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バレて…、ないよね?
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それは突然のことだった。
「エッ」
と声が漏れ出てしまった事は今でもやらかしたと思う。
でもしょうが無いだろう。だって、だって同人誌即売会ところに彼が居るだなんて、想像できる筈もないだろう。しかも女装コスで会ってしまうなんて…、本当にやらかした。
ざわざわと賑わいを見せる会場内。
綺麗に整頓されて配置されている折りたたみ式の長机の上には、各サークルの方々が丹精込めて作った作品の数々が並び、それらを求めて北は北海道、南は沖縄まで遠路はるばる来た同志達が築く統制のとれた長蛇の列、開始してまだ1時間も経っていないのに、ここが戦場と化しているのがよく分かる。更衣室も同様だったなぁと先程までいた場所に思いを寄せ、先行入場チケットを買っていて正解だったと過去の自身の判断に称賛を贈る。
「桐野氏~、何処にいる~?」
そんなことを考えてたら出入り口辺りで自分を呼ぶ声がする。目の前の人混みを掻き分けて行くと思うと幾分か気分が下がるが仕方ない。
覚悟を決め、いざ参らん!
「すまん、待たせた!」
人混みを掻き分け、自分のヲタ友兼カメラマンの天笠の元へと辿り着く。
「お~、桐野氏。少々遅かったようですが、何かトラブるでも?」
天笠は特に怒った様子もなくいつもののほほんとした表情で訪ねてきた。そりゃそうだ。なにせ予定時刻から20分オーバーしてしまった。
「いや、ただただメイクが上手くいかなかったんだよ。特につけまつげつけるのに手間取った。次からはつけてから来る事も視野に入れねばならんな」
遅れた理由は特にはない、メイクの具合が予想より悪かっただけだ。だが__
「それで、どうだ天笠、この俺の出来栄えは?」
その甲斐あって少なくとも自分の中では合格点を出せる出来栄えになったと思う。しかし、やはり人の意見というか評価というか、そういったのが知りたくなる。初めて着る衣装なので尚更だ。声にも、恐らく表情にも不安が滲んでいることだろう。
「うん!めっちゃ良い出来!待った甲斐ありましたぞ!」
天笠はサムズアップしながら応えてくれた。柄にもなく嬉しくなる。
「おう、ありがとさん」
少し照れくさくはあるが応えた。
「さぁ、いざ行きましょう!場所は取ってますぞ!」
ムフーという効果音がつきそうな表情をした天笠に先導されながら会場へと足を踏み入れる。
さあ、今日明日の2日間、真冬ではあるが熱いものが始まる__
「桐生か?」
「エッ」
職場の先輩の声が聞こえた。
「エッ」
と声が漏れ出てしまった事は今でもやらかしたと思う。
でもしょうが無いだろう。だって、だって同人誌即売会ところに彼が居るだなんて、想像できる筈もないだろう。しかも女装コスで会ってしまうなんて…、本当にやらかした。
ざわざわと賑わいを見せる会場内。
綺麗に整頓されて配置されている折りたたみ式の長机の上には、各サークルの方々が丹精込めて作った作品の数々が並び、それらを求めて北は北海道、南は沖縄まで遠路はるばる来た同志達が築く統制のとれた長蛇の列、開始してまだ1時間も経っていないのに、ここが戦場と化しているのがよく分かる。更衣室も同様だったなぁと先程までいた場所に思いを寄せ、先行入場チケットを買っていて正解だったと過去の自身の判断に称賛を贈る。
「桐野氏~、何処にいる~?」
そんなことを考えてたら出入り口辺りで自分を呼ぶ声がする。目の前の人混みを掻き分けて行くと思うと幾分か気分が下がるが仕方ない。
覚悟を決め、いざ参らん!
「すまん、待たせた!」
人混みを掻き分け、自分のヲタ友兼カメラマンの天笠の元へと辿り着く。
「お~、桐野氏。少々遅かったようですが、何かトラブるでも?」
天笠は特に怒った様子もなくいつもののほほんとした表情で訪ねてきた。そりゃそうだ。なにせ予定時刻から20分オーバーしてしまった。
「いや、ただただメイクが上手くいかなかったんだよ。特につけまつげつけるのに手間取った。次からはつけてから来る事も視野に入れねばならんな」
遅れた理由は特にはない、メイクの具合が予想より悪かっただけだ。だが__
「それで、どうだ天笠、この俺の出来栄えは?」
その甲斐あって少なくとも自分の中では合格点を出せる出来栄えになったと思う。しかし、やはり人の意見というか評価というか、そういったのが知りたくなる。初めて着る衣装なので尚更だ。声にも、恐らく表情にも不安が滲んでいることだろう。
「うん!めっちゃ良い出来!待った甲斐ありましたぞ!」
天笠はサムズアップしながら応えてくれた。柄にもなく嬉しくなる。
「おう、ありがとさん」
少し照れくさくはあるが応えた。
「さぁ、いざ行きましょう!場所は取ってますぞ!」
ムフーという効果音がつきそうな表情をした天笠に先導されながら会場へと足を踏み入れる。
さあ、今日明日の2日間、真冬ではあるが熱いものが始まる__
「桐生か?」
「エッ」
職場の先輩の声が聞こえた。
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