チョコレートのきみ

nanomaru

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僕らの関係

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僕はすぐさま次の駅で電車を降り、彼の手を引っ張りながら逆のホームまで行き、今乗ってきた学校とは反対行きの電車に飛び乗った。

「僕のことなんてどうだっていいよ。」と彼はそれきり下を向いたまま何も言わなくなった。
「傘持ってなかったんだね。」
と言うのが、やっとの僕だった。

僕の住むアパートは最寄駅からそう遠くはなく、またラッキーだったのか、雨は止んでいた。

図らずも僕は、彼を自分のうちに招き入れることになってしまった。
それも気になったがそれよりも彼の意気消沈ぶりがなんなのかを知りたくて仕方なかった。
けれど、それを聞き出せるほどの関係ではまだなかったんだ。
「とりあえずお風呂に入って。」と
彼の服を剥ぎ取った。整った筋肉質な綺麗な身体だった。心臓が酷く脈を打って僕はどうにかなりそうだった。
「僕のT-shirtと短パンでいいよね。上がったらこれを着てね。」
と、甲斐甲斐しく彼のお世話をしていて、なんだか嬉しいのか悲しいのかわからなかった。
彼をここまで打ちのめしたのはなんだったのか、そればかりが頭をよぎった。
「何も言いたくないならそれでもいいよ。」
と、お風呂のドア越しに僕は語りかけた。
「ありがとう。」とだけ返ってきた。
心とは裏腹に言葉はよそいきで、なんて駄目なヤツなんだ。と自分を叱ってしまいたい。
「会えて良かったよ。ほんとに。」
数分したら、お風呂から出てきた彼は僕のT-shirtと短パンを着て出てきた。
「ご飯は?何か買ってこようか。家にはなにもないんだ。」
すると、彼は
「ごめん、いらないよ。ありがとう。」
と言ってまたすすり泣き始めた。
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