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1、一目惚れと恋の味
①
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梅雨の明けた、まだジメジメとした夏の始まりこと。
いつもの外回り、いつもの顧客の嫌味に辟易しながら、いつもの会社への帰路、いつもとは違うその真新しい店に目を奪われていた。
こんなところに喫茶店なんてあっただろうか。
そう思いながら俺はその喫茶店のドアを開けていた。
「すみません今、あっ…」
中から声を掛けてくれた店員だろう男性は、少し驚いたような顔をしていたが、すぐに何事もない顔になった。これは開店前だったかと思い尋ねようとした瞬間、席へ誘導する言葉をかけられた。
「いらっしゃいませお客さま、お好きな席へどうぞ。」
どうやら開店はしていたようだとホッとし、思わず彼の目の前の椅子に座った。
改めて店員を見ると、大学生くらいだろうか、明るい笑顔と髪色、そして大きなピアスが印象的な青年だった。
喫茶店の佇まいは、純喫茶を彷彿とさせるレトロな雰囲気だったが、迎えてくれた彼は、あまりにもその空間から浮いているように思えた。
だが、コーヒーを注ぐその姿に目を奪われたのは間違いなかった。
「メニュー、お決まりになりましたらお声がけください。」
そう言いながらニコッと笑う顔が、たまらなく可愛い。
『可愛い?』年下だろうが、男に対して可愛いとは。暑さで変な思考になっているのだろう。子どもを可愛いと思う、母性本能をくすぐられる可愛さということに違いない。
半ば自分に言い聞かせるように、心の中で唱えながら、メニューを見ているかのように、暑くなった頬をメニュー表で隠した。
「外、暑かったですよね?」
「うぇっ!?」
急に話しかけられて、思わず変な声が出てしまった。俺の変な声にくクスクスと笑う顔が、いたずらっ子のようでたまらない気持ちになる。グッと胸を押さえ、不審に思われないよう返事をする。
「は、はい、とっても。本格的な夏が来るなって感じましたよ。暑さと営業回りで歩き疲れて喉がカラカラです。」
「それはお疲れ様でした。ゆっくり休んでいってくださいね。」
「ありがとうございます。あー、店主オススメブレンドコーヒーをアイスでください。」
「かしこまりました。」
彼は目を細めて、穏やかに微笑み、慣れた手つきで豆を挽き始めた。ゴリゴリと一定のリズムで豆を挽く音が心地いい。
ゆっくりと丁寧に挽かれた豆は、俺の知っているものよりずいぶんと細かいような気がするな。
まじまじと手元を見ていると、彼がクスクス笑いながら、挽いた豆を見せてきた。
「アイスの場合は、細かく挽くと甘みが出やすいんですよ。冷たいと甘さを感じにくいっていうでしょ?」
「あはは、見てるのバレちゃいました?」
「お客さんにそんなまじまじと見られることないですからね。」
そう言って、彼はニッと笑った。
さっきまで店員然とした態度だったのが、急にフレンドリーに話しかけられ、思わずドキッとしてしまった。
いつもの外回り、いつもの顧客の嫌味に辟易しながら、いつもの会社への帰路、いつもとは違うその真新しい店に目を奪われていた。
こんなところに喫茶店なんてあっただろうか。
そう思いながら俺はその喫茶店のドアを開けていた。
「すみません今、あっ…」
中から声を掛けてくれた店員だろう男性は、少し驚いたような顔をしていたが、すぐに何事もない顔になった。これは開店前だったかと思い尋ねようとした瞬間、席へ誘導する言葉をかけられた。
「いらっしゃいませお客さま、お好きな席へどうぞ。」
どうやら開店はしていたようだとホッとし、思わず彼の目の前の椅子に座った。
改めて店員を見ると、大学生くらいだろうか、明るい笑顔と髪色、そして大きなピアスが印象的な青年だった。
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だが、コーヒーを注ぐその姿に目を奪われたのは間違いなかった。
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半ば自分に言い聞かせるように、心の中で唱えながら、メニューを見ているかのように、暑くなった頬をメニュー表で隠した。
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急に話しかけられて、思わず変な声が出てしまった。俺の変な声にくクスクスと笑う顔が、いたずらっ子のようでたまらない気持ちになる。グッと胸を押さえ、不審に思われないよう返事をする。
「は、はい、とっても。本格的な夏が来るなって感じましたよ。暑さと営業回りで歩き疲れて喉がカラカラです。」
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「ありがとうございます。あー、店主オススメブレンドコーヒーをアイスでください。」
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「あはは、見てるのバレちゃいました?」
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