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番外編『その罰ゲームは無効です』
番外編-9
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「有馬は佐久間にも話してないんだな。俺、手紙を落としたから佐久間に気持ちバレちゃっててさ。だから有馬は佐久間にだけは俺たちのこと話してるのかなって思ってた」
「あいつこそ危ない。見たか? 昨日の罰ゲームにわざわざ七沢を巻き込んでくるようなやつだぞ? よかれと思ってあぁいうことをやるやつなんだ。佐久間に付き合ってるのがバレたら、絶対に危ない」
「そ、うなんだ……」
佐久間と付き合いの長い有馬のほうが、そういうとこ、よくわかってるんだろうな。
「だから、俺の告白に返事をしてないって佐久間に嘘ついてるのか」
「そう。俺たちは付き合ってないことになってる。そうしないと、みんなにバレる」
有馬はさすがだ。
だから、学校では俺を見ることもないし、ほぼほぼ話しかけてこないんだ。
いつも一緒にいる友達に嘘をついてでも、俺との関係がバレないように細心の注意を払ってくれている。
「ありがとな、有馬。いろいろ頑張ってくれて」
「うん。俺、七沢との関係を守るためならなんだってする。壊されたくない。誰にも」
有馬は俺の手を握る。俺はあっと思ったけど、その手を振り払うことはしない。
わかってる。
いつ誰が見ているかもわからないところで、有馬にくっついちゃいけないこと。
でも。
「……さみしいね。堂々と有馬のこと好きって言えないの」
男女の仲だったら、まだ親しい人には話せたと思う。
でも俺たちは違う。
これから先もきっとこの秘密を抱えていくことになる。
それはすごく不安定だ。だって有馬が俺のこと知らないって言ったら終わり。他の誰にも知られていないから、俺たちふたりだけの世界で完結しちゃってる。
「俺もさみしい」
有馬は視線を落とす。
「こんなに七沢のことが好きなのに」
潤んだ切なげな瞳が揺れる。態度で、言葉で、俺に好意を持っていることを伝えてくれる。
俺がこんなこと思うのも烏滸がましいんだけど、有馬を守ってやりたい、そんなふうに思った。
「俺も好き」
俺は精一杯、背伸びをする。
有馬が下を向いていることをいいことに、有馬の唇に顔を近づけて、
俺は、ほんの一瞬だけ、有馬にキスをした。
そして俺は素早く身体を離す。
恥ずかしかったからだ。
俺から有馬にキスするのは初めてだったから。
有馬、どう思っただろう。
まさか怒ったりはしない、よな……?
「七沢」
有馬はゆっくりと顔を上げた。
「は、はいっ!」
「今すぐお前をめちゃくちゃに愛したい」
有馬は俺にぐいぐい迫ってくる。
待って、有馬ってこんな獣みたいな顔すんのっ?
「えっ? いや……」
ここは公園だし。なんならちょっとあっちに行けば大通りだし。
これ以上のことは絶対にないだろう!
「俺、男なんだけど。俺に性欲ないとでも思ってる?」
「はあぁっ?」
おい有馬っ!
俺も男なんだけど!
——番外編『その罰ゲームは無効です』完。
「あいつこそ危ない。見たか? 昨日の罰ゲームにわざわざ七沢を巻き込んでくるようなやつだぞ? よかれと思ってあぁいうことをやるやつなんだ。佐久間に付き合ってるのがバレたら、絶対に危ない」
「そ、うなんだ……」
佐久間と付き合いの長い有馬のほうが、そういうとこ、よくわかってるんだろうな。
「だから、俺の告白に返事をしてないって佐久間に嘘ついてるのか」
「そう。俺たちは付き合ってないことになってる。そうしないと、みんなにバレる」
有馬はさすがだ。
だから、学校では俺を見ることもないし、ほぼほぼ話しかけてこないんだ。
いつも一緒にいる友達に嘘をついてでも、俺との関係がバレないように細心の注意を払ってくれている。
「ありがとな、有馬。いろいろ頑張ってくれて」
「うん。俺、七沢との関係を守るためならなんだってする。壊されたくない。誰にも」
有馬は俺の手を握る。俺はあっと思ったけど、その手を振り払うことはしない。
わかってる。
いつ誰が見ているかもわからないところで、有馬にくっついちゃいけないこと。
でも。
「……さみしいね。堂々と有馬のこと好きって言えないの」
男女の仲だったら、まだ親しい人には話せたと思う。
でも俺たちは違う。
これから先もきっとこの秘密を抱えていくことになる。
それはすごく不安定だ。だって有馬が俺のこと知らないって言ったら終わり。他の誰にも知られていないから、俺たちふたりだけの世界で完結しちゃってる。
「俺もさみしい」
有馬は視線を落とす。
「こんなに七沢のことが好きなのに」
潤んだ切なげな瞳が揺れる。態度で、言葉で、俺に好意を持っていることを伝えてくれる。
俺がこんなこと思うのも烏滸がましいんだけど、有馬を守ってやりたい、そんなふうに思った。
「俺も好き」
俺は精一杯、背伸びをする。
有馬が下を向いていることをいいことに、有馬の唇に顔を近づけて、
俺は、ほんの一瞬だけ、有馬にキスをした。
そして俺は素早く身体を離す。
恥ずかしかったからだ。
俺から有馬にキスするのは初めてだったから。
有馬、どう思っただろう。
まさか怒ったりはしない、よな……?
「七沢」
有馬はゆっくりと顔を上げた。
「は、はいっ!」
「今すぐお前をめちゃくちゃに愛したい」
有馬は俺にぐいぐい迫ってくる。
待って、有馬ってこんな獣みたいな顔すんのっ?
「えっ? いや……」
ここは公園だし。なんならちょっとあっちに行けば大通りだし。
これ以上のことは絶対にないだろう!
「俺、男なんだけど。俺に性欲ないとでも思ってる?」
「はあぁっ?」
おい有馬っ!
俺も男なんだけど!
——番外編『その罰ゲームは無効です』完。
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たくさんの感想ありがとうございました。
Mikiさんの着眼点や考察力はとても素晴らしく、こちらも感想を楽しく拝見させていただきました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
楓乃先生、感想ありがとうございます!
コミカルに、でも、ちょっと泣けるみたいな感じの話にしようと思いました。
基本は、興味がなかった男の子たちがお互い惹かれていって仲良くなるじれきゅんで、青春風味のあるBLにしたかった。
できているかどうかはさておき。
ぷるぷる先生も完結まであと少しでしょうか。楽しみにしております✨
感想ありがとうございます!
7章はいろいろ書きたかったものを詰め込みました😂
離れていたぶん、ふたりには仲良くしてほしかったのです。
お読みくださりありがとうございました。とても嬉しい✨