「春風のメロディ」

CATS

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試練と決意

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デビューまであと1週間というある日の朝、美咲は突然の喉の痛みで目を覚ました。
「まさか、風邪?」
不安な気持ちで学校に向かう美咲。放課後の練習で歌おうとすると、声が思うように出ない。
「大丈夫か?」翔太が心配そうに尋ねる。
「ちょっと喉が...」
美咲の言葉に、メンバー全員が心配の表情を浮かべた。
「病院に行こう」麻衣が即座に提案した。
診断の結果、幸い重症ではなかったものの、医師からは1週間の声の休養を勧められた。
「でも、デビューまであと1週間しかないのに...」
美咲は泣きそうな顔で皆を見た。
「大丈夫だよ」翔太が優しく肩に手を置いた。「みんなで乗り越えよう」
その夜、緊急のミーティングが開かれた。
「美咲の回復が最優先」翔太が切り出した。「でも、デビューも延期できない。どうする?」
沈黙が流れる中、突然美玲が手を挙げた。
「私が美咲ちゃんの代わりに歌うのはどうかな」
全員が驚いた顔で美玲を見つめる。
「でも、キーボードは...」健太が心配そうに言った。
「僕が弾く」拓也が即座に答えた。「最近練習してたんだ」
「私も歌のバックアップならできるわ」麻衣も申し出た。
美咲は感動で言葉を失った。みんなが自分のために...
「ごめんね、みんな。私のせいで...」
「違うよ」翔太が遮った。「これが僕たちの絆だ。一人が倒れても、みんなでカバーし合う。それが本当のバンドだろ?」
全員が力強く頷いた。
それからの1週間、メンバーたちは昼夜を問わず猛練習を重ねた。美咲も声を出さずにできることを懸命に探し、振り付けの確認や衣装の調整など、裏方の仕事を手伝った。
そして、ついにデビュー当日を迎えた。
楽屋で最後の確認をしていると、スタッフが慌てた様子で駆け込んできた。
「大変です! 美玲さんが倒れて...」
全員が凍りつく。
「どうしよう...」
絶望的な空気が流れる中、美咲が立ち上がった。
「私が歌います」
「でも、喉の調子は?」翔太が心配そうに尋ねる。
「大丈夫」美咲は微笑んだ。「みんなが1週間頑張ってくれたから、私の喉も回復したの。それに...」
美咲は深呼吸をして続けた。
「みんなの想いを乗せて歌いたい」
メンバー全員が感動の表情を浮かべる。
「よし、行こう!」翔太の掛け声で、全員で円陣を組んだ。
「Spring Melody、いくぞ!」
ステージに立つと、大勢の観客の歓声が響き渡る。
美咲は深呼吸をして、マイクを握りしめた。
イントロが流れ始める。
美咲は目を閉じ、これまでの思い出が走馬灯のように駆け巡るのを感じた。出会い、喜び、苦難、そして絆...全てが今この瞬間につながっている。
そして、歌い始めた。
最初は少し震えていた声が、徐々に力強さを増していく。翔太のギター、健太のドラム、拓也のベース、そして急遽キーボードを担当することになった麻衣の演奏。全ての音が完璧に調和し、美咲の歌声と一体となっていく。
観客の熱気、仲間たちの想い、そして自分自身の決意。全てを込めて、美咲は歌い上げた。
最後の音が鳴り響き、会場は大きな拍手と歓声に包まれた。
ステージの袖で、涙を流しながら応援していた美玲の姿が見えた。
美咲は、仲間たちと抱き合いながら、心の中でつぶやいた。
「これが私たちの音楽...これが『Spring Melody』」
その日の夜、メンバー全員で星空の下に集まった。
「みんな、ありがとう」美咲が涙ながらに言った。
「いや、ありがとうじゃない」翔太が優しく微笑んだ。「これからもずっと一緒だ」
全員で手を重ね合わせ、夜空に向かって叫んだ。
「『Spring Melody』、これからもよろしく!」
その瞬間、流れ星が夜空を横切った。
新しい朝が、彼らの新たな旅立ちの始まりを告げていた。
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