54 / 145
中学生と婚約解消
初デート③…亜耶
しおりを挟む雑貨屋さんに入ると色とりどりの物で溢れていた。
可愛い物からシンプルな物まで、ありとあらゆる物が所狭しに並んでいた。
私は、店内を見て回る。
ストラップのコーナで足が止まった。
これ、可愛い!!
手にしたのは、ビーズでできたイルカのストラップ。色は、青とピンクのお揃いで付けれるじゃん。
そう思って。
「悠磨くん。これどうかな?」
私は、悠磨くんの方に向き聞いてみた。
「う~ん。亜耶のお兄さんのイメージじゃないと思うけど……。」
悠磨くんに指摘され、それもそうだなっと断念した。
可愛いのに……。
由華さんなら、喜んで付けてくれそうだったのに……。
そう思いながら、もう一度店内を見渡してみた。
そして、ある一角に目がいった。
ナチュラル素材で出来たフォトフレーム。
私は、その場所に移動する。
これならば、結婚式で撮った写真を入れて飾ってもらえるかも…。
しかも二枚組だし……。ガラスに四つ葉のクローバーがそっと添えられてる。
「ねぇ、ねぇ。これならどうかな?」
私が指を差すと、暫く考えていた悠磨くんが。
「いいと思うよ。」
との言葉が返ってきた。
私は、それを手にすると。
「じゃあ、これ買ってくるね」
悠磨くんにそう告げて、レジに並んだ。
「プレゼント様にラッピングしてください」
支払う時にそう告げると、店員さんが包装紙とリボンを見せてくれた。
「こちらの中から選んで頂けますか?」
そう言われて、白地に小花の包装紙にピンクのリボンを選んだ。
「包装しますので、もう暫くお待ちください」
そう言われて、私はレジの横で待つことにした。
その間に悠磨くんがレジに並んでるのが見えた。
品物を受け取って、店の外で悠磨くんが出てくるのを待った。
「待たせた?」
店から出てきた悠磨くんが謝ってきた。
「……ん、いいよ。何か欲しい物でもあったの?」
私が聞くと。
「うん。」
って、照れ臭そうに頷いた。
?
私は、不思議に思ってたら。
「帰ろっか。送ってくよ。」
自然と手を繋ぐ。
当たり前のように……。
「うん。」
ちょっと……かなり、慣れてきたかな……。
帰り道は、たわいのない話で盛り上がった。
「ねぇ、悠磨くん。高校からの課題、もしよかったら一緒にやらない?」
私は、そう口にしていた。
本当、自分でもビックリ。
「いいよ」
悠磨くんも一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに答えてくれた。
「やったー!」
つい言っちゃった。
だって、卒業して入学式まで会わないってのも、寂しいって思ってたから……。
だから、約束が欲しかったんだ。
一緒に居ていいんだと言う安心感が、欲しいと思ったの。
「今日は、ありがとうね」
私は、素直に言葉を吐き出した。
「こっちこそ、ありがとう。そうだ、これ……」
悠磨くんが、袋から何かを取り出し手渡してきた。
「開けていい?」
訪ねると軽く頷く悠磨くん。
私は、封を開けて取り出した。
そこには、ミサンガのストラップが出てきた。
色も私が好きな、スカイブルー。
「……いいの?」
「うん。今日の記念に、ね。オレとペアだから、逆につけてて欲しい、かな」
悠磨くん目線を逸らして言う。
あっ、照れてる。
「ありがとう」
私はそう言うと、自分の携帯に早速取り付けた。
それを見ていた彼が、自分の携帯を取り出して私に見せてくれた。
そこには、同じ色のストラップが付いていた。
本当にお揃いなんだ。
ポワーンと心が暖まってきた。
「お揃い。嬉しいな」
私は、照れ笑いを浮かべてみた。
すると視界が真っ黒になった。
ん?
あれ?
私、もしかして抱き締められてる?
「ゆ……悠磨くん」
突然の事に戸惑ってしまう。
「可愛すぎるんだよ亜耶は……。オレ、ずっと他の男に獲られないか心配だった。」
悠磨くんが、少し震えてる。
私が、不安にさせてるの?
「大丈夫だよ。私は、悠磨くんしか見てないから」
私は悠磨くんの背中に腕を回し、そう言葉にしていた。
でも、本当は……。
これは言ってはダメ。
今は、封印してる想いだから……。
私の言葉に安心したのか、悠磨くんが離れた。
「じゃあ、明後日、学校で…」
「うん」
私は、悠磨くんの背中を見送った。
ごめんね、悠磨くん。
本当の私の気持ちを知ったら、軽蔑されちゃうよね。
だから言わない。
誰にも言えない…。
0
あなたにおすすめの小説
先生
藤谷 郁
恋愛
薫は28歳の会社員。
町の絵画教室で、穏やかで優しい先生と出会い、恋をした。
ひとまわりも年上の島先生。独身で、恋人もいないと噂されている。
だけど薫は恋愛初心者。
どうすればいいのかわからなくて……
※他サイトに掲載した過去作品を転載(全年齢向けに改稿)
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
俺様系和服社長の家庭教師になりました。
蝶野ともえ
恋愛
一葉 翠(いつは すい)は、とある高級ブランドの店員。
ある日、常連である和服のイケメン社長に接客を指名されてしまう。
冷泉 色 (れいぜん しき) 高級和食店や呉服屋を国内に展開する大手企業の社長。普段は人当たりが良いが、オフや自分の会社に戻ると一気に俺様になる。
「君に一目惚れした。バックではなく、おまえ自身と取引をさせろ。」
それから気づくと色の家庭教師になることに!?
期間限定の生徒と先生の関係から、お互いに気持ちが変わっていって、、、
俺様社長に翻弄される日々がスタートした。
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団の異色男子
ジャスティン・レスターの意外なお話
矢代木の実(23歳)
借金地獄の元カレから身をひそめるため
友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ
今はネットカフェを放浪中
「もしかして、君って、家出少女??」
ある日、ビルの駐車場をうろついてたら
金髪のイケメンの外人さんに
声をかけられました
「寝るとこないないなら、俺ん家に来る?
あ、俺は、ここの27階で働いてる
ジャスティンって言うんだ」
「………あ、でも」
「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は…
女の子には興味はないから」
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる