その告白は勘違いです

雨宮里玖

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7 一緒にいたいから

7-4

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「あのときは、七沢と離れたあとだったから、お前と付き合えるなんて思わなかったんだ。もし付き合ってたら、考えが変わってたと思う」
「そんなことないよ」

 俺は有馬の腕から逃れて、まっすぐに有馬を見つめる。

「俺とのことは関係なく、有馬のやりたいことをするべきだ。チャレンジしてきなよ」

 本音を言うとすごくさみしいけど、有馬の背中を押してやりたい。俺のせいで有馬が何かを諦めるなんて、そっちのほうが嫌だ。

「俺が離れてるあいだに七沢が浮気するかもしれない」
「はいぃっ?」 

 誰がそんなことするかと思うのに、有馬は至極、真面目な顔で言っている。

「有馬さぁ、考えすぎ。俺なら大丈夫だって」
「浮気ならまだ俺のところに帰ってきてくれるかもしれないけど、本気で他の人のことを好きになるかもしれない。そうなったら俺、無理だ」
「心変わりもしないよ。付き合ったばっかでもうそんなこと言ってんの? まったく有馬は……」

 俺の言葉はそこで途切れた。
 有馬が不安げに俺の小指を握りしめてきたからだ。
 俺はさっきからなんでもないふうに装っているけど、有馬の気持ちが痛いほどわかる。

 俺も、不安だ。
 てか俺のほうが不安だよ。だって有馬はめちゃくちゃモテる。その誘いを全部断ってまで、そばにいない俺のことを想い続けてくれるのかな。
 よく聞くよね。会えない時間が多いと、その恋は長続きしないって。

 俺が有馬の手を握り返すと、有馬は指を絡ませてきた。

 あのときと同じ。
 お祭りのときに、有馬が小指を絡めてきたときみたいだ。
 これは、きっと有馬の声にならないSOSだ。
 離れたくないって、失いたくないって、有馬は想ってくれている。あのときも、今も。

 この先の未来はわからない。
 でも、俺はずっと有馬のそばにいたいと思ってるよ。

「会えなくても、毎日、電話するよ」

 有馬は俺の手をぎゅっとする。その手の強さで、有馬の気持ちが伝わってくる。
 大丈夫。俺たちならきっと大丈夫。

「うん。有馬が忘れたら、俺が電話する」
「忘れないよ」

 有馬の優しい声。
 あぁ、やっぱ好き。
 俺、有馬のこと本当に好きだ。


「そうだ、有馬っ」

 俺はあえて明るい声を出す。
 なんかしんみりするのは終わりにしたかったから。

「今度うちに遊びに来てよ。母さんと結月が有馬を呼んでお好み焼きパーティーしようって言ってたんだ」
「いいの?」
「当然だろ! みんな大好きなんだよ、有馬が」
「七沢も? そう思ってる?」

 有馬は俺の顔をガン見してくる。
 俺の反応を伺っているみたいなんだけど、平静を装いたいのに、この目で見つめられると俺は弱い。有馬の色気にやられて勝手に顔が熱くなってしまう。

 はぁ、もう、どうしたらいいんだよ!

「……はい。大好きです、有馬のこと」

 耳まで赤くなっていることを自覚しつつも、俺は「違う」とは言えなかった。視線を逸らしつつも、本音を口にする。
 だって今さら嘘はつけないよ。

「やばい。嬉しい。キスしていい?」
「だ、ダメダメっ! ダメだって!」 

 有馬! これ以上俺を沼らせて、いったいどうするつもりなんだよ!
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