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「いいや、隣で寝てほしい。狼は身を寄せ合って眠るとよく眠れるのだ。皆、そうしている。別に特別なことではない」
猫獣人は程よい距離感で眠るのが好きだから、成人してからは基本的にはひとりで眠る。でも黒狼獣人にとっては、誰かと寄り添って眠ることは取るに足らないことなのだろうか。
「そ、そうなのですか……?」
「そうだ。今夜から頼む」
猫獣人は家族や番など、本当に信頼できる相手としか寝所を一緒にすることはないが、黒狼獣人は違うようだ。別の種族の習性はよくわからないし、エルヴィンが気にしすぎているのかもしれない。
「早く傷を癒したい。そのためにはエルヴィンが必要なのだ」
そうだ。これはルークの治療の一環だ。エルヴィンだってルークに一日も早くよくなってもらいたいと思っている。
「わっ、わかりました。僕なんかでよければ……」
「エルヴィンがいいに決まっている。お前は俺の可愛い婚約者だ。そんなに自分を卑下するな」
ルークに頬を優しく撫でられて気がついた。
今のルークには、エルヴィンの姿はどう映っているのだろう。どこにでもいる地味な茶色の目と毛並み。黒狼獣人のような麗しさもない。こんなヒョロっこい猫獣人などなんの魅力もないだろうに、愛しい婚約者だと記憶違いしているから、見た目以上に可愛らしく見えているのかもしれない。
そう思ったら、ルークが気の毒に思えてきた。
可哀想に、薬のせいで視力までおかしくなってしまったなんて。
「早速、ベッドに連れ込んでもいいか?」
耳元で囁かれ、ルークの吐息にゾクゾクする。
ルークはもっとクールで冷めている性格だと思っていた。でも、実はこのように婚約者には甘く接していたようだ。
エルヴィンは今まで公的な場でのルークしか見たことがなかった。そのような場と婚約者とふたりきりのときのルークの態度が異なるのは、至極当たり前のことだろう。
(アイルさまが羨ましいなぁ)
ルークにこんなふうに迫られたらたまらない。
エルヴィンなんて、記憶違いだとわかっているのにルークにすっかりときめいている。
ルークは話をすることもままならない憧れの人だ。今、その人の腕の中に抱きしめられ、熱い眼差しを受けている。そして寝所を共にしてほしいなどと囁かれる。
エルヴィンの身体が緊張と期待で熱を帯びてきた。
ルークの記憶違いは一時的なものだろう。今はまだかなり混乱しているようだが、少しずつ元の状態に戻るはずだ。ルークの回復力はその他の獣人とは比べ物にならないくらいに強いから、明日には記憶違いも治るかもしれない。
今夜だけ。一度だけでいいからルークと甘い夜を過ごしてみたい。
記憶違いとはいえ、誘ってきたのはルークのほうからだ。添い寝は治療の一環で、それは狼獣人にとっては特別なことではない。
だったら。
今夜だけでも。
「かしこまりました」
エルヴィンが遠慮がちに頷くと、エルヴィンが身につけていた風除けのマントがルークの手によって取り払われる。
エルヴィンの小さな身体はヒョイっと簡単にルークの逞しい腕に抱えられ、ベッドに連れて行かれた。
猫獣人は程よい距離感で眠るのが好きだから、成人してからは基本的にはひとりで眠る。でも黒狼獣人にとっては、誰かと寄り添って眠ることは取るに足らないことなのだろうか。
「そ、そうなのですか……?」
「そうだ。今夜から頼む」
猫獣人は家族や番など、本当に信頼できる相手としか寝所を一緒にすることはないが、黒狼獣人は違うようだ。別の種族の習性はよくわからないし、エルヴィンが気にしすぎているのかもしれない。
「早く傷を癒したい。そのためにはエルヴィンが必要なのだ」
そうだ。これはルークの治療の一環だ。エルヴィンだってルークに一日も早くよくなってもらいたいと思っている。
「わっ、わかりました。僕なんかでよければ……」
「エルヴィンがいいに決まっている。お前は俺の可愛い婚約者だ。そんなに自分を卑下するな」
ルークに頬を優しく撫でられて気がついた。
今のルークには、エルヴィンの姿はどう映っているのだろう。どこにでもいる地味な茶色の目と毛並み。黒狼獣人のような麗しさもない。こんなヒョロっこい猫獣人などなんの魅力もないだろうに、愛しい婚約者だと記憶違いしているから、見た目以上に可愛らしく見えているのかもしれない。
そう思ったら、ルークが気の毒に思えてきた。
可哀想に、薬のせいで視力までおかしくなってしまったなんて。
「早速、ベッドに連れ込んでもいいか?」
耳元で囁かれ、ルークの吐息にゾクゾクする。
ルークはもっとクールで冷めている性格だと思っていた。でも、実はこのように婚約者には甘く接していたようだ。
エルヴィンは今まで公的な場でのルークしか見たことがなかった。そのような場と婚約者とふたりきりのときのルークの態度が異なるのは、至極当たり前のことだろう。
(アイルさまが羨ましいなぁ)
ルークにこんなふうに迫られたらたまらない。
エルヴィンなんて、記憶違いだとわかっているのにルークにすっかりときめいている。
ルークは話をすることもままならない憧れの人だ。今、その人の腕の中に抱きしめられ、熱い眼差しを受けている。そして寝所を共にしてほしいなどと囁かれる。
エルヴィンの身体が緊張と期待で熱を帯びてきた。
ルークの記憶違いは一時的なものだろう。今はまだかなり混乱しているようだが、少しずつ元の状態に戻るはずだ。ルークの回復力はその他の獣人とは比べ物にならないくらいに強いから、明日には記憶違いも治るかもしれない。
今夜だけ。一度だけでいいからルークと甘い夜を過ごしてみたい。
記憶違いとはいえ、誘ってきたのはルークのほうからだ。添い寝は治療の一環で、それは狼獣人にとっては特別なことではない。
だったら。
今夜だけでも。
「かしこまりました」
エルヴィンが遠慮がちに頷くと、エルヴィンが身につけていた風除けのマントがルークの手によって取り払われる。
エルヴィンの小さな身体はヒョイっと簡単にルークの逞しい腕に抱えられ、ベッドに連れて行かれた。
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