その告白は勘違いです

雨宮里玖

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7 一緒にいたいから

7-3

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「さっき飲み物売ってたときもそう。七沢、ずっと俺を見てた。授業中も休み時間も俺ばっかり見て、そんなんじゃバレちゃうよ、俺たちの関係」

 有馬は呆れながらもどこか嬉しそうだ。なんか、ニヤニヤしてる。

「俺がっ? 有馬を? そんなことないだろ」

 俺はサッと視線を逸らす。
 有馬を直視できなかった。
 だって俺には自覚がある。佐久間にも「有馬のこと見過ぎ」って言われたし、最近の俺はついつい有馬の姿ばかりを目で追ってしまう。

「あ、有馬だって。みんながいるところで俺を誘ったら変に思われるだろ? メッセージ投げてくれたらそれでいいのに」
「ごめん。七沢の顔を見たら直接言いたくなって」
「バカ」
「ごめん。今誰もいないから、七沢を充電させて」

 そう言って有馬は俺を抱きしめる。

「おい、有馬っ」

 俺は咄嗟に抵抗してみせるけど、有馬は俺を離してくれない。
 一番困ることは、俺自身が逃げる気がないこと。
 ここは学校だし、文化祭でいつもより人多いし、こんな姿を目撃されたら言い訳のしようもない。
 そうとわかっているのに、ここから離れたくない。

 やっばい幸せ。
 俺もずっと有馬にくっつきたかった。文化祭で手つなぎデートしてるカップル見て、いいなぁって指咥えて見てたんだもん。俺だって少しくらい有馬と仲良ししたい。

「久しぶりの七沢だ」

 有馬は俺をぎゅっと抱きしめ深呼吸をする。俺も、遠慮がちに有馬の背に腕を回して有馬に抱きついた。
 ねぇ有馬、俺もお前と同じこと思ってるよ。久しぶりの有馬、すごく心地いい。マジ最高。
 でも、そろそろ離れなくちゃ。
 誰かに見つかる前に。

「……有馬、そろそろやばくねぇ?」
「わかってる。でも離れたくない……」

 往生際の悪い有馬は俺から離れない。でもさ、危ないって。

「今のうちに七沢を堪能しておかないと」
「堪能って……」
「だって、卒業したらあまり会えなくなる」

 有馬のひと言に、俺の胸が締めつけられる。
 考えないようにしてるんだけど、卒業したら俺たちは今みたいに毎日のように会えなくなる。

 俺は家から通える四年制の大学志望。有馬は海外の大学進学を考えている。しばらくはいいけど、来年の九月以降、有馬があっちに行っちゃったら本格的に会えなくなる。

 あのあと有馬に話を聞いた。夏休みに有馬のお父さんの古くからの友人が、海外から日本にやって来たらしい。その人は以前から有馬のことをとても気に入ってるんだって。
 で、有馬を推してる人は大学教授をしているらしく、「推薦状を書くから是非うちの大学を受けてほしい」って言ってくれた。それで、有馬の気持ちが揺れた。

「向こうの大学に行くのは楽しそうなんだけどさ」

 有馬が俺を抱きしめたまま、溜め息をついた。

「七沢と離れるのが嫌だ」
「なんだよ、それ。せっかくやりたいこと見つけたんだろ」

 有馬はその話を聞いたとき、かなり乗り気だったらしい。医学部よりも自分に合ってるって思ったんだって。
 漠然と医学部に進もうとしていた有馬が、やりたいことを見つけたんだ。俺も応援してやらないと。

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