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高校生編と再婚約の条件
入院…亜耶
しおりを挟む目が覚めたら見知らぬ天井が飛び込んできた。
ここは……。
私は、目を動かして腕に繋がれてる管と薬独特の臭いで、病院に居るんだと認識した。
何で、病院に居るんだろう?
頭を動かして、辿ってみる。
確か、レクの日に体調を崩してて、それからプールに突き落とされたんだっけ……。
「亜耶。目が覚めたのね。」
お母さんの心配そうな声。
心配かけちゃったな。反省しないと。
「二日も目が覚めないから、心配だったのよ。今、先生呼んでくるから。」
そう言って、お母さんは部屋を出て行く。
二日も……。
でも、意外とスッキリしてるんだよね。
遥さんにバレたら、色々とヤバイんだろうなぁ。
下手したら、学校の送り迎えするとまで言い出しそうだ。
何て、考えていたら。
「亜耶さん。お加減は如何ですか?」
先生の優しい声。
「お陰さまで、良いですよ。」
と笑顔で答えた。
「そう。心音と呼吸の確認するね。」
そう言うと聴診器を充ててきた。
「うん。大丈夫そうだね。熱も下がってるし……。まだ無理はダメだから、後二日入院してて。」
って、先生が言う。
「えー! そんなぁ……。」
不満な声を上げる私に。
「肺炎になりかけてたんだよ。無理してこじらせるのか?」
真顔で言われてしまえば、従うしかない。
「わかりました。大人しくしてます。」
口を尖らせて、渋々頷いた。
「わかればよろしい。」
苦笑いをしながら私の頭を撫でる先生。
「高橋には知らせてないから、安心してな。」
先生が追加と言わんばかりに告げる。
あいつって言うのは、あの人の事だと直ぐにわかった。
「ありがとうございます?」
疑問符付きでお礼を言う。
「何で疑問符。まぁいいか。取り敢えず安静にしててな。」
先生は、そう言うと部屋を出て行った。
う~ん。やっぱり謎の先生だ。
コンコン。
病室の戸をノックする音が聞こえた。
お母さんが出る。
「亜耶。悠磨くんがお見舞いに来てくれたわよ。」
「入ってもらって。」
私の言葉にお母さんが悠磨くんを中に入れる。
悠磨くんの後ろに隠れるようにして、小林さんの姿があった。
どうしたんだろう?
私は首を傾げながら二人を見る。
「亜耶。やっと目が覚めたんだな。二日も眠り込むとはな。」
苦笑する悠磨くん。
「私もそれを聞いて驚いたよ。まさか私が眠り込むとはね。」
私も苦笑した。
「でも、何もなくてよかったよ。」
悠磨くんが、心底ホッとしてるのがわかった。
心配かけちゃったな。
「うん。でも、さっき先生に言われちゃった。肺炎の手前だったって。」
私の言葉で、小林さんの顔が歪んだ。
?
「ほら泉。謝りに来たんだろ。」
悠磨くんが、小林さんの背中を押す。
謝るって?
何の事だろう?
「鞠山さん、ごめんなさい。本当に申し訳ない事をしたって、反省してる。」
小林さんが、頭を下げてくるから。
「あぁ、気にしなくていいよ。私が悪いんだしね。自己管理を怠ったのは、私自身な訳だし、小林さんが謝る必要なんて、全然無いからね。だから、頭上げて欲しいな。」
私は、慌ててそう言った。
そう、自己管理が出来てなかったせいで、婚約者が居ることまでカミングアウトしてしまったのも自分の責任。
前もって、小林さんが悠磨くんに気があるのを知ってて警戒を怠った自分の責任。だから、謝られる筋合いがないのだ。
「……でも」
頭を上げた小林さんは、納得のいかない顔をする。
「じゃあ、私も小林さんの事泉って呼んでいい? それから、友達として居て欲しいなぁ。」
笑顔で告げれば。
「そんなのでいいの。」
笑顔で返ってきた。
「泉。私の事も亜耶って呼んでね。じゃないと友達って言えないでしょ。」
悪戯っぽく笑って言えば。
「亜耶、ありがとう。」
目尻に涙を浮かべてる。
「それは、私の台詞だよ、泉。来てくれてありがとね。」
って言えば、ポロリと涙を流す泉。
私は、彼女の頬を伝う涙を拭う。
「泣かないでよ。」
もう、苦笑するしかない。
「亜耶が優しすぎるから……。」
泉が、しゃくりながら言う。
優しいのかなぁ? 自分ではわからない。
暫くして落ち着いたところで、泉が婚約者の話しを聞いたって言ってきた。
「う~ん。そっか……。私の婚約者は、お兄ちゃんの同級生で、社会人なんだ。何時も傍に居たから、わからなかったの。離れてみて気付いたっていうかさ、鈍いんだよね私。彼が、どれだけ大事にしてくれたのか、今ならわかるんだ。だから、今はその想いに答えたいって思ってる。」
悠磨くんも居る中で、自分の気持ちさらけ出しちゃってる。
彼女、泉には本当の事を打ち明けたかったから……。
隠す必要が無いと判断した結果だ。
それに悠磨くんの事を真剣に思ってる彼女には、きちんと言わないとダメだって思ったから……。
「亜耶の気持ち、わかった。早く、学校に出てきてね。」
泉がそう言って部屋を出て言った。
「じゃあ。オレも帰るな。」
少し、寂しそうな声の悠磨くん。
「あ、うん。お見舞い、ありがとね。」
私は、そう言って悠磨くんを見送った。
ごめんね、悠磨くん。
悲しい顔させる積もりなんて無かったんだよ。
「ヤッホ。元気、鞠山さん。」
二人が帰った後、透くんが部屋に来た。
透くんの明るい声が、病室の雰囲気を変えてくれた。
「透くん。」
「さっき、悠磨と泉来てただろ?」
その言葉に頷いた。
「これ、お見舞いな。真由と選んだんだ。」
そう言って、透くんは近くに来て椅子に座る。
「二人には、婚約のいきさつ話したんだな。」
透くんが、苦虫を噛んだような顔をする。
さっきの聞いてたんだね。
「話したのは、私じゃないよ。お兄ちゃんだよ。」
その事を知ったのもさっきだったしね。
「そっか……。亜耶ちゃん。ごめんな。俺が迂闊な事を言ったまでにこんな事になって、真由にも叱られたよ。“亜耶ちゃんの事を考えて口にしろ”って。亜耶ちゃんに謝るまで口きかないって言って、今も口聞いてくれないんだよ。」
透くんが、弱気になってるのは、真由ちゃんのせいか……。
ホント、真由ちゃんの事好きなんだなぁ。
「亜耶ちゃん、本当にごめんね。」
弱々しい声で言う透くん。
「もういいよ。過ぎてしまった事は仕方ないよ。遥さんにバレないようにね。彼にバレた時の方が、怖いからさ。」
透くんに何が起きるかわからないもの。
「それは、肝に命じておくよ。じゃあ、長居するわけにもいかないから帰るな。」
そう言って、椅子から立ち上がる。
「あっ、悪いけど。真由にメールしてくれるかな。物凄く、心配してるから……。それから、俺がちゃんと謝ったことも伝えてくれると助かる。」
申し訳なさそうに言う透くん。
「それはいいけどメアド知らないんだ。」
私がそう言うと。
「これ、そう思って書いてきた。」
透くんが紙を渡してきた。それを受けとると。
「じゃあ、メールしておくね。」
そう言うと嬉しそうな顔をして。
「ありがとう。お大事に。」
って言うと部屋を出て行った。
私は、透くんから渡されたアドレスにメールしたのだった。
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