホルモンを調整してくる成分が入っています。なので、更年期の方やホルモンに異常がある方は積極的に取って欲しい食材ですね。もちろん、いっぱい食べたからといって何か病気が治るというものではありませんが。むしろ逆に不調を起こしたりもしますのでほどほどに。

 今回のメニューは貧血とホルモンバランスを整えるメニューです。


 それを伝えれば、フレアの嬉しそうな微笑みをいただきました。





「私の為にありがとう。」
「ふふ、お礼はエルにお願いします。」
「そうね。エルありがとう。」
「いえ、姉上は大切な家族ですから。」
「それにしても、浮いた話の一つもないと思っていたエルがこんな素敵な娘を捕まえているなんて。」




  フレアのその言葉に、エルと二人して思わず顔を赤くしたのはこの場での秘密だ。








 
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