59 / 76
7 一緒にいたいから
7-4
しおりを挟む
「あのときは、七沢と離れたあとだったから、お前と付き合えるなんて思わなかったんだ。もし付き合ってたら、考えが変わってたと思う」
「そんなことないよ」
俺は有馬の腕から逃れて、まっすぐに有馬を見つめる。
「俺とのことは関係なく、有馬のやりたいことをするべきだ。チャレンジしてきなよ」
本音を言うとすごくさみしいけど、有馬の背中を押してやりたい。俺のせいで有馬が何かを諦めるなんて、そっちのほうが嫌だ。
「俺が離れてるあいだに七沢が浮気するかもしれない」
「はいぃっ?」
誰がそんなことするかと思うのに、有馬は至極、真面目な顔で言っている。
「有馬さぁ、考えすぎ。俺なら大丈夫だって」
「浮気ならまだ俺のところに帰ってきてくれるかもしれないけど、本気で他の人のことを好きになるかもしれない。そうなったら俺、無理だ」
「心変わりもしないよ。付き合ったばっかでもうそんなこと言ってんの? まったく有馬は……」
俺の言葉はそこで途切れた。
有馬が不安げに俺の小指を握りしめてきたからだ。
俺はさっきからなんでもないふうに装っているけど、有馬の気持ちが痛いほどわかる。
俺も、不安だ。
てか俺のほうが不安だよ。だって有馬はめちゃくちゃモテる。その誘いを全部断ってまで、そばにいない俺のことを想い続けてくれるのかな。
よく聞くよね。会えない時間が多いと、その恋は長続きしないって。
俺が有馬の手を握り返すと、有馬は指を絡ませてきた。
あのときと同じ。
お祭りのときに、有馬が小指を絡めてきたときみたいだ。
これは、きっと有馬の声にならないSOSだ。
離れたくないって、失いたくないって、有馬は想ってくれている。あのときも、今も。
この先の未来はわからない。
でも、俺はずっと有馬のそばにいたいと思ってるよ。
「会えなくても、毎日、電話するよ」
有馬は俺の手をぎゅっとする。その手の強さで、有馬の気持ちが伝わってくる。
大丈夫。俺たちならきっと大丈夫。
「うん。有馬が忘れたら、俺が電話する」
「忘れないよ」
有馬の優しい声。
あぁ、やっぱ好き。
俺、有馬のこと本当に好きだ。
「そうだ、有馬っ」
俺はあえて明るい声を出す。
なんかしんみりするのは終わりにしたかったから。
「今度うちに遊びに来てよ。母さんと結月が有馬を呼んでお好み焼きパーティーしようって言ってたんだ」
「いいの?」
「当然だろ! みんな大好きなんだよ、有馬が」
「七沢も? そう思ってる?」
有馬は俺の顔をガン見してくる。
俺の反応を伺っているみたいなんだけど、平静を装いたいのに、この目で見つめられると俺は弱い。有馬の色気にやられて勝手に顔が熱くなってしまう。
はぁ、もう、どうしたらいいんだよ!
「……はい。大好きです、有馬のこと」
耳まで赤くなっていることを自覚しつつも、俺は「違う」とは言えなかった。視線を逸らしつつも、本音を口にする。
だって今さら嘘はつけないよ。
「やばい。嬉しい。キスしていい?」
「だ、ダメダメっ! ダメだって!」
有馬! これ以上俺を沼らせて、いったいどうするつもりなんだよ!
