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高校生編と再婚約の条件
熱と想い…亜耶
しおりを挟む私達は、プールサイドに来ていた。
プールの中の水は、膝下位になっていて、その中にお題(問題)が書いてある紙が、濡れないように厳重に封がしてあり、、それを一つだけ取って、答えるってものだった。
「じゃあ、俺が取ってくる。」
そう言って、意気揚々と篠崎先輩が靴と靴下を脱ぎ、中に入って行く。
そして、一つの問題を持って戻ってきた。
厳重に封をしてあるのを解いて、紙を取り出す。
問題を見る。
'円周率を数字で表すと(十桁まで)'
と書かれてあった。
「わかるヤツ居る?」
湯川先輩が聞いてきた。
私は、手を挙げて。
「3.141592653。」
と答えた。
「えっ、ちょっと待って……。」
慌てて控える湯川先輩。
「亜耶ちゃん。これに書いて。」
あゆみ先輩が、用紙とシャープペンを差し出してきた。
私は、シャープペンを手にし、そこに数字を書き込んだ。
それを湯川先輩に渡すとそれを持って先生の所に行く。
「流石、天才少女。鞠山会長も隠したがる筈だよ。」
透くんが、苦笑ぎみに言う。
天才少女? 誰の事?
不思議に思いながら、耳を傾ける。
「透。それは言ったらダメだって。」
あゆみ先輩が、慌てて透くんの口を塞ぐ。
透くんが、苦しそうにもがいている。
アハハハ……。
透くんが、あゆみ先輩の手を外すと。
「先輩。俺を殺す気ですか? 結婚する前に真由を一人にするつもりですか?」
って、凄い剣幕で抗議する。
その言葉にあゆみ先輩は。
「ゴメンネ。」
って言い、篠崎先輩と小林さんが、呆然と見ていた。
「ちょ……、今、聞き捨てならない言葉が聞こえてきたんだが……。透、お前、婚約者が居るのか?」
篠崎先輩が、聞いてきた。
さっきも言ってたと思いますが……って突っ込む気力無い。
さっきのは、聞いて聞かない振りだったのかな?
それとも、本当に聞いてなかったのかだよね。
「居ますよ。それぐらい当たり前じゃないですか。俺、同棲してますし……。桜先輩も兄さんもそれに鞠山さんにもちゃんとした婚約者が居ますよ。」
透くんが、真顔で爆弾発言をした。
それは……。
「ちょっと、透。私や流馬はいいけど、亜耶ちゃんの事は、まずいって。まだ正式に発表されてないんだから、まずいでしょうが。」
あゆみ先輩が、小声で透くんに怒る。
そして慌てて私の方を見て、透くんが手を合わせ。
「ごめん、鞠山さん。つい……。」
って、謝ってきた。
「あっ、うん。今のは、仕方ないね。」
って言うしかなかった。
透くんは、ただ勢い余って言ってしまっただけなのだから……。
普段なら、もっと違うことが言えたのだろうけど、今日は、どうも頭が働かない。
曖昧な言葉しか出てこない。
そこに。
「ちょっと待ってよ。だったら、悠磨くんとの関係って何なの?」
小林さんが間髪を入れず聞いてきた。
あぁ悠磨くんを好きな彼女からしたら、許せないんだろうな。
「今のところは、彼氏なのかな。悠磨くんも薄々気付いていると思うんだ。私の気持ちが何処にあるかって……。だけど、お互い言えないで居るのが現状かな。」
悠磨くんには申し訳ないと思ってる。
だけど、気付いちゃったんだよね。悠磨くんと付き合うことで、自分の気持ちに……。自分が、誰の事を想ってるのかを再確認しちゃったんだ。
私の言葉に透くんと小林さんがそれぞれ違う反応を見せる。透くんは目を大きく見開き私をじっと見つめてきて、小林さんは嫌悪感を顕にした顔で私を睨み付けてくる。
そして、気が抜けたところに。
ドン!!
って、肩を押されバッシャーンと水飛沫が自分の横に上がる。
今の答えが気に入らなかったのか、気付けば小林さんにプールに突き落とされていた。
「亜耶ちゃん!!」
あゆみ先輩が、大声で私を呼ぶ。
アハハ、痛いなぁ。
水嵩が、少ないプールの底に背中から落ちる。
背中をぶつけて、息がしにくい。
「あんたなんかに悠磨くんは、似合わない!!」
小林さんが、そう叫んだのが聞こえた。
もう、何が何だかわかんなかったけど、周りもざわついてるが、気にならない。
「ねぇ、似合う似合わないって何? 恋愛ってそんな風にするものなの? 違うよね。お互いが想い合って、するのが恋愛じゃないの。人に言われてする"恋"なんて、"恋"じゃない。今の小林さんは、ただ憧れてるだけだって思うよ。」
私は、ゆっくりと立ち上がって言う。
背中が、痛い。
それに熱も出てきてる。
はぁ……はぁ……。
息が苦しい。
もう、やだな。こんなカッコ悪いこと……、したく無かったのに……。
「あんたには、わかるって言うの!」
声をした方を見れば、小林さんが霞んで見える。
これ、本格的にヤバイかも……。
「わかるようになったのは、つい最近だよ。遥さんの優しさに触れる度に愛しくなるし、たまの我が儘も聞いてあげたいって想うのもあの人だけ。私だけにしか見せない表情。良いところも悪いところも全て曝して見せ会えることこそが、信頼できる相手だって、ついこの間知らされた。あの人が頑張ってるんだから、自分も頑張ろうって、支えてもらってるんだから、支えてあげようって想えるんだって。そう教えてくれたのもあの人なの。」
私は、それだけの言葉を一気に吐き出して、意識を手放した。
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