ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

文字の大きさ
39 / 145
中学生と婚約解消

尾行?……悠磨

しおりを挟む


 義之の家からの帰り道。
 オレは、亜耶の事を考えながら歩いていた。

 亜耶……。
 オレは、どれだけ頑張れば君に近付くことができるんだ?
 目標は、あの人"高橋遥"を越えること!
 あの人の情報がもっと欲しい。
 何でもいいから……。
  
 少しでもいいから、君の傍に居たいんだ。


 そう思った矢先だった。
 顔を上げれば、目の前に高橋遥本人が居るではないか。
 オレは、気付かれないように跡を着けた。

 彼を追っ手着いた場所は、某有名ホテルだった。
 上を見上げれば、空高く延びる建物。
 太陽の日差しが、目にチカチカと入る。
 彼は、戸惑いもなく入り口を潜って行く。
 こんなところに何の用が……。
 そう思いながら、入るには忍びなくて狼狽えながら、一歩中に入り辺りを見渡す。
 ロビーで、綺麗な女の人とイケメン三人に囲まれてるあの人を見つける。
 ここからでは遠くて、会話が聞こえない。
 気付かれないように距離を詰めていくも結局、人目が気になり、断念する。

 よく見れば、四人とも同じような顔立ち。兄弟なのだろうと推測できる。
 ただ、立ち振舞いがとても優雅であるのはわかる。
 幼い頃からの躾が成せるものだろう。
 兄が言っていたことは、本当なのだと言うことだ。
 その御曹司が、一般の亜耶と婚約してるなんて、到底思えない。
 これは、何かの間違いじゃないかと思う。

 オレは、そう結論を出して踵を返した。


 しかし、あの人の周りには美形が多い。
 って、そこは考えても仕方ないか……。
 跡を着けて行ったにも関わらず、何も収穫はなかった。
 ただ、御曹司ってことだけが明白になっただけだった。


 誰か、あの人の事を知ってる人近くに居なかったか?
 考えろ……。

 あっ、居たよ。
 亜耶のお兄さん。
 あの人の親友だって、兄が言ってた。
 だけど、どうやって接触すればいいんだ?
 亜耶の家に押し掛けて聞くわけにもいかないし……。
 どうしたらいいんだ??

 オレは、頭を悩ませながら、家へと足を向けていた。

 ふと、視線を上げれば見知った後ろ姿が目に飛び込んできた。その隣には男性も居る。
 これは、チャンスかも。
 オレは、彼女の方に足早に近付き。
「亜耶」
 そう声を掛けた。
 彼女は、肩を魚籠つかせこちらを振り返り。
「あっ、悠磨くん。こんにちは」
 オレを確認してから、笑顔で返してくる。
 めちゃくちゃ可愛い。
「こんな所で何してるの?」
 亜耶が、不思議そうな顔で聞いてくる。
 まぁ、今居る場所が住宅街だから、そうなるよな。
「あぁ、義之ん所に行った帰りだよ」
 まぁ、嘘つく必要もないし、な。
「そうなんだ」
 納得してくれたっぽいけど……。オレは、隣に居る亜耶のお兄さんに目線を向けて。
「こんにちは」
 と、挨拶すれば。
「こんにちは」
 ニコニコして返してくれた。
「亜耶。俺、先に帰るな」
 って、亜耶の頭をポンポンして歩き出すお兄さん。
 オレもやりたい……。って違う。
 亜耶と二人っきりにしてもらえるのは嬉しいのだが、オレが用があるのはお兄さんの方だ。
「あの~」
 オレは、恐る恐る声を掛ける。
「俺に何か用か?」
 って、口許は笑ってるのだが、目元が鋭くて言葉に詰まる。
「少し……聞きたいことがあるのですが……」
 オレは意を決してそう口にすれば、不思議そうな顔をし。
「俺で答えれるのなら」
 と言ってくれて、でもオレが聞きたいことは、亜耶に聞いて欲しくないことで……。亜耶を見れば、キョトンとした顔でオレの事を見てて、どうしたら良いかわからずいた。
 オレが中々口にしないから、痺れを切らしたのか。
「亜耶。先に帰って勉強しな。わからないところが出たら後で教えてやるよ」
 お兄さんが、亜耶にそう告げてくれた。
「うん。じゃあ悠磨くん、明日塾でね」
 って、小さく手を振って歩き出す。 
 その仕草が、可愛くて仕方ない。
「うん。明日な」
 オレもそう答えて彼女の背中を見送った。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

ハイスペックでヤバい同期

衣更月
恋愛
イケメン御曹司が子会社に入社してきた。

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

フリーランスエンジニアの優しすぎる無償の愛

春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した茉莉は、雨の夜に思わず人生の終わりを願ってしまう。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。 【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】 ☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆ ※ベリーズカフェでも掲載中 ※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

扉の先は異世界(船)でした。~拾ったイケメンと過ごす異世界航海ライフ~

楠ノ木雫
恋愛
 突然異世界の船を手に入れてしまった平凡な会社員、奈央。彼女に残されているのは自分の家とこの規格外な船のみ。  ガス水道電気完備、大きな大浴場に色々と便利な魔道具、甲板にあったよく分からない畑、そして何より優秀過ぎる船のスキル!  これなら何とかなるんじゃないか、と思っていた矢先に私の好みドンピシャなイケメンを拾い上げてしまった。目覚めたと思ったら、首を絞められる寸前となり絶体絶命!  何とも恐ろしい異世界ライフ(船)が今始まる!  ※大幅に改稿しました。(旧題:異世界でイケメンを引き上げた!〜突然現れた扉の先には異世界(船)が! 船には私一人だけ、そして海のど真ん中! 果たして生き延びられるのか!)

それは、ホントに不可抗力で。

樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。 「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」 その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。 恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。 まさにいま、開始のゴングが鳴った。 まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。

処理中です...