「そんなことないよ」
俺は有馬の腕から逃れて、まっすぐに有馬を見つめる。
「俺とのことは関係なく、有馬のやりたいことをするべきだ。チャレンジしてきなよ」
本音を言うとすごくさみしいけど、有馬の背中を押してやりたい。俺のせいで有馬が何かを諦めるなんて、そっちのほうが嫌だ。
「俺が離れてるあいだに七沢が浮気するかもしれない」
「はいぃっ?」
誰がそんなことするかと思うのに、有馬は至極、真面目な顔で言っている。
「有馬さぁ、考えすぎ。俺なら大丈夫だって」
「浮気ならまだ俺のところに帰ってきてくれるかもしれないけど、本気で他の人のことを好きになるかもしれない。そうなったら俺、無理だ」
「心変わりもしないよ。付き合ったばっかでもうそんなこと言ってんの? まったく有馬は……」
俺の言葉はそこで途切れた。
有馬が不安げに俺の小指を握りしめてきたからだ。
俺はさっきからなんでもないふうに装っているけど、有馬の気持ちが痛いほどわかる。
俺も、不安だ。
てか俺のほうが不安だよ。だって有馬はめちゃくちゃモテる。その誘いを全部断ってまで、そばにいない俺のことを想い続けてくれるのかな。
よく聞くよね。会えない時間が多いと、その恋は長続きしないって。
俺が有馬の手を握り返すと、有馬は指を絡ませてきた。
あのときと同じ。
お祭りのときに、有馬が小指を絡めてきたときみたいだ。
これは、きっと有馬の声にならないSOSだ。
離れたくないって、失いたくないって、有馬は想ってくれている。あのときも、今も。
この先の未来はわからない。
でも、俺はずっと有馬のそばにいたいと思ってるよ。
「会えなくても、毎日、電話するよ」
有馬は俺の手をぎゅっとする。その手の強さで、有馬の気持ちが伝わってくる。
大丈夫。俺たちならきっと大丈夫。
「うん。有馬が忘れたら、俺が電話する」
「忘れないよ」
有馬の優しい声。
あぁ、やっぱ好き。
俺、有馬のこと本当に好きだ。
「そうだ、有馬っ」
俺はあえて明るい声を出す。
なんかしんみりするのは終わりにしたかったから。
「今度うちに遊びに来てよ。母さんと結月が有馬を呼んでお好み焼きパーティーしようって言ってたんだ」
「いいの?」
「当然だろ! みんな大好きなんだよ、有馬が」
「七沢も? そう思ってる?」
有馬は俺の顔をガン見してくる。
俺の反応を伺っているみたいなんだけど、平静を装いたいのに、この目で見つめられると俺は弱い。有馬の色気にやられて勝手に顔が熱くなってしまう。
はぁ、もう、どうしたらいいんだよ!
「……はい。大好きです、有馬のこと」
耳まで赤くなっていることを自覚しつつも、俺は「違う」とは言えなかった。視線を逸らしつつも、本音を口にする。
だって今さら嘘はつけないよ。
「やばい。嬉しい。キスしていい?」
「だ、ダメダメっ! ダメだって!」
有馬! これ以上俺を沼らせて、いったいどうするつもりなんだよ!
756
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
彼氏の優先順位[本編完結]
セイ
BL
一目惚れした彼に告白されて晴れて恋人になったというのに彼と彼の幼馴染との距離が気になりすぎる!恋人の僕より一緒にいるんじゃない?は…!!もしかして恋人になったのは夢だった?と悩みまくる受けのお話。
メインの青衣×青空の話、幼馴染の茜の話、友人倉橋の数話ずつの短編構成です。それぞれの恋愛をお楽しみください。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
美澄の顔には抗えない。
米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け
高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。
※なろう、カクヨムでも掲載中です。
付き合って一年マンネリ化してたから振られたと思っていたがどうやら違うようなので猛烈に引き止めた話
雨宮里玖
BL
恋人の神尾が突然連絡を経って二週間。神尾のことが諦められない樋口は神尾との思い出のカフェに行く。そこで神尾と一緒にいた山本から「神尾はお前と別れたって言ってたぞ」と言われ——。
樋口(27)サラリーマン。
神尾裕二(27)サラリーマン。
佐上果穂(26)社長令嬢。会社幹部。
山本(27)樋口と神尾の大学時代の同級生。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる