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第1章「炎狼、シスターレイラ」
第7話「竜娘」
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「ウオォォォォーーーーーーン」
無限に続くかと思う程、遠吠えが響きわたっている。軽く数分は吠えっ放しだ。
一吠えし、間を置かず。その繰り返しだ。
通常の生物ではありえない。息が続かない。モンスターでもこんなのは聞いたことが無かった。声がしている方向は教会がある方だ。前を走るサンディ、ルーシーの背中もそっちへ向かっている。
どうせ静止の声をかけたところで止まる二人ではないのは分かっていた。だから、ついていくしかないのだが――
「……もう少し協力し合うことは出来ないのかなぁ」
思わずぼやきたくもなる。この異常事態の最中でさえ、一緒にいたくないと言わんばかりに離れて走っているのだ。どれだけお互いが嫌いなのかよく分かるというものだ。
手に汗がにじむ。これから向かう場所は彼女たちの死地になりうる可能性のある状況。いがみあったままでは困る。
なんの解決策も思いつかないまま教会目前というところで、幾度も吠えていた遠吠えは嘘の様に消えた。
ここを曲がれば教会だ。大通りの先、左に二人の姿が消えて一瞬見えなくなる。
ロルフも後に続いた。目の前には教会の大広場。その中で二人は立ち止まっていた。
「サンディっ、ルーシーっ」
荒い息をしながら追いつくと、二人はどこか緊張感を漂わせていた。無理もない。
目の前には夜の帳に荘厳な成りを潜めている教会。その大広場――手前にロルフたちはいた。中央を挟んで、奥には――炎狼。
燃え盛る炎は怒りを燃料としているように、赤黒い。
「ロルフ、遅いんだけど」
「……倒しちゃうよ、あれ」
口でそう言う割には二人とも動かない。
二人の視線の先――離れているはずなのに熱気がここまで伝わってくる。噂されている通り、それは狼の形をしていた。いや、狼が炎を纏っていると言うべきか。
しかし、あまりにも――
「……大きい」
「大きいね」
「でっかい、でっかいだよ――中身はなんだろうね?」
ルーシーの声音は普段と異なり思わずぞっとする。
炎狼は三人が話す間にも、その場でずっとこちらを睥睨している。ピクリとも動かない。意図が読めない。今も、わざわざ遠吠えして場所を知らせるような真似をしたのも。
「どういうことなの。なんで今?」
サンディは目の前の現実に疑問を感じているようだった。噂の炎狼がこれほどとは思っていなかったのだろうか。精々そこらへんの獣程度だと。
「……どうする、二人とも。殺すか? というか殺せるのか?」
「うーん。すごいねぇ、これー」
ルーシーの言動は先程からどこか能天気だった。緊張していると感じたのは、単にピリピリと闘志を滾らせていただけなのかもしれない。間違っても自分が負けるとは思っていないらしい。
「捕縛する」
サンディはそう宣言する。まるで、私の邪魔をするなと言わんばかりだった。
やっぱりというか、なんというか……。協力は無理そうだ。しかし、なぜ炎狼は攻撃してこないんだ?
ずっとこちらを見つめたままの炎狼を不審に思いながら、サンディやルーシーの様子を伺う。所詮、自分が出来るのは魔法を使用した身体強化術。誰かの補佐的な動きが最も効果が出る。下手に動いて、二人の攻撃に巻き込まれたくはない。痛いものは痛いのだ。すぐに治るが。
「――ところで、サンディ。その頭上に乗っているモザイクはなんなんだ?」
「へ?」
二人はいつ仕掛けるのかと思っていると、サンディの頭上に真っ白いモザイク状のなにかが浮かび上がっていた。
サンディの魔法は使用時、必ず彼女の頭上に王冠が現れる。それが、彼女しか使えない魔法の証。象徴だ。なのに、頭上には、真っ白いモザイクのようなものがかかり、まるで見えなかった。
「冗談はよして。この王冠が見えないなんて」
「……私も見えないけどー?」
「は?」
ロルフに続いてルーシーまでもが見えないと言い出す。……どういうことだ。
サンディの王冠――それは見た者に影響を及ぼすもの。前に彼女自身が言っていた。逆に、相手が視認出来なければなんの役にも立たないと。これはいつ聞いたことだったか。……思い出せない。ただ、困った顔で言っていた気はする。
その時――なんの前触れもなく炎狼は突進してきた。
三人が言い合っているのを好機と見たのだろう。
「おい、来たぞっ」
「ちっ、『伏せろ』」
サンディが炎狼に向かって、二重になっているかのような声音で叫ぶ。視線は確かに炎狼を捉えており、通常ならあの化け物は言いなりになるはずだった。「伏せろ」と言葉通り、動きを止めて這いつくばる――そのはずだ。
しかし、炎狼はなんの障害も感じていないかのように、突進を止めることはない。
ロルフが薄々感じていた悪い予感が当たった。
「役立たずー、おうかーん」
ルーシーがぼそっと呟く。彼女は炎狼に突っ込んでいった。ロルフは怪我を覚悟で殴りかかろうと思っていたのをやめる。
人間とは思えないほど跳躍し、炎狼の眼前に飛び出た。
「うおらぁああっ」
ルーシーは大きさだけは張り上げ、いまいち威勢の感じられない声を出していた。
しかし、変化は顕著だった。右腕が一瞬にして、爆発音とともに白煙に包まれる。
すぐに晴れた白い煙からは巨大化した腕が出てきた。形は異形そのものだ。肩から手まで深紅の鱗に覆われ、爪は黒く鋭く、鈍く光る。何より腕一本で彼女自身と同等の大きさに思える。その腕がいま拳を握り――炎狼の鼻っ柱をぶん殴った。
突如出現した奇怪な腕に、炎狼は避ける暇もなく、鈍い音ともに吹っ飛んでいった。その先はさっきまでいた場所。
「おー……」
「竜の腕……」
なにも出来なかったサンディとともにその様子を眺める。
炎狼は広場を派手な音を立てながら床にぶつかり、転がっていく。図体が大きいだけに、その影響も甚大だった。あちらこちらで窪みが出来ている。
「あっけなかったな」
ロルフは一人ごちて、広場に音もなく降り立ったルーシーの元に近付いた。重そうに腕を引きずっている。
ちらっと後ろを振り返ると、サンディは何事か考え込んでいるようでこちらをじっと見つめていた。
結局、さっきのはなんだったんだろうな。王冠も出てきてないし。命令も炎狼に効いていないみたいだし。
確かにここ最近、サンディの魔法を見ていなかった――腕っぷしが強すぎて、大抵のことは使わずに済むからだが。
「うーん……? なにあれー」
「うん?」
ルーシーは首を傾げていた。視線の先、炎狼が倒れていたのだが――どんどん小さくなっていく。
先ほどまでの大きさが嘘のように小さくなり、やがて一人の女性になった。サイズはなくとも、炎を纏った耳と尻尾だけは残して。
無限に続くかと思う程、遠吠えが響きわたっている。軽く数分は吠えっ放しだ。
一吠えし、間を置かず。その繰り返しだ。
通常の生物ではありえない。息が続かない。モンスターでもこんなのは聞いたことが無かった。声がしている方向は教会がある方だ。前を走るサンディ、ルーシーの背中もそっちへ向かっている。
どうせ静止の声をかけたところで止まる二人ではないのは分かっていた。だから、ついていくしかないのだが――
「……もう少し協力し合うことは出来ないのかなぁ」
思わずぼやきたくもなる。この異常事態の最中でさえ、一緒にいたくないと言わんばかりに離れて走っているのだ。どれだけお互いが嫌いなのかよく分かるというものだ。
手に汗がにじむ。これから向かう場所は彼女たちの死地になりうる可能性のある状況。いがみあったままでは困る。
なんの解決策も思いつかないまま教会目前というところで、幾度も吠えていた遠吠えは嘘の様に消えた。
ここを曲がれば教会だ。大通りの先、左に二人の姿が消えて一瞬見えなくなる。
ロルフも後に続いた。目の前には教会の大広場。その中で二人は立ち止まっていた。
「サンディっ、ルーシーっ」
荒い息をしながら追いつくと、二人はどこか緊張感を漂わせていた。無理もない。
目の前には夜の帳に荘厳な成りを潜めている教会。その大広場――手前にロルフたちはいた。中央を挟んで、奥には――炎狼。
燃え盛る炎は怒りを燃料としているように、赤黒い。
「ロルフ、遅いんだけど」
「……倒しちゃうよ、あれ」
口でそう言う割には二人とも動かない。
二人の視線の先――離れているはずなのに熱気がここまで伝わってくる。噂されている通り、それは狼の形をしていた。いや、狼が炎を纏っていると言うべきか。
しかし、あまりにも――
「……大きい」
「大きいね」
「でっかい、でっかいだよ――中身はなんだろうね?」
ルーシーの声音は普段と異なり思わずぞっとする。
炎狼は三人が話す間にも、その場でずっとこちらを睥睨している。ピクリとも動かない。意図が読めない。今も、わざわざ遠吠えして場所を知らせるような真似をしたのも。
「どういうことなの。なんで今?」
サンディは目の前の現実に疑問を感じているようだった。噂の炎狼がこれほどとは思っていなかったのだろうか。精々そこらへんの獣程度だと。
「……どうする、二人とも。殺すか? というか殺せるのか?」
「うーん。すごいねぇ、これー」
ルーシーの言動は先程からどこか能天気だった。緊張していると感じたのは、単にピリピリと闘志を滾らせていただけなのかもしれない。間違っても自分が負けるとは思っていないらしい。
「捕縛する」
サンディはそう宣言する。まるで、私の邪魔をするなと言わんばかりだった。
やっぱりというか、なんというか……。協力は無理そうだ。しかし、なぜ炎狼は攻撃してこないんだ?
ずっとこちらを見つめたままの炎狼を不審に思いながら、サンディやルーシーの様子を伺う。所詮、自分が出来るのは魔法を使用した身体強化術。誰かの補佐的な動きが最も効果が出る。下手に動いて、二人の攻撃に巻き込まれたくはない。痛いものは痛いのだ。すぐに治るが。
「――ところで、サンディ。その頭上に乗っているモザイクはなんなんだ?」
「へ?」
二人はいつ仕掛けるのかと思っていると、サンディの頭上に真っ白いモザイク状のなにかが浮かび上がっていた。
サンディの魔法は使用時、必ず彼女の頭上に王冠が現れる。それが、彼女しか使えない魔法の証。象徴だ。なのに、頭上には、真っ白いモザイクのようなものがかかり、まるで見えなかった。
「冗談はよして。この王冠が見えないなんて」
「……私も見えないけどー?」
「は?」
ロルフに続いてルーシーまでもが見えないと言い出す。……どういうことだ。
サンディの王冠――それは見た者に影響を及ぼすもの。前に彼女自身が言っていた。逆に、相手が視認出来なければなんの役にも立たないと。これはいつ聞いたことだったか。……思い出せない。ただ、困った顔で言っていた気はする。
その時――なんの前触れもなく炎狼は突進してきた。
三人が言い合っているのを好機と見たのだろう。
「おい、来たぞっ」
「ちっ、『伏せろ』」
サンディが炎狼に向かって、二重になっているかのような声音で叫ぶ。視線は確かに炎狼を捉えており、通常ならあの化け物は言いなりになるはずだった。「伏せろ」と言葉通り、動きを止めて這いつくばる――そのはずだ。
しかし、炎狼はなんの障害も感じていないかのように、突進を止めることはない。
ロルフが薄々感じていた悪い予感が当たった。
「役立たずー、おうかーん」
ルーシーがぼそっと呟く。彼女は炎狼に突っ込んでいった。ロルフは怪我を覚悟で殴りかかろうと思っていたのをやめる。
人間とは思えないほど跳躍し、炎狼の眼前に飛び出た。
「うおらぁああっ」
ルーシーは大きさだけは張り上げ、いまいち威勢の感じられない声を出していた。
しかし、変化は顕著だった。右腕が一瞬にして、爆発音とともに白煙に包まれる。
すぐに晴れた白い煙からは巨大化した腕が出てきた。形は異形そのものだ。肩から手まで深紅の鱗に覆われ、爪は黒く鋭く、鈍く光る。何より腕一本で彼女自身と同等の大きさに思える。その腕がいま拳を握り――炎狼の鼻っ柱をぶん殴った。
突如出現した奇怪な腕に、炎狼は避ける暇もなく、鈍い音ともに吹っ飛んでいった。その先はさっきまでいた場所。
「おー……」
「竜の腕……」
なにも出来なかったサンディとともにその様子を眺める。
炎狼は広場を派手な音を立てながら床にぶつかり、転がっていく。図体が大きいだけに、その影響も甚大だった。あちらこちらで窪みが出来ている。
「あっけなかったな」
ロルフは一人ごちて、広場に音もなく降り立ったルーシーの元に近付いた。重そうに腕を引きずっている。
ちらっと後ろを振り返ると、サンディは何事か考え込んでいるようでこちらをじっと見つめていた。
結局、さっきのはなんだったんだろうな。王冠も出てきてないし。命令も炎狼に効いていないみたいだし。
確かにここ最近、サンディの魔法を見ていなかった――腕っぷしが強すぎて、大抵のことは使わずに済むからだが。
「うーん……? なにあれー」
「うん?」
ルーシーは首を傾げていた。視線の先、炎狼が倒れていたのだが――どんどん小さくなっていく。
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