その告白は勘違いです

雨宮里玖

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4 期末テスト

4-7

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 テスト返却を終えて一学期の修了式を迎えた。
 俺は人生最大の危機を乗り越えた。

「二百三十二位……」

 高校に入ってから、俺はこんな高順位を叩き出したことはない。一気に五十位以上も上がっている。あんなに中間でボロクソにやられたのにも関わらずだ。
 中間と違って期末は確実に手ごたえはあった。でも、まさかここまで上がるとは思わなかった。
 俺がこの成績を収められたのは、どう考えても有馬のおかげだ。

「莉紬ーーーっ! どう? どうっ?」

 ホームルームが終わってすぐ、裕太が俺の成績表を遠慮なく覗き込んでくる。
 うちの学校の成績表は、五段階評価になっていて、それぞれの科目の評価が学期ごとに数字で書かれている。それが大学の推薦のときとかに使う正式なやつだ。
 それ以外に紙が配られて、具体的な中間期末の点数と、学年内総合順位が書いてある。

「二百三十二位っ? 莉紬! お前、やったな!」

 裕太は自分のことのように喜んでくれている。

「これ、退学どころじゃない、めっちゃいい成績じゃん! よかったぁー!」

 裕太と騒いでいたら、他の友達も集まってきて、「莉紬すげぇ!」「やればできる子!」とかめっちゃ褒めてくれる。

「ほんっとありがとう! 俺、みんなと一緒に卒業できるーっ!」

 俺はみんなと肩を叩き合って喜ぶ。
 決して褒められた成績じゃない俺たちのグループは、超低空飛行な成績でも大騒ぎだ。

「莉紬、カラオケ行こ! お前の卒業祝いだ!」
「いいよ、いいよ! 行こうぜ!」

 俺たちが修了式後に遊びに行くところはカラオケって決まっている。学割で安く行ける店が学校の近くにあるから、この学校の生徒はみんな御用達の店だ。

 みんなと盛り上がる中、俺の視線はふと有馬に向かう。
 ちなみに今回の一番も有馬。有馬は何もかもが異次元だよ。

 有馬にはさっきメッセージを送った。そしたら『おめでとう』ってスタンプが返ってきた。
 でもそれだけ。
 本当は、有馬ともっと面と向かって話したいのに。

「カラオケ行く前にコンビニ寄っていい?」
「いいね、行こ行こ!」

 集団に流されるみたいに、俺はいつものグループと一緒に歩き出す。
 有馬は有馬で、俺とは全然違う友達と楽しそうに話をしている。

 なんか、学校でうまく有馬と話せない。
 有馬のところに行きたい。
 有馬とふたりきりでゆっくり話したい。

 期末テストは終わり、俺は退学を免れた。
 つまり俺は、有馬の告白に対する返事をしなきゃいけない。
 でも、話す隙がまるでない。俺は有馬の姿に後ろ髪をひかれる思いのまま、みんなと教室を出ていく。

 俺たちの生活する空間は一緒なのに、俺と有馬は離れ離れだ。
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