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40.怒り
「ふざけるなっ! お前ら全員バカか?!」
富永がベッドの上に駆け上がり、神乃の上にいたヒロくんを強烈な回し蹴りでぶっ飛ばした。
ヒロくんはその衝撃で頭から転げ落ち、足と尻を上に向けた無様な格好でベッドの横に倒れている。
ヒロくんから解放されたその隙に神乃は起き上がり、自らの乱れた着衣を直す。
「俺は今、お前らの考えていることが全部わかった」
富永はズカズカと藍羅に近づいていく。そして威圧的に藍羅を見下ろした。
「藍羅。俺は間違いなくお前を抱いてない。それなのに何が『責任取れ』だ?」
「なっ、なんで? そんなのとみーが覚えてないだけでしょ?」
藍羅は反論しているがタジタジだ。富永の圧が強すぎる。
「じゃあお前に聞く。今俺が着ている服は誰が着せた?」
「えっ? それはかみのんが……とみーが服を汚したからって……」
「それはお前が神乃と入れ替わる前ってことだろう?」
「う、うん……それが?」
藍羅は富永の言わんすることを理解しかねているようだ。
「そもそも俺は吐いてもないし、俺を着替えさせたのは神乃。そのあと、この服を俺は脱いでない」
「なんでわかるの?」
「俺にはわかる。最後にこれを着せたのは神乃だ。間違いなく神乃の仕業だ」
富永は、神乃がスウェットを着せたときのメッセージに気がついたようだ。
「酔っていたとはいえ、俺の記憶をどれだけ手繰り寄せても藍羅は相手にしていない。うろ覚えでもあれは神乃だ。思い出せば出すほど神乃だ。お前なんかに誰が手を出すか!」
藍羅は言葉を詰まらせた。富永に責められ反撃の言葉が見つからないようだ。
「次は藍羅の彼氏! お前、そんなところで寝てないでさっさと起きろよ!」
富永はヒロくんの首根っこを掴んで引き起こした。そもそもヒロくんに蹴りをくらわせて床にしずめたのは富永だが。
「ぼ、僕は別に……神乃さんから藍羅の本性を教えてもらって、悔しくなって、藍羅に復讐を……」
「私に復讐?! あんた、私の味方じゃなかったの?!」
「そうだ。僕をバカにした罰だ。僕は地味でつまんなくて、デートしててあくびがでるんだろ?」
「ちょっと……!」
「私服と車のセンスが悪くて悪かったな! 僕の母親は足が悪いから母でも乗りやすい車を選んだんだ。家で倒れた母親を無視してデートにいく息子はさすがにいないだろ? それのどこがマザコンなんだ?!」
「はぁ?! なんであんたがそんなこと知ってんの?!」
今度はヒロくんと藍羅の言い合いだ。
藍羅としてはヒロくんを手懐けたつもりでいたんだろう。
嫌な予感がしたのか、藍羅は自分のスマホを取り出した。画面を見て「何これ?!」と悲鳴を上げている。
「ちょっと! 私のSNSが炎上してる! えっ、なんで課長との不倫が……」
「明日出社してからかと思ったけど、もう部署内の噂になってるんだな」
「えっ?! ヒロくん、何したの?!」
「不倫する男も、既婚者だと知ってて近づく女もどっちも嫌いだ」
ヒロくんは目がやばい。
「私の上司の鈴木っちにも何か言った……?」
スマホを持つ藍羅の手が震えている。
「もちろん」
藍羅の顔が青ざめている。部署に不倫の怪文書メールをばら撒かれ、直属の上司に男を散々寝取ってきた事実をバラされたら今の会社に藍羅の居場所はなくなるんじゃないだろうか。
「あり得ない……! あんた最低! 」
「最低なのはそっちだろ!」
藍羅とヒロくん、ふたりの醜い罵り合いが続く。
「そんなものは後でやれ!」
富永の声にふたりがビクッと肩を震わせた。
「ヒロくんさんは、ちょっと話してすぐにゲイだとわかったよ。お前が神乃を見る目は明らかに熱っぽかった。俺の恋人だと知りながら、神乃に一目惚れか?」
富永はヒロくんが男が好きだと言うことを見抜いていたのか。神乃はまったく気がつかなかった。いつ、ヒロくんからそんな熱っぽい目で見られていたのだろう。
「ゲイなのになんで女の藍羅と付き合ってたんだ? カモフラージュか何かか?」
「は、はいっ……」
ヒロくんは富永にまた吹っ飛ばされるのではないかと怯えているようだ。
「付き合ってた藍羅がクソ女と知って、そのとき神乃に出会ったのか? それで神乃が欲しくなった。それでお前はさっきみたいな卑劣な真似をして無理矢理にでも神乃を手に入れようとした。お前、あれは犯罪だぞ?」
「いやっ、だって神乃さんから誘ってきたんです! 俺と藍羅を恋人交換してくださいって!」
「はぁ? お前は恋人交換が藍羅の考えた、くだらない話だと知ってただろ? 決して神乃が言い出したことじゃない。なのにそれで神乃の同意を得たって言い訳するのか? ふざけんな!」
富永はヒロくんの胸ぐらを掴んで睨みつけたあと、ドンッと突き飛ばした。
「そして神乃!」
富永は神乃のほうを振り返った。その目にはいつもの優しさはない。富永は完全に怒っている。
それも当然だ。神乃のせいでこんなくだらないことに巻き込まれて、富永は一番の被害者だ。
「お前が一番意味がわからない。まさか俺と別れたかったのか?!」
富永が迫ってきて、神乃の腕を強く引っ張った。
「時間はある。ゆっくり話を聞かせろ」
富永に引っ張られ、神乃は隣の部屋に連行された。
