48 / 51
48話 突然の誘い
しおりを挟む私が俯いていれば。
「幸矢。俺の所に来い。」
成瀬君の突然の言葉を飲み込むことが出来ず、彼を見る。
彼は、真剣な顔をして。
「俺のところに来いよ。お祖父様から俺なら匿ってやれる。」
力強い言葉が耳に届く。
成瀬君の申し出はありがたいけど……。
「そんな迷惑掛けたくないよ。家の事で、成瀬くんの事巻き込みたくない。」
と断りを入れる。
母さんも、首を縦に振ってる。
「だが、俺は幸矢の悲しい顔やそんな簡単に "死にたい" 何て言うお前を見ていられない。」
成瀬君の辛そうな顔。
何故、そんな顔をするの?
私は不思議思った。
そんな時。
「幸矢。彼の言葉に甘えさせて貰いなさい。今の貴女には、心の休養が必要よ。」
と母さんが優しい声音で言う。
さっきは、私の言葉に頷いたのに、何故成瀬君の言葉を肯定するの?
訳が分からない。
「俺はなぁ、お前が心から笑う笑顔が見たいんだよ。何時も何処か作ったような笑顔や寂しげな笑みしか見せないお前なんて、悲しいだけだろうが。」
成瀬君の苦痛に歪んだ顔。
ソノカオハ、ワタシノセイデスカ?
と問える事はできない。
だって、私には分からないから……。
「本当に良いの? 迷惑じゃない?」
私は、確認の為に聞き返す。
"迷惑だ" と言われたら、家に大人しく戻るつもりだ。
「迷惑なもんか。お前が元気になっていくのを近くで見れるならな。」
そう言って、私の頭をポンポンと叩く。
「じゃあ、母さんも一緒に……」
私の言葉に母さんは首を横に振る。
「私は、一緒に行けない。幸矢を守りたいから……。貴女の心を守りたいから、私はあの家に戻って戦うわ。貴女の為にも何か出来ないか色々と調べたいしね。」
母さんは、私を抱き締めながら新たな決意を込めて言う。
「母さん、ごめんなさい。弱い私なんかの為に……。」
耐えていた涙が溢れる。
「泣かないの。幸矢はちっとも弱くないわ。やっと、私を頼ってくれたんだもの。自分の子どもの為なら、母は強くなれるものよ。」
優しい笑みを浮かべて言う母さん。
「祥くん。幸矢の事お願い出来るかな。この子、人に頼ることになれてないから、祥くんが気に掛けてくれる?」
「はい。じゃあ、早速ですが、俺の知り合いの病院に転院させて貰っても?」
成瀬君が、母さんに訪ねる。
「ここだと、またあの人たちが来てゆっくり出来ないからね。」
母さんが承諾する。
「分かりました。では、手続きをしてきます。その間に幸矢の着替え、お願いします。」
成瀬君はそう言うと立ち上がる。
「わかったわ。」
母さんの返事を聞いてから成瀬君は部屋を出て行った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる