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後日談 あずきアイス
後日談-1
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「おら、買ってきたぞ、野郎ども。よきに計らえや」
そう言いながら優作が俺達のもとに戻ってきたのは、優作がコンビニに入ってから10分ほどが経ったあたりの事だった。
11月、第2木曜日。夜、駅前コンビニ。
11月に入ってから、4回目となるバンド練習日。いつも通りRe:creationでバンド練習を終えた俺達は、「なんか腹減らない?」と、そんなぼんやりとした俺の呟きをきっかけに、駅前のコンビニにやってくる事となった。
「お腹ですか」「えー。透くん、この時間に何か食べるつもりー?」「お前、今何時だと思ってんだよ」と、俺の呟きに三者三様の反応を見せるバンド仲間達。その背中を「まま、ほらほら」と押して、駅前のコンビニまでやってきたのが、今から10数分ほど前のこと。
その後、たどり着いたコンビニの前で、野郎4人で入ってもごちゃごちゃするだけだ、という話になったので、「じゃんけんで負けた奴の奢りねー。はい、出さなきゃ負けよ、じゃーんけん、」とほぼ強制全員参加のじゃんけん大会を開催。結果、見事一発負けをした優作が奢り係として選ばれる事となった。
「くそがっ」と悪態をつきながらコンビニに入っていく優作を見送り、残る3人でコンビニ前のガードパイプに腰を落ち着ける。
そうして、もはや夏のなの字もない11月の冷たい空気の中、適当にたべりながら優作の帰りを待つ事約10分。冒頭の台詞を吐きながら、優作がコンビニから出てきたのだった。
ガサッ、とコンビニの真っ白で味気のないビニール袋が、俺、拓弥、たかのっぽくんの前に乱暴に差し出される。「わーいっ、やったー」と立ち上がって、俺は優作の袋を受け取った。
「なっにかな~」と袋の中を覗き込めば、拓弥とたかのっぽくんも俺と一緒に袋の中を覗き込む。
「げっ。なにこれ、全部あずきアイスじゃん」
「あぁ? なんでもいいっつったのは、お前らだろうがよ」
「文句あんのか」と、優作が白い息を吐きながら言う。
ビジネスコートに包まれているせいか、なんだか夏よりもさらに一回りデカくなったように見える図体で、腕を組みながらこちらを威圧してくる。
「なんでもいいとは確かに言ったけど……、まさかアイスを買ってくるとは……」
拓弥が苦笑する。優作と同じくビジネスコートに身を包んでいるが、元が細めだからか、そこに優作のような威圧感はない。むしろ、仕事帰りのお父さんって感じの、穏やかで落ち着いた雰囲気がある。
そなみに、その横で「え。ゆーさんって、あずきアイスが好きなんですか」とびっくりしているたかのっぽくんの方は、灰色のパーカーの上に黒のチェスターコートを羽織っただけの超ラフなスタイルだ。が、そのラフさが逆に彼の顔のイケメン具合を引き立てているようにも見え、思わずうーんと唸ってしまいそうな洒落感がある。
イケメンは何着ても似合うって、本当だったんだなぁ。
俺のもっさいダウンジャケットも、たかのっぽくんが着たら、カッコよく見えたりするのかな?
「普通冬場のコンビニつったら、温かいもん買ってくるんが常識じゃねぇの~。冬にアイスって邪道じゃん」
「ハッ。その邪道がいいんだろうが」
「百歩譲って、冬場のアイスは良しとしてもさ、自分が好きなのしか買ってこないのはどうかと思うよ、おれも」
「「ねー」」と拓弥と口を揃えて言えば、優作の眉間に怒りという名のしわが刻まれた。途端、たかのっぽくんが慌てたように、「あ、あの、俺、あずきアイスも冬のアイスも好きですよ」と優作のフォローに回る。「美味しいですよね、あずきアイス」と、優作を宥めるように言葉を続けていく。
(たかのっぽくんも俺達に染まり出してきたというか、なんか慣れてきた感じがするなぁ)
まぁ、もう2ヶ月も一緒にいるもんね。そりゃ嫌でも慣れるって話か。
最初の頃のたかのっぽくんの戸惑い具合が懐かしいぜ。年下のメンバーの成長具合に、思わず心の中でほろりと涙をこぼす。
と、たかのっぽくんが味方についてくれてた事がよっぽど嬉しかったのか、「お~。たかのっぽくんはいい子だな~」と優作がおっさん臭い喋り方で、たかのっぽくんへ笑顔を向けた。
「アイツら文句ばっか言っていらねぇみてぇだから、たかのっぽくん、アイツらの分まで食っていいぞ」
「え」
「あーっ、ちょっ、ちょーっ、いらないとは言ってない、言ってませーんっ」
「いるいるっ。おれ達もアイス、超いりまーすっ」
「「ごめんなさーいっ」」と、慌てて拓弥と一緒に優作に謝る。「わかりゃあいいんだよ」と優作が、ふんっ、と鼻を鳴らした。
コイツ、もしかしなくても、じゃんけんで一発負けした時に俺と拓弥に爆笑された事、根に持ってるな?
あずきアイスを1袋ずつ手に取り、再びガードポールへ腰かける。右から順に、俺、たかのっぽくん、優作、拓弥の順でガードポールに寄りかかりながら、寒い冬の夜空の下、あずきアイスを食べ始める。
「……なんか、もう本当に冬なんだねー」
ふいに、拓弥がそう口を開いた。
「そうねー」と拓弥の言葉に頷き返す。袋をから取り出したアイスの硬さに、ちょっとだけ泣きそうになりながら、ガリッとなんとか一口サイズの欠片をかじり取る。
優作も、ボリボリ、ガリガリとあずきアイスを口の中で砕きながら、「だなー」と頷く。たかのっぽくんも、ボリ、ボリ、とゆっくりアイスを噛み砕きながら、こくりと頷き返している。
「皆さ、年末年始って、どうする感じ」
「んー、あー、俺は実家帰るかなぁ。帰るって約束してるし。29か30ぐらいには向こう帰る予定」
「俺もだな。30には、家に帰るつもりでいる。そういうタクはどうなんだよ」
「うーん。まぁ、多分2人と、そう変わらないかなぁ」
「今年は、向こうの家に行く必要もないしなぁ」と拓弥がへらりと笑う。あー。そっか、拓弥って、昨年までは奥さんと子どもが居たから、実家帰省とかって感じじゃなかったのか。
うーん、なんとも返しづらい回答。わざとからかうつもりで言う分には遠慮なくツッコめるんだけどな。本人にサラッと言われてしまうと、なんとも言葉を返しづらいところがある。
優作もさすがにまずったと思ったのか、やべ、という顔で拓弥から目をそらしている。
そんな俺達の内心を知ってか知らずか、「たかのっぽくんは?」と、拓弥の方はたかのっぽくんへ顔を向けている。「ふぁい?」と、あずきアイスを口の中に含んだばかりらしいたかのっぽくんが、イケメンにあるまじき間抜けな返答をした。
慌てたようにガリガリっ、と口の中のあずきアイスを消費するたかのっぽくん。
だが、ごくりとその欠片が飲み込まれても、直ぐに返答が来ることはなかった。
困ったように灰色の瞳が泳ぐ。そうして数秒ほどたっぷりと間を開けた後、「俺は……」と、その口を開けた。
「……帰ります。実家に」
「「「!」」」
ぴたりと、あずきアイスを食べていた大人3人組の動きが止まった。
そう言いながら優作が俺達のもとに戻ってきたのは、優作がコンビニに入ってから10分ほどが経ったあたりの事だった。
11月、第2木曜日。夜、駅前コンビニ。
11月に入ってから、4回目となるバンド練習日。いつも通りRe:creationでバンド練習を終えた俺達は、「なんか腹減らない?」と、そんなぼんやりとした俺の呟きをきっかけに、駅前のコンビニにやってくる事となった。
「お腹ですか」「えー。透くん、この時間に何か食べるつもりー?」「お前、今何時だと思ってんだよ」と、俺の呟きに三者三様の反応を見せるバンド仲間達。その背中を「まま、ほらほら」と押して、駅前のコンビニまでやってきたのが、今から10数分ほど前のこと。
その後、たどり着いたコンビニの前で、野郎4人で入ってもごちゃごちゃするだけだ、という話になったので、「じゃんけんで負けた奴の奢りねー。はい、出さなきゃ負けよ、じゃーんけん、」とほぼ強制全員参加のじゃんけん大会を開催。結果、見事一発負けをした優作が奢り係として選ばれる事となった。
「くそがっ」と悪態をつきながらコンビニに入っていく優作を見送り、残る3人でコンビニ前のガードパイプに腰を落ち着ける。
そうして、もはや夏のなの字もない11月の冷たい空気の中、適当にたべりながら優作の帰りを待つ事約10分。冒頭の台詞を吐きながら、優作がコンビニから出てきたのだった。
ガサッ、とコンビニの真っ白で味気のないビニール袋が、俺、拓弥、たかのっぽくんの前に乱暴に差し出される。「わーいっ、やったー」と立ち上がって、俺は優作の袋を受け取った。
「なっにかな~」と袋の中を覗き込めば、拓弥とたかのっぽくんも俺と一緒に袋の中を覗き込む。
「げっ。なにこれ、全部あずきアイスじゃん」
「あぁ? なんでもいいっつったのは、お前らだろうがよ」
「文句あんのか」と、優作が白い息を吐きながら言う。
ビジネスコートに包まれているせいか、なんだか夏よりもさらに一回りデカくなったように見える図体で、腕を組みながらこちらを威圧してくる。
「なんでもいいとは確かに言ったけど……、まさかアイスを買ってくるとは……」
拓弥が苦笑する。優作と同じくビジネスコートに身を包んでいるが、元が細めだからか、そこに優作のような威圧感はない。むしろ、仕事帰りのお父さんって感じの、穏やかで落ち着いた雰囲気がある。
そなみに、その横で「え。ゆーさんって、あずきアイスが好きなんですか」とびっくりしているたかのっぽくんの方は、灰色のパーカーの上に黒のチェスターコートを羽織っただけの超ラフなスタイルだ。が、そのラフさが逆に彼の顔のイケメン具合を引き立てているようにも見え、思わずうーんと唸ってしまいそうな洒落感がある。
イケメンは何着ても似合うって、本当だったんだなぁ。
俺のもっさいダウンジャケットも、たかのっぽくんが着たら、カッコよく見えたりするのかな?
「普通冬場のコンビニつったら、温かいもん買ってくるんが常識じゃねぇの~。冬にアイスって邪道じゃん」
「ハッ。その邪道がいいんだろうが」
「百歩譲って、冬場のアイスは良しとしてもさ、自分が好きなのしか買ってこないのはどうかと思うよ、おれも」
「「ねー」」と拓弥と口を揃えて言えば、優作の眉間に怒りという名のしわが刻まれた。途端、たかのっぽくんが慌てたように、「あ、あの、俺、あずきアイスも冬のアイスも好きですよ」と優作のフォローに回る。「美味しいですよね、あずきアイス」と、優作を宥めるように言葉を続けていく。
(たかのっぽくんも俺達に染まり出してきたというか、なんか慣れてきた感じがするなぁ)
まぁ、もう2ヶ月も一緒にいるもんね。そりゃ嫌でも慣れるって話か。
最初の頃のたかのっぽくんの戸惑い具合が懐かしいぜ。年下のメンバーの成長具合に、思わず心の中でほろりと涙をこぼす。
と、たかのっぽくんが味方についてくれてた事がよっぽど嬉しかったのか、「お~。たかのっぽくんはいい子だな~」と優作がおっさん臭い喋り方で、たかのっぽくんへ笑顔を向けた。
「アイツら文句ばっか言っていらねぇみてぇだから、たかのっぽくん、アイツらの分まで食っていいぞ」
「え」
「あーっ、ちょっ、ちょーっ、いらないとは言ってない、言ってませーんっ」
「いるいるっ。おれ達もアイス、超いりまーすっ」
「「ごめんなさーいっ」」と、慌てて拓弥と一緒に優作に謝る。「わかりゃあいいんだよ」と優作が、ふんっ、と鼻を鳴らした。
コイツ、もしかしなくても、じゃんけんで一発負けした時に俺と拓弥に爆笑された事、根に持ってるな?
あずきアイスを1袋ずつ手に取り、再びガードポールへ腰かける。右から順に、俺、たかのっぽくん、優作、拓弥の順でガードポールに寄りかかりながら、寒い冬の夜空の下、あずきアイスを食べ始める。
「……なんか、もう本当に冬なんだねー」
ふいに、拓弥がそう口を開いた。
「そうねー」と拓弥の言葉に頷き返す。袋をから取り出したアイスの硬さに、ちょっとだけ泣きそうになりながら、ガリッとなんとか一口サイズの欠片をかじり取る。
優作も、ボリボリ、ガリガリとあずきアイスを口の中で砕きながら、「だなー」と頷く。たかのっぽくんも、ボリ、ボリ、とゆっくりアイスを噛み砕きながら、こくりと頷き返している。
「皆さ、年末年始って、どうする感じ」
「んー、あー、俺は実家帰るかなぁ。帰るって約束してるし。29か30ぐらいには向こう帰る予定」
「俺もだな。30には、家に帰るつもりでいる。そういうタクはどうなんだよ」
「うーん。まぁ、多分2人と、そう変わらないかなぁ」
「今年は、向こうの家に行く必要もないしなぁ」と拓弥がへらりと笑う。あー。そっか、拓弥って、昨年までは奥さんと子どもが居たから、実家帰省とかって感じじゃなかったのか。
うーん、なんとも返しづらい回答。わざとからかうつもりで言う分には遠慮なくツッコめるんだけどな。本人にサラッと言われてしまうと、なんとも言葉を返しづらいところがある。
優作もさすがにまずったと思ったのか、やべ、という顔で拓弥から目をそらしている。
そんな俺達の内心を知ってか知らずか、「たかのっぽくんは?」と、拓弥の方はたかのっぽくんへ顔を向けている。「ふぁい?」と、あずきアイスを口の中に含んだばかりらしいたかのっぽくんが、イケメンにあるまじき間抜けな返答をした。
慌てたようにガリガリっ、と口の中のあずきアイスを消費するたかのっぽくん。
だが、ごくりとその欠片が飲み込まれても、直ぐに返答が来ることはなかった。
困ったように灰色の瞳が泳ぐ。そうして数秒ほどたっぷりと間を開けた後、「俺は……」と、その口を開けた。
「……帰ります。実家に」
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