10 / 11
Ⅱ. 学芸員、戸惑う
Ⅱ-Ⅴ
しおりを挟む
予想外の返答に、驚きから一瞬言葉を失う。
どういう意味ですか。そう問おうとした時、板部が「なぁ~に、クールぶってんだよ」と僕の肩に腕を回してきた。
「本当は、直るって知ってすんげぇ安心してるくせにぃ。ここに来るまでずぅっと心配してたもんなぁ。直らなかったらどうしよぅ、叔父さんに怒られたらどうしよぅ~って」
「そんなことは言ってない」
誤解を与えるような物言いをするな、と板部を睨みつければ、ケラケラと笑いが返ってくる。
コイツ、僕の反応で遊んでやがるな。人の一喜一憂を個人の娯楽にするんじゃない。
「叔父さん?」
収蔵品をコンテナボックスに戻しながら、二ノ前さんが首を傾げた。
先の微笑みの面影は、もうどこにもない。
「あの、すみません。耕閲さんの叔父さんが、一体この破損とどのような関係があるのかがわからないのですが……」
「あ、そっか。二ノ前くん、課が違うから耕閲のこと知らないのか」
僕に腕を払われた板部が、邪険に扱われたことを気にした風もなく、けろりとした声音で二ノ前さんに返した。
「コイツ、書籍館の館長の甥なんだよ。ほら、名字同じだろ?」
「え⁉」
吃驚仰天というように、二ノ前さんが勢いよく僕の方へ振り向いた。
板部の奴、人の個人情報勝手にペラペラと……。
とはいえ、別に話されて困る情報でもない。というか、さっき自己紹介した時に名字も伝えたはずなのだが、まさか全然気づいていなかったのか?
「かかか、館長って、あの、書籍館の館長の羊皮館長ですか? 同姓というわけではなく?」
「えぇ、まぁ、はい。そうです」
「てことは、耕閲さんはもしかして、み、みみみ、未来の館長、さん……?」
未来の館長ってなんじゃそりゃ。館長は別に世襲制じゃないのだが。
思わず眉をひそめながら「それはどうですかね」と適当に返す。
書籍館に永久就職するつもりは一切ないが、ここはこう返しておくのが穏便だろう。完全に否定したらしたで、また隣の男がいろいろとうるさくなりそうだしな。
ま、その隣の男は男で、別のところが笑いの琴線に触れたらしく、「未来の館長‼」と盛大に噴き出しているのだが。
本当にデリカシーがない男だ。義務教育から1回やり直してこい。
だが、そんな僕らのやり取りは、二ノ前さんには一切届いていないらしい。
「ど、どどどど、どうしましょうっ」と悲鳴にも似た声が二ノ前さんの口から飛び出していく。
「そ、そそそそ、それはとどのつつつつまりっ、ぼ、僕は、今の今まで次期館長にあたるお方に、なんとも偉そうに高説を垂れていたということではありませんか⁉」
「いや、別にそんなことはな、」
「ま、待ってください。それ以前に僕は耕閲さんに糊だらけの床を拭かせて……っ、あ、ああ、あああ、ぼ、僕はなんてことを……」
「それ以前に糊をこぼす失態も見られてますよー」
「板部っ‼」
これ以上ややこしくなるようなことを言うなっ‼ 再び睨みを利かせる僕に対し、板部が腹を抱えながらケラケラと笑う。
「そ、そうだ……糊をこぼす失態も、耕閲さんに見られているんだ……」
二ノ前さんが青い顔をさらに青くしながら続けた。
「失態、不祥事、くり返す過ち、奇声、迷惑、高説……ぼ、僕は一体どれだけの罪をこの数十分で重ねて……あああ、ごめんなさいごめんなさいっ、わざとじゃないんですっ、本当ですっ! 嘘じゃありませんっ‼ だからそのっ、どうか今回のことはカミ代さんや館長にはご内密にっ」
「どうか、なにとぞ、お許しをーーーっ‼」と二ノ前さんが勢いよくその場に土下座した。
途端、笑いの頂点に達した同期の「ヒーッ‼」という、過呼吸にも似た笑い声が辺りに響く。
……やはりあの日、電子館への応募を取りやめたのは、早まった選択だったのかもしれない。
混沌と化す場を前に、僕はひと月前にした自分の選択を後悔したのだった。
*
「それでは収蔵品の方はお預かりさせていただきます。書籍館の皆さんによろしくお伝えください」
未だ青みを残す顔で言う二ノ前さんに頭をさげ、僕と板部は修復課を後にした。
工房を出た直後、何かがぶつかった音と「あいたっ‼」という声が、扉越しに聞こえた気もしたが、きっと気のせいだろう。
僕らは何も聞いていない。聞いていないったら、聞いていない。
特別展示室に戻ると、展示会の片付けはもう終わっていた。
代わりに、数日後に行われる新たな展示会に向けた準備がすでに始まっており、ケースなどの配置を変えるために業者が忙しなく動いている姿が目につく。
マ宮さんの姿を探すと、端の方で次期展示会の担当である学芸員と話しているのを見つけた。
ちょうど話が終わったタイミングなのか、相手がその場から離れていく。
「板部&耕閲、ただいま戻りましたー」板部が声をかけると、僕らに気づいたマ宮さんが「あら、おかえりなさい」とこちらを振り返った。
「どうだった? 修復士の人達とは会えた?」
「見習いだという方にはお会いしました。もう1人の方はちょうどいらっしゃらなかったようで、お会いできませんでしたが」
「あら~、カミ代くんはいなかったのねぇ。残念」
僕の返事に、マ宮さんが本当に残念そうな顔で頬に手をついた。
「でも二ノ前くんには会えたのね。どう? 面白い子だったでしょう」
「いや、まぁ、はあ、そうですね」
はたしてあれを『面白い』の一言でまとめていいかは甚だ不明だが、他に適切な言葉も思いつかないので、曖昧に頷き返しておく。
そんな僕とは反対に、板部の方は「めっちゃ面白い人でした!」と笑顔でマ宮さんに頷き返している。
「めっちゃオドオドしてるかと思ったら、本の話になった途端、すっげぇイキイキし出して。あのキラッキラした顔で好きな話するところなんか、まるで小さい子どもみたいで、思わずうちの妹達のことを思い出しちゃいましたよ、俺」
「わかるわ~。私もあの子を見てると、息子達の小さな頃を思い出しちゃうもの。素直で可愛くて面白い子なのよねぇ」
「からかいがいがある可愛さですよね、あれ」
「そうそう。思わずイタズラしたくなっちゃうの」
うんうんと、お互いに頷き合う板部とマ宮さん。
どうやら二ノ前さんは、厄介な人達を惹きつけやすいタイプらしい。少しばかし憐みの情が胸の内にわく。
「それで? あの収蔵品についてはどうだって?」
マ宮さんが僕の方へ顔を戻して訊ねた。
どういう意味ですか。そう問おうとした時、板部が「なぁ~に、クールぶってんだよ」と僕の肩に腕を回してきた。
「本当は、直るって知ってすんげぇ安心してるくせにぃ。ここに来るまでずぅっと心配してたもんなぁ。直らなかったらどうしよぅ、叔父さんに怒られたらどうしよぅ~って」
「そんなことは言ってない」
誤解を与えるような物言いをするな、と板部を睨みつければ、ケラケラと笑いが返ってくる。
コイツ、僕の反応で遊んでやがるな。人の一喜一憂を個人の娯楽にするんじゃない。
「叔父さん?」
収蔵品をコンテナボックスに戻しながら、二ノ前さんが首を傾げた。
先の微笑みの面影は、もうどこにもない。
「あの、すみません。耕閲さんの叔父さんが、一体この破損とどのような関係があるのかがわからないのですが……」
「あ、そっか。二ノ前くん、課が違うから耕閲のこと知らないのか」
僕に腕を払われた板部が、邪険に扱われたことを気にした風もなく、けろりとした声音で二ノ前さんに返した。
「コイツ、書籍館の館長の甥なんだよ。ほら、名字同じだろ?」
「え⁉」
吃驚仰天というように、二ノ前さんが勢いよく僕の方へ振り向いた。
板部の奴、人の個人情報勝手にペラペラと……。
とはいえ、別に話されて困る情報でもない。というか、さっき自己紹介した時に名字も伝えたはずなのだが、まさか全然気づいていなかったのか?
「かかか、館長って、あの、書籍館の館長の羊皮館長ですか? 同姓というわけではなく?」
「えぇ、まぁ、はい。そうです」
「てことは、耕閲さんはもしかして、み、みみみ、未来の館長、さん……?」
未来の館長ってなんじゃそりゃ。館長は別に世襲制じゃないのだが。
思わず眉をひそめながら「それはどうですかね」と適当に返す。
書籍館に永久就職するつもりは一切ないが、ここはこう返しておくのが穏便だろう。完全に否定したらしたで、また隣の男がいろいろとうるさくなりそうだしな。
ま、その隣の男は男で、別のところが笑いの琴線に触れたらしく、「未来の館長‼」と盛大に噴き出しているのだが。
本当にデリカシーがない男だ。義務教育から1回やり直してこい。
だが、そんな僕らのやり取りは、二ノ前さんには一切届いていないらしい。
「ど、どどどど、どうしましょうっ」と悲鳴にも似た声が二ノ前さんの口から飛び出していく。
「そ、そそそそ、それはとどのつつつつまりっ、ぼ、僕は、今の今まで次期館長にあたるお方に、なんとも偉そうに高説を垂れていたということではありませんか⁉」
「いや、別にそんなことはな、」
「ま、待ってください。それ以前に僕は耕閲さんに糊だらけの床を拭かせて……っ、あ、ああ、あああ、ぼ、僕はなんてことを……」
「それ以前に糊をこぼす失態も見られてますよー」
「板部っ‼」
これ以上ややこしくなるようなことを言うなっ‼ 再び睨みを利かせる僕に対し、板部が腹を抱えながらケラケラと笑う。
「そ、そうだ……糊をこぼす失態も、耕閲さんに見られているんだ……」
二ノ前さんが青い顔をさらに青くしながら続けた。
「失態、不祥事、くり返す過ち、奇声、迷惑、高説……ぼ、僕は一体どれだけの罪をこの数十分で重ねて……あああ、ごめんなさいごめんなさいっ、わざとじゃないんですっ、本当ですっ! 嘘じゃありませんっ‼ だからそのっ、どうか今回のことはカミ代さんや館長にはご内密にっ」
「どうか、なにとぞ、お許しをーーーっ‼」と二ノ前さんが勢いよくその場に土下座した。
途端、笑いの頂点に達した同期の「ヒーッ‼」という、過呼吸にも似た笑い声が辺りに響く。
……やはりあの日、電子館への応募を取りやめたのは、早まった選択だったのかもしれない。
混沌と化す場を前に、僕はひと月前にした自分の選択を後悔したのだった。
*
「それでは収蔵品の方はお預かりさせていただきます。書籍館の皆さんによろしくお伝えください」
未だ青みを残す顔で言う二ノ前さんに頭をさげ、僕と板部は修復課を後にした。
工房を出た直後、何かがぶつかった音と「あいたっ‼」という声が、扉越しに聞こえた気もしたが、きっと気のせいだろう。
僕らは何も聞いていない。聞いていないったら、聞いていない。
特別展示室に戻ると、展示会の片付けはもう終わっていた。
代わりに、数日後に行われる新たな展示会に向けた準備がすでに始まっており、ケースなどの配置を変えるために業者が忙しなく動いている姿が目につく。
マ宮さんの姿を探すと、端の方で次期展示会の担当である学芸員と話しているのを見つけた。
ちょうど話が終わったタイミングなのか、相手がその場から離れていく。
「板部&耕閲、ただいま戻りましたー」板部が声をかけると、僕らに気づいたマ宮さんが「あら、おかえりなさい」とこちらを振り返った。
「どうだった? 修復士の人達とは会えた?」
「見習いだという方にはお会いしました。もう1人の方はちょうどいらっしゃらなかったようで、お会いできませんでしたが」
「あら~、カミ代くんはいなかったのねぇ。残念」
僕の返事に、マ宮さんが本当に残念そうな顔で頬に手をついた。
「でも二ノ前くんには会えたのね。どう? 面白い子だったでしょう」
「いや、まぁ、はあ、そうですね」
はたしてあれを『面白い』の一言でまとめていいかは甚だ不明だが、他に適切な言葉も思いつかないので、曖昧に頷き返しておく。
