ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

文字の大きさ
104 / 145
高校生編と再婚約の条件

球技大会②…亜耶

しおりを挟む

  体育館の二階の観覧席に行く。
  こっちは、熱気で溢れてる。


  外の気温より高いんじゃないの?
  私は、上から会場を見る。
  皆、バテ気味だ。
  熱中症が怖いから、スポーツドリンクの差し入れしよう。
  私は、体育館を出て、購買部の近くに有る自販機に向かった。

  自販機にたどり着くとスポーツドリンクを人数分購入し戻った。

  ちょうど休憩に入ったみたいで、コートの外で涼をとってるメンバー。
「お疲れ様。これ飲んでね」
  メンバーに声を掛けて、スポーツドリンクを渡していく。
「亜耶、ありがとう。」
  梨花ちゃんが嬉しそうに受け取ってくれる。
「鞠山さん、ありがとう。」
「うん。皆が頑張ってるから、差し入れだよ。」
  って、笑顔で返した。
「ちょっと、押され気味だけどまだ盛り返せるよ。頑張ろう。」
「「「オー!」」」
  梨花ちゃんの言葉で気合いが再びはいる。
  メンバーがコートに戻っていくのを見送る。
  梨花ちゃん、ほんとムードメーカーだよね。

  この調子なら、大丈夫かな。
  何て思ってたら。
「亜耶ちゃん、俺等のは?」
  って声がかかり、振り返ると龍也くんがそこに立っていた。
「えっ、あっ、ごめん。今から、買ってくるよ。」
  私が踵を返して買いに行こうとすると。
「嘘。俺らより女子の方がしんどそうだったから、亜耶ちゃんの気遣いに感謝。」
  龍也くんが苦笑を浮かべる。
「もう……。で、そっちは勝ったの?」
「勿論。で、亜耶ちゃんの方は?」
「ギリギリ勝ち残ったよ」
「そっか。梨花の方は、2セット終わって、一対一なんだよ。で、外でサッカーの試合が始まるだろ。俺、このまま梨花の応援するから、亜耶ちゃんサッカーの応援に行ってもらっても良い?」
  龍也くんが申し訳なさそうに言う。
「うん、いいよ。じゃあ、後宜しくね。」
  元々行くつもりだったしね。
「おお。」
  龍也くんと別れて、グランドに向かう。


  グランドでは、悠磨くんのクラスと対戦してるメンバー。
  私が行った時には、中盤までいっていた。
  得点は……っと。
  ボードを見る。1対0でうちのクラスが勝ってる。
  試合を見ていると、リーダーの林元くんの声が、次から次へと指示を出してグランドに響く。
  彼の指示のもと、他のメンバーがキビキビと動き回ってる。
  何このチームプレーのよさ。
  うちのクラス、凄いじゃん。
  何て、感心しながら見ていた。
「君のクラスすごいな。」
  不意に声を掛けられて、振り返れば朝の嫌な奴が居た。
  何で、上から目線でしかモノが言えないの?
  私は、彼を無視してグランドを見る。
  あっ、悠磨くんがシュート体制に入ってる。
  悠磨くんが蹴ったボールは、ゴールポストの外に流れていった。
  おっしいなぁー。もう少しずれてたら、入ってたのに……。
「なぁ。何で無視するんだよ。」
  後ろに居たはずの彼(細川くんだっけ?)が、横に居た。
「……。」
  煩いなぁ。
  どっか、行ってくれないかなぁ。
「おい。俺の話聞いてるのか!」
  こんな人無視するに限る。
「姉貴と高橋さんの結婚決まったって。」
  突然、遥さんの名前を持ち出され、内心焦りまくってる自分がいる。
「それ、嘘ですよね。遥さんの婚約は、破棄されたって聞きましたけど。」
  彼の方に向き直りそう告げた。
  昨日の今日だし、由華さんが嘘つくわけ無いもの。
「やっと口をきいてくれたな。」
  ホッとした顔で言われ、仕舞ったと思った。
「なぁ、この間の事、考えてくれたか?」
  朝も言ってたけど、何の事?
  私が困った顔をしたのを見逃さなかった彼が。
「俺の彼女になるって話。」
  あぁ、何かそんなこと言ってたっけ……。
「思い出したか? 返事、今くれ。」
  だから、人に頼む態度じゃないよね。
  横暴な態度の人と付き合えるわけないじゃん。
「ごめんなさい。あなたと付き合うことできません。」
  私は、それだけ言うと悠磨くんのクラスに足を向けた。
  彼と話しているうちに試合が終わったからだ。


  私は、悠磨くんのスポーツタオルを手にして、彼の方に近づく。
「お疲れ様。」
  目の前で委員会で、何度となく顔を会わせてる女の子が、悠磨くんにタオルを渡そうとしてる。
  それを観ても何とも思わないなんて……。
「あっ、オレはいいや。」
  悠磨くんが、彼女のを断って、こちらに来る。
  気付いてたんだね。
「お疲れ様、悠磨くん。」
  そう言って、彼にタオルを渡す。
「あぁ、ありがとう。」
  悠磨くんが笑顔で受け取ってくれる。
「残念だったね。もう少しだったのに……。」
  悠磨くんと話してるとさっきのに子が、私を睨んできた。睨まれる理由なんて、ないんだけどなぁ……。
  それでも怖いかも……。
「仕方ないさ。それより、亜耶の試合は?」
  悠磨くんが、“こんな所に居ていいの?”って顔をしてる。
「えっ、あぁ。これからなんだけど……。ちょっと、押してるかなぁ。」
  ヤバイ、忘れてたよ。
  あいつのせいだ!
「亜耶。何か隠してるのか?」
  悠磨くんが、訝しげな顔で私を見る。
  私は、それに対して首を左右に振った。
「だったら、何でそんなに警戒してるんだ?」
  警戒……。
  確かに警戒してるのかな。
  あの細川ロクデナシに対してだけど……。
「悠磨くんを狙ってる女の子に悪いなって……。」
  何せあっちこっちから女の子達の鋭い視線を感じるんだもん。
「オレは、亜耶に独占されたいんだよ。」
  悠磨くんが耳元で囁く。
  うっ……。
  何、その台詞は……。
  遥さんに言われたら、一瞬で顔を赤くするであろう台詞……。
  ボンッ…。
  あ、ヤバイ。
  想像しただけで顔が熱い。
  取り合えず。
「もー、悠磨くんのバカ。」
  って、誤魔化すように言う。
  悠磨くんの性だと匂わせるように……。
「次の試合、応援してるな。」
  周りのクラスの人に聞こえないように配慮して囁き声なんだろうなと思いながら。
「……うん。」
  小さく頷いた。














しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

ハイスペックでヤバい同期

衣更月
恋愛
イケメン御曹司が子会社に入社してきた。

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

フリーランスエンジニアの優しすぎる無償の愛

春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した茉莉は、雨の夜に思わず人生の終わりを願ってしまう。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。 【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】 ☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆ ※ベリーズカフェでも掲載中 ※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

扉の先は異世界(船)でした。~拾ったイケメンと過ごす異世界航海ライフ~

楠ノ木雫
恋愛
 突然異世界の船を手に入れてしまった平凡な会社員、奈央。彼女に残されているのは自分の家とこの規格外な船のみ。  ガス水道電気完備、大きな大浴場に色々と便利な魔道具、甲板にあったよく分からない畑、そして何より優秀過ぎる船のスキル!  これなら何とかなるんじゃないか、と思っていた矢先に私の好みドンピシャなイケメンを拾い上げてしまった。目覚めたと思ったら、首を絞められる寸前となり絶体絶命!  何とも恐ろしい異世界ライフ(船)が今始まる!  ※大幅に改稿しました。(旧題:異世界でイケメンを引き上げた!〜突然現れた扉の先には異世界(船)が! 船には私一人だけ、そして海のど真ん中! 果たして生き延びられるのか!)

それは、ホントに不可抗力で。

樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。 「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」 その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。 恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。 まさにいま、開始のゴングが鳴った。 まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。

処理中です...