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4 期末テスト
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その日の夜、母さんと結月が寝室に消えてから、俺は部屋で次の日の期末テストの勉強をしていた。
でも、俺はそわそわして落ち着かない。
勉強机の端に置いてあるスマホにチラチラ視線を送っては、手に取り、有馬真っていう文字をタップしては、その先の通話ボタンを押せずにいる。
「有馬、今、何してるかな」
今日のことのお礼を言いたかった。でも、今は試験期間中で、有馬は勉強しているかもしれない。もしくは風呂に入ってる最中かもしれないし、家族団らんしてるかもしれない。
有馬にお礼を言いたいのに有馬の邪魔になるようなことはしたくない。
一応感謝の言葉はメッセージにしたし、このままでもいいっちゃいいんだけど……。
でも、話したい。
有馬の声が聞きたい。
決心がつかなくて、俺は、かれこれ二時間は葛藤している。
こんなのダメだ。勉強に集中だ! と、気を取り直して問題集に向かったときだった。
俺のスマホの聞き慣れた着信音が小さく鳴る。バッと奪い取るようにスマホを手に取ると、有馬からの着信だった。
「有馬っ」
切られたら嫌だから俺は素早く着信に応じる。
『七沢。今、大丈夫? 勉強あるよな。邪魔になるってわかってるんだけど、少しだけ話がしたくて』
「俺も。俺も話したかった」
有馬も俺と同じ気持ちでいてくれたんだ。俺もだよ。俺も、ずっとこうしたかった。
『あれから結月ちゃんはどう? 明日は、大丈夫そう?』
「うん。よくなってきてるし、明日は母さんが家にいられるから」
『そっか。それなら安心だな』
有馬の安堵の溜め息が聞こえる。有馬、ずっと心配してくれていたのかな、俺のこと。
「あのさ、有馬。今日、どうもありがとう。お前の兄ちゃんから話聞いた。有馬、頭下げて頼んでくれたんでしょ? なんか、ホント、ありがとう」
『そのくらいいいよ。俺が頼んだら、兄貴はなんかすげぇ嬉しそうにしてたし。兄貴も嫌じゃなかったらしいから』
そうだよ、有馬。お前の兄ちゃんは有馬が思う以上に、弟想いの兄貴だぞ。
『兄貴、なんか変なこと言ってなかった……?』
「はっ……?」
『あいつ、帰ってきてからなんかおかしいんだ。七沢がいい子だいい子だってうるさいから。お前にウザ絡みしたんじゃないかって』
「してない、してない」
お前の兄ちゃんは俺に弟をめちゃくちゃ売り込んできただけだよ。それは俺にとって全然迷惑じゃないし、むしろ有馬の話が聞けて楽しかったよ。
『……なら、いいけど。俺がなに話したんだって聞いても、ニヤニヤして答えないし』
「気になる?」
『気になる。なんか俺の話された気がする』
「大丈夫、大丈夫、話を聞いてさ、俺がまた有馬のことを好きになっただけ」
まさか有馬の態度が変わってる話をされたと知ったら、有馬は恥ずかしくなって今までの有馬に戻ってしまうかもしれない。だから俺は適当に話を流した。
あれ? 有馬からの反応が返ってこない。
どうしたんだろ、有馬。
こんなとき顔が見れないの、さみしいな。
『俺も、七沢のこと好きだよ』
スマホ越しに、ふと放たれた有馬の言葉の破壊力。
そのひと言に、俺の顔は紅潮し耳まで一気に熱くなる。
やばい、やばすぎる。
対面じゃなくてよかった。こんな顔を有馬に見られたら俺は耐えられない!
有馬が俺を好き、有馬が俺を好き、有馬が……。
『ん。じゃあ、そろそろ切るね』
「あ、あぁ、うん……」
『おやすみ』
「お、やすみ……」
声が震える。頭がまともに働かない。心臓がうるさくなって、高ぶる気持ちが抑えられない。
ほどなくして通話が切れた。でも俺はスマホ片手に固まったままだ。
俺が好きとか言ったから、会話の流れで言われただけかもしれない。
でも、でも、有馬が俺を好きって……。
「うわぁぁぁっ!」
俺はたまらず部屋のベッドにダイブする。枕を抱きしめ無駄にゴロンゴロンして悶絶する。
やばい。嬉しくて顔がにやけてしまう。
有馬のたったひと言で、こんな気持ちになる理由に俺はうっすら気がついている。
そんなことあるわけないって、見て見ぬふりをしていたけど、認めなきゃいけない。
俺は仰向けになって枕をぎゅっと抱きしめる。宙を眺めたままの俺は、はぁ、と溜め息をつく。
友達とも違うんだ。有馬の特別になりたいっていうか、こんな気持ちになるのは有馬だけっていうか、なんて言うんだろう。
気がついたら有馬のことを考えてる。有馬に会いたい、話したいって思う。
この気持ちは勘違いじゃない。
だって好きって言われて舞い上がっている自分がいる。有馬のことを考えるだけでドキドキしている自分がいる。
ねぇ有馬。今の俺の気持ち、お前にも聞いてほしい。
俺も、有馬のこと好きかもしれない。
でも、俺はそわそわして落ち着かない。
勉強机の端に置いてあるスマホにチラチラ視線を送っては、手に取り、有馬真っていう文字をタップしては、その先の通話ボタンを押せずにいる。
「有馬、今、何してるかな」
今日のことのお礼を言いたかった。でも、今は試験期間中で、有馬は勉強しているかもしれない。もしくは風呂に入ってる最中かもしれないし、家族団らんしてるかもしれない。
有馬にお礼を言いたいのに有馬の邪魔になるようなことはしたくない。
一応感謝の言葉はメッセージにしたし、このままでもいいっちゃいいんだけど……。
でも、話したい。
有馬の声が聞きたい。
決心がつかなくて、俺は、かれこれ二時間は葛藤している。
こんなのダメだ。勉強に集中だ! と、気を取り直して問題集に向かったときだった。
俺のスマホの聞き慣れた着信音が小さく鳴る。バッと奪い取るようにスマホを手に取ると、有馬からの着信だった。
「有馬っ」
切られたら嫌だから俺は素早く着信に応じる。
『七沢。今、大丈夫? 勉強あるよな。邪魔になるってわかってるんだけど、少しだけ話がしたくて』
「俺も。俺も話したかった」
有馬も俺と同じ気持ちでいてくれたんだ。俺もだよ。俺も、ずっとこうしたかった。
『あれから結月ちゃんはどう? 明日は、大丈夫そう?』
「うん。よくなってきてるし、明日は母さんが家にいられるから」
『そっか。それなら安心だな』
有馬の安堵の溜め息が聞こえる。有馬、ずっと心配してくれていたのかな、俺のこと。
「あのさ、有馬。今日、どうもありがとう。お前の兄ちゃんから話聞いた。有馬、頭下げて頼んでくれたんでしょ? なんか、ホント、ありがとう」
『そのくらいいいよ。俺が頼んだら、兄貴はなんかすげぇ嬉しそうにしてたし。兄貴も嫌じゃなかったらしいから』
そうだよ、有馬。お前の兄ちゃんは有馬が思う以上に、弟想いの兄貴だぞ。
『兄貴、なんか変なこと言ってなかった……?』
「はっ……?」
『あいつ、帰ってきてからなんかおかしいんだ。七沢がいい子だいい子だってうるさいから。お前にウザ絡みしたんじゃないかって』
「してない、してない」
お前の兄ちゃんは俺に弟をめちゃくちゃ売り込んできただけだよ。それは俺にとって全然迷惑じゃないし、むしろ有馬の話が聞けて楽しかったよ。
『……なら、いいけど。俺がなに話したんだって聞いても、ニヤニヤして答えないし』
「気になる?」
『気になる。なんか俺の話された気がする』
「大丈夫、大丈夫、話を聞いてさ、俺がまた有馬のことを好きになっただけ」
まさか有馬の態度が変わってる話をされたと知ったら、有馬は恥ずかしくなって今までの有馬に戻ってしまうかもしれない。だから俺は適当に話を流した。
あれ? 有馬からの反応が返ってこない。
どうしたんだろ、有馬。
こんなとき顔が見れないの、さみしいな。
『俺も、七沢のこと好きだよ』
スマホ越しに、ふと放たれた有馬の言葉の破壊力。
そのひと言に、俺の顔は紅潮し耳まで一気に熱くなる。
やばい、やばすぎる。
対面じゃなくてよかった。こんな顔を有馬に見られたら俺は耐えられない!
有馬が俺を好き、有馬が俺を好き、有馬が……。
『ん。じゃあ、そろそろ切るね』
「あ、あぁ、うん……」
『おやすみ』
「お、やすみ……」
声が震える。頭がまともに働かない。心臓がうるさくなって、高ぶる気持ちが抑えられない。
ほどなくして通話が切れた。でも俺はスマホ片手に固まったままだ。
俺が好きとか言ったから、会話の流れで言われただけかもしれない。
でも、でも、有馬が俺を好きって……。
「うわぁぁぁっ!」
俺はたまらず部屋のベッドにダイブする。枕を抱きしめ無駄にゴロンゴロンして悶絶する。
やばい。嬉しくて顔がにやけてしまう。
有馬のたったひと言で、こんな気持ちになる理由に俺はうっすら気がついている。
そんなことあるわけないって、見て見ぬふりをしていたけど、認めなきゃいけない。
俺は仰向けになって枕をぎゅっと抱きしめる。宙を眺めたままの俺は、はぁ、と溜め息をつく。
友達とも違うんだ。有馬の特別になりたいっていうか、こんな気持ちになるのは有馬だけっていうか、なんて言うんだろう。
気がついたら有馬のことを考えてる。有馬に会いたい、話したいって思う。
この気持ちは勘違いじゃない。
だって好きって言われて舞い上がっている自分がいる。有馬のことを考えるだけでドキドキしている自分がいる。
ねぇ有馬。今の俺の気持ち、お前にも聞いてほしい。
俺も、有馬のこと好きかもしれない。
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