そんな僕とは反対に、板部の方は「めっちゃ面白い人でした!」と笑顔でマ宮さんに頷き返している。
「めっちゃオドオドしてるかと思ったら、本の話になった途端、すっげぇイキイキし出して。あのキラッキラした顔で好きな話するところなんか、まるで小さい子どもみたいで、思わずうちの妹達のことを思い出しちゃいましたよ、俺」
「わかるわ~。私もあの子を見てると、息子達の小さな頃を思い出しちゃうもの。素直で可愛くて面白い子なのよねぇ」
「からかいがいがある可愛さですよね、あれ」
「そうそう。思わずイタズラしたくなっちゃうの」
うんうんと、お互いに頷き合う板部とマ宮さん。
どうやら二ノ前さんは、厄介な人達を惹きつけやすいタイプらしい。少しばかし憐みの情が胸の内にわく。
「それで? あの収蔵品についてはどうだって?」
マ宮さんが僕の方へ顔を戻して訊ねた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
無用庵隠居清左衛門
蔵屋
歴史・時代
前老中田沼意次から引き継いで老中となった松平定信は、厳しい倹約令として|寛政の改革《かんせいのかいかく》を実施した。
第8代将軍徳川吉宗によって実施された|享保の改革《きょうほうのかいかく》、|天保の改革《てんぽうのかいかく》と合わせて幕政改革の三大改革という。
松平定信は厳しい倹約令を実施したのだった。江戸幕府は町人たちを中心とした貨幣経済の発達に伴い|逼迫《ひっぱく》した幕府の財政で苦しんでいた。
幕府の財政再建を目的とした改革を実施する事は江戸幕府にとって緊急の課題であった。
この時期、各地方の諸藩に於いても藩政改革が行われていたのであった。
そんな中、徳川家直参旗本であった緒方清左衛門は、己の出世の事しか考えない同僚に嫌気がさしていた。
清左衛門は無欲の徳川家直参旗本であった。
俸禄も入らず、出世欲もなく、ただひたすら、女房の千歳と娘の弥生と、三人仲睦まじく暮らす平穏な日々であればよかったのである。
清左衛門は『あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって千歳と弥生の幸せだけを願い、最後は無欲で死にたい』と思っていたのだ。
ある日、清左衛門に理不尽な言いがかりが同僚立花右近からあったのだ。
清左衛門は右近の言いがかりを相手にせず、
無視したのであった。
そして、松平定信に対して、隠居願いを提出したのであった。
「おぬし、本当にそれで良いのだな」
「拙者、一向に構いません」
「分かった。好きにするがよい」
こうして、清左衛門は隠居生活に入ったのである。
【完結】ふたつ星、輝いて 〜あやし兄弟と町娘の江戸捕物抄〜
上杉
歴史・時代
■歴史小説大賞奨励賞受賞しました!■
おりんは江戸のとある武家屋敷で下女として働く14歳の少女。ある日、突然屋敷で母の急死を告げられ、自分が花街へ売られることを知った彼女はその場から逃げだした。
母は殺されたのかもしれない――そんな絶望のどん底にいたおりんに声をかけたのは、奉行所で同心として働く有島惣次郎だった。
今も刺客の手が迫る彼女を守るため、彼の屋敷で住み込みで働くことが決まる。そこで彼の兄――有島清之進とともに生活を始めるのだが、病弱という噂とはかけ離れた腕っぷしのよさに、おりんは驚きを隠せない。
そうしてともに生活しながら少しづつ心を開いていった――その矢先のことだった。
母の命を奪った犯人が発覚すると同時に、何故か兄清之進に凶刃が迫り――。
とある秘密を抱えた兄弟と町娘おりんの紡ぐ江戸捕物抄です!お楽しみください!
※フィクションです。
※周辺の歴史事件などは、史実を踏んでいます。
皆さまご評価頂きありがとうございました。大変嬉しいです!
今後も精進してまいります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる