悪役とは誰が決めるのか。

SHIN

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悪役令嬢とは誰が決めるのか。




 まぶしいライトに照らされて私はエルと共に多くの人の前に立つ。
 各国の重要人物達も参加する大会に私とエルはとして参加している。
 あの後、父に両思いだとバレたら早かった。

 すぐに国王陛下に打診して、その場にいたフレア様も賛同を示しあっという間エルディオン殿下の婚約者となりました。

 大会の場を借りてお披露目をした後、お祝いの言葉を下さった大国の人達や遠方からのお客人にそれぞれの国の言葉でお礼を述べます。

 ある程度区切りがついたあといよいよ大会がはじまりました。
 この大会は国から数人の代表者を出して、マナーや教学、ダンスを披露して点数を競い合うのです。ここまで説明したらどこかで聞いた事があると思いますね。そうです、私が本来ならアイリスにいちゃもんをつける内容です。
 
 まさに、この日の為の下準備だったのです。
 

で、私が今立っているところはそのアイリスが立つはずだった場所。なんと、大会で優勝しちゃいました。
 エルは当然だというように満足げに私の腰に手を回してより添っています。

 ちなみにアイリスは想像通りの散々な結果でした。参加しているのが不思議なぐらいです。どうやらドランが頼み込んで公爵が手を回したそうなので当然と言えば当然でしたね。


 これから、スピーチをするのですが原作で主人公アイリスは大国の言葉でスピーチをしていました。なぜなら、大国の言葉は大体の国で習うからです。

 前世でいうなら日本人が英語を習うようなものですね。

 私は緊張で震える手でマイクを取り、波立つ気持ちを落ち着かせるように一呼吸をついた後、声を発しました。



「この度、優勝という名誉を頂きましたユーリ・ブラットレイです。」


 この国の言葉で。


「私はエルという愛しい人と巡りあえて幸せです。私の足りない部分を補ってくれる方が側に居てくれたからこそ優勝出来たのだと思います。」


 大会のダンスではパートナーは任意で選んで良いのです。勿論私はエルを選び、アイリスはドランでした。
 アイリスはドランのフォローのお陰で彼女にとってはかなりの上位でした。本当にドランがアイリスを愛しているのが良く分かります。

 私もエルと踊り、緊張のためかステップを何度か間違えましたが、エルがどことなく合わせてくれたお陰でミスにならずに済みました。本当に優勝できたのはエルのお陰だと思っています。


「今も、国語で話す私に変わり大国語で通訳の様にしています。私がスピーチを国語で話す事を相談したときに私たちの国語を知らない方の為にエルが通訳すると言ってくれたのです。」


 私はスピーチをどうしても国語でやりたかった。
 確かに大国の言葉は共通語で色んな方に通じるし、商人になりたい私は大国をはじめ色んな言葉を話せるわ。
 実際、お祝いのお礼のときはそれぞれの言葉でお礼を述べたし。

 でも私はこの国が好きで大切にしたい。この国があったから私がいる。その気持ちを込めて国語を選んだのだ。


「……私はこの大会に優勝できて、よりエルの大切さを知りました。ありがとうございます。」


 最後に微笑みと共に頭を下げる。
 そうすれば盛大な拍手を貰う事となった。頭を上げてエルを見上げれば優しい笑みで頷いてくれている。それを見て成功なんだと実感した。

 残りの問題は壇上に上がってから睨み付けている少女かしらね。



 

─────────





 すべてが終わり花束とトロフィーを抱えて舞台裏をエルと歩いているとローズピンクのドレスを着たアイリスが立っていた。
 腕を組み、その顔は本来なら可愛らしのだけどいまは怖く感じる。

 エルが一歩前に立ち守ってくれているが、その隣に立つ。だって私もエルを守りたいから。


「……あんた、記憶持ちでしょ。」
「ごきげんよう、アイリス様。」
「はぐらかさないでよ。じゃなきゃ私が大会で優勝してるはずよ。」
「はぐらかすだなんて、何をいっている。」
「エルディオン様、この女は悪女なんです。騙されないで。」


 想像していましたが、やはり彼女は変わっていなかった。
 どうしたらそんな考えになるのかしら、ほら見なさいエルも呆れてるじゃない。


「この女は私を妬んで邪魔をしているんです。」 
「あら、エルという愛しいものができた私が貴女を妬む?」
「あり得ないな。」
「ですが彼女は悪役令嬢でドランを、まだ愛して……そうよ、エルディオン様は利用されているんだわ。」
「はぁ、ひとつ聞いてもいいか?悪役令嬢とはなんだい?」


 エルの質問にアイリスは悪役令嬢について語りはじめた。それは、私が本来行うはずの苛めや他の小説の悪役令嬢の例などを持ち出してきた。
 それらを聞いていても今更ながら悪役令嬢ってなんなのかしらね。


「……こんな風に意地悪をする令嬢を悪役令嬢というのです。」
「うん、ならなおさらユーリは違うよね。彼女は君に何もしなかった。」
「で、ですから……。」
「そもそも、君の言う悪役令嬢はただのお人好しだよね。婚約者を奪われてもその相手を成長させようとしてるように私は思うが?」
「もう、やめないかアイリス。」


 何処にいたのか、声をかけてきたのはドランであった。ドランはどことなく疲れた笑みを浮かべた表情で現れた。しばらくみないうちに年をとったみたいね。

 ドランが現れて、アイリスはうつ向き黙ってしまった。


「ユーリ、エルディオン殿下、ご迷惑をお掛けしました。」
「ドラン、私は悪女をっ」
「ねぇ、悪役令嬢って誰が決めるの?」
「っ、そんなの皆にっ。」
「その皆は何処にいるの?」
「えっと……。」
「私にとって悪役令嬢は貴女よ。」


 ドランが納めようとしていた場を乱そうとしたアイリスに私は言葉を綴る。
 そして、最後の言葉は私の本音。
 色々と私を悪役令嬢と詰るその行動はまるでいちゃもんをつける悪役令嬢でしょ?


「ちがっ、私は……。」
「エル、行きましょう。」
「ああ、そうだな。ドラン、あとはお前の判断に任せる。」
「寛大な判断に感謝します。」


今までのことはなかった事にするつもりです。
 アイリスには私もエルももう諦めている。きっとドランもね。私がキレて意思をぶつけたのは1ヶ月も前。それでも何も変わらないのならもともと気にしてなかったけど、何があってもどうでも良い存在。

 



──────




あれから数年。

 私はエルと結婚して公爵夫人になりました。
 エルはやはり陛下から新たな公爵という爵位と土地をもらいそこにすんでいます。
 しかもお腹には新たな命も宿り、私の商人としての商業も順調で雇用もふやしました。

 えっ、ドランとアイリスですか?
 誰ですそれは?うふふ。



「ユーリ、悪どい顔してるよ。」
「あら、エル。悪役令嬢みたい?」
「まさか、ユーリは私の愛しの奥さんだよ。」
「うふふ、ありがとう。」



 悪役令嬢かはが決めるのよ。






end
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