偽りの姿(仮)

麻沙綺

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9話 モヤモヤの正体は?…成瀬side

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  アイツが、幼馴染みの先輩と飯を楽しそうに食ってるのを見て、胸の中がやたらとモヤモヤしやがる。
  どうしたんだと言うんだ。

  何だよ。
  こんなの初めてだ。
  アイツは、男なんだよ。

  こんな感情が沸き上がるなんて……。
  俺は、戸惑っていた。
  これを晴らすにはアイツのところに行って、突き止めた方がいいか。


  俺は、自分の部屋に戻る前に綾小路の部屋に向かった。

  コンコン。

  部屋のドアをノックした。
「はい。」
  ヤツは、返事と同時にドアを開けた。
  俺の顔を見ると。

「成瀬……。どうかしたのか?」
  強張った声。
  なんか、警戒してないか?
  俺、何かしたか?
  って言うか、余計に靄がかかった気がするのは何故だ?
「ちょっと、いいか?」
  俺は、部屋を指して入れてもらおうとした。
  ……が。
「あっ……。ここじゃ、駄目なのか?」
  って、すごい警戒してるのがわかる。
「何? そんなに警戒しなくてもいいだろ。それとも入られたら困る “モノ” でもあるのか?」
  俺が聞く戸惑った顔をする。
  渋々、部屋に入れてくれた。


「しかし、飾りっ気がない部屋だな」
  部屋の中を見渡して出た言葉だ。
  その言葉を聞いて、怪訝そうな顔をする。
「普通じゃないの?」
「“ないの?” お前、変なところで女っぽいよな。」
  俺が揚げ足とった言葉に不味いって、顔をする。
「そ、そっか? で、用件は?」
  目線を逸らせながら、強気な言葉で聞いてきた。
「そうだ。さっき、高津先輩と楽しげに話してるのを見て、ちょっとな。」
  何の事だと言う顔付きをする。
  いや、だからさぁ……。
「あのさ……。」
  言いにくいが、切り出すしかない。
「もしもの話だけど…。お前が女なら、高津先輩に憧れとか、抱いたりするのかなぁっと思ったりして……。アハハ……。」
  もう、最後の方は空笑いだ。
  これじゃ、伝わらないだろう。
  俯き加減で、奴の顔色を伺うと何やら、考えていた。
  あ~あ。
  答え、出せるわけないか……。
「悪い……。今の忘れてくれ……。」
  小声で、呟いたんだが……。
「忘れていいのか? なら、もう忘れた。」
  エッ……。
  切り替え、早くないか?
「お…お前、いくらなんでも早過ぎ……。」
  俺の方が、動揺するだろうが……。
「要らん情報は、何時までも持ってるのもな。だから、直ぐに忘れるようにしてるんだ。」
  って、真顔で答える奴に苦笑するしかない。
「少しは、気にして欲しいんだが……。」
  俺は、ポツリと呟いた。
「一体どうしたんだと……。」
  俺は、奴の言葉を遮るように唇を奪った。

  温かく、柔らかい感触。
  突然、押し飛ばされた。

「な、何してるんだよ!」
  奴は顔を赤めながら叫ぶ。
  自分でもわからなかった。
  …が、今のではっきりとわかった。

  俺は、ヤツ…綾小路幸矢の事が好きなんだ。

  そっか、この靄は、自分に向かないヤツにイラついてたんだ。それに和をかけて、幼馴染みの先輩と仲良くしてるのを見て嫉妬してたんだ。

「仕方ないだろ。俺、お前の事が好きになっちまったんだから……。」
  素直に言葉にすれば、靄が一気に晴れていった。
「返事は聞かない。ただ、俺が想っているだけで、お前からの見返りが欲しいっとは思ってないから…。伝えたかっただけだから……。」
  そう告げるとヤツの部屋を出た。

  自分の想いに確信した瞬間。

  寄りにも寄って、綾小路おとこを好きになるなんて……。


  絶望していた。




  





  
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