富永がベッドの上に駆け上がり、神乃の上にいたヒロくんを強烈な回し蹴りでぶっ飛ばした。
ヒロくんはその衝撃で頭から転げ落ち、足と尻を上に向けた無様な格好でベッドの横に倒れている。
ヒロくんから解放されたその隙に神乃は起き上がり、自らの乱れた着衣を直す。
「俺は今、お前らの考えていることが全部わかった」
富永はズカズカと藍羅に近づいていく。そして威圧的に藍羅を見下ろした。
「藍羅。俺は間違いなくお前を抱いてない。それなのに何が『責任取れ』だ?」
「なっ、なんで? そんなのとみーが覚えてないだけでしょ?」
藍羅は反論しているがタジタジだ。富永の圧が強すぎる。
「じゃあお前に聞く。今俺が着ている服は誰が着せた?」
「えっ? それはかみのんが……とみーが服を汚したからって……」
「それはお前が神乃と入れ替わる前ってことだろう?」
「う、うん……それが?」
藍羅は富永の言わんすることを理解しかねているようだ。
「そもそも俺は吐いてもないし、俺を着替えさせたのは神乃。そのあと、この服を俺は脱いでない」
「なんでわかるの?」
「俺にはわかる。最後にこれを着せたのは神乃だ。間違いなく神乃の仕業だ」
富永は、神乃がスウェットを着せたときのメッセージに気がついたようだ。
「酔っていたとはいえ、俺の記憶をどれだけ手繰り寄せても藍羅は相手にしていない。うろ覚えでもあれは神乃だ。思い出せば出すほど神乃だ。お前なんかに誰が手を出すか!」
藍羅は言葉を詰まらせた。富永に責められ反撃の言葉が見つからないようだ。
「次は藍羅の彼氏! お前、そんなところで寝てないでさっさと起きろよ!」
富永はヒロくんの首根っこを掴んで引き起こした。そもそもヒロくんに蹴りをくらわせて床にしずめたのは富永だが。
「ぼ、僕は別に……神乃さんから藍羅の本性を教えてもらって、悔しくなって、藍羅に復讐を……」
「私に復讐?! あんた、私の味方じゃなかったの?!」
「そうだ。僕をバカにした罰だ。僕は地味でつまんなくて、デートしててあくびがでるんだろ?」
「ちょっと……!」
「私服と車のセンスが悪くて悪かったな! 僕の母親は足が悪いから母でも乗りやすい車を選んだんだ。家で倒れた母親を無視してデートにいく息子はさすがにいないだろ? それのどこがマザコンなんだ?!」
「はぁ?! なんであんたがそんなこと知ってんの?!」
今度はヒロくんと藍羅の言い合いだ。
藍羅としてはヒロくんを手懐けたつもりでいたんだろう。
嫌な予感がしたのか、藍羅は自分のスマホを取り出した。画面を見て「何これ?!」と悲鳴を上げている。
「ちょっと! 私のSNSが炎上してる! えっ、なんで課長との不倫が……」
「明日出社してからかと思ったけど、もう部署内の噂になってるんだな」
「えっ?! ヒロくん、何したの?!」
「不倫する男も、既婚者だと知ってて近づく女もどっちも嫌いだ」
ヒロくんは目がやばい。
「私の上司の鈴木っちにも何か言った……?」
スマホを持つ藍羅の手が震えている。
「もちろん」
藍羅の顔が青ざめている。部署に不倫の怪文書メールをばら撒かれ、直属の上司に男を散々寝取ってきた事実をバラされたら今の会社に藍羅の居場所はなくなるんじゃないだろうか。
「あり得ない……! あんた最低! 」
「最低なのはそっちだろ!」
藍羅とヒロくん、ふたりの醜い罵り合いが続く。
「そんなものは後でやれ!」
富永の声にふたりがビクッと肩を震わせた。
「ヒロくんさんは、ちょっと話してすぐにゲイだとわかったよ。お前が神乃を見る目は明らかに熱っぽかった。俺の恋人だと知りながら、神乃に一目惚れか?」
富永はヒロくんが男が好きだと言うことを見抜いていたのか。神乃はまったく気がつかなかった。いつ、ヒロくんからそんな熱っぽい目で見られていたのだろう。
「ゲイなのになんで女の藍羅と付き合ってたんだ? カモフラージュか何かか?」
「は、はいっ……」
ヒロくんは富永にまた吹っ飛ばされるのではないかと怯えているようだ。
「付き合ってた藍羅がクソ女と知って、そのとき神乃に出会ったのか? それで神乃が欲しくなった。それでお前はさっきみたいな卑劣な真似をして無理矢理にでも神乃を手に入れようとした。お前、あれは犯罪だぞ?」
「いやっ、だって神乃さんから誘ってきたんです! 俺と藍羅を恋人交換してくださいって!」
「はぁ? お前は恋人交換が藍羅の考えた、くだらない話だと知ってただろ? 決して神乃が言い出したことじゃない。なのにそれで神乃の同意を得たって言い訳するのか? ふざけんな!」
富永はヒロくんの胸ぐらを掴んで睨みつけたあと、ドンッと突き飛ばした。
「そして神乃!」
富永は神乃のほうを振り返った。その目にはいつもの優しさはない。富永は完全に怒っている。
それも当然だ。神乃のせいでこんなくだらないことに巻き込まれて、富永は一番の被害者だ。
「お前が一番意味がわからない。まさか俺と別れたかったのか?!」
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富永に引っ張られ、神乃は隣の部屋に連行された。
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