検非違使異聞 読星師

魔茶来

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出会い

某は誰……

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 星の示す目的の地に着いた。
 実際には江戸には着いていない江戸へは、もう少しと言うところだ。
 
 上位よりの使命を果たさなければならないが、なぜか星の示す場所は異なっているようだ。

 読星師は元々占い師とは異なり運命を読む者だ。
 占いとは予測に近いのだが運命は既に決まったものだ。
 そうだ未来を既に決まったこととして読みその方向を知ることが出来る。

 但し、ある種の運命に関する干渉の力の存在があると外れる。
 それは本人が何らかの力を持っている場合、そうでなければ周りが特殊な力で他人に干渉することで起こるのだ。
 我々読星の者はこの干渉を、力づくで無きものすることで運命を全うさせることも行う。
 だがそれも星を読む範囲までの修正なので大きな変化を与えられるわけでは無い。

 今回江戸に来た理由、それは俺が上位のために読んだ星に関わる。

 星は五代将軍の死から始まる混沌の運命を示していた。
 そして陰謀と図り事により短い御世の将軍が続き、継ぐべき継承権を持つ者の不審な死を経て八代に至る。

 その星の示す八代は五代が崩御する時点では全く予測が出来なかっただろう。

 八代の領地内でも継承権を持つ者の不審な死が続き、その不審死は尾張藩にまで及ぶ。
 それは複数の陰謀者が別々に事を起こすが、最後はまるでひとつの目的に収束するかのように思える星だった。

 その話を聞いた上位は「七代を守れ、もしくは陰謀による八代将軍を防げ」と言うのである。
 残念だが七代を守るのは無理だ、これはもう決まった星だから我々の運命の修正範囲外なのだ。
 そうは言っても否定することは出来ない相手だからここまで来た。

 そして今の時点で七代を守ることはもう出来ない。

 実は八代就任後の話は上位にも話してはいない。
 八代の星を読むと罪を償う星が見えた。

 八代とその周りが起こしていることは、罪を重ね星をゆがめていると言えるだろう。
 その結果、七代がお隠れになった今でも、決まったはずの八代将軍の座は未だ不定なのだ。

 ほんの少しではあるが俺に上位の言う二つ目の指令が達成できるかもしれない。
 ただ、俺が関わる星を知ることが出来たのはここまでだった。

 そして既にありえないことに八代は40名のそのあたりに居た家臣を連れて江戸城に上がったらしい。

「さて、喉も乾いたので酒屋で酒でも飲むか」
 そう呟いて酒屋に行くある男に会うために……

 その男は、美味しそうに酒を飲んでいた。

「ここ空いているかい」
 そう話しかけると男は「ああ」とこちらも見ることもなく酒を枡で飲んでいた。

 少しすると、隣の席にいた数名の男がいきなり刀を抜いてその男に切り掛かったのだ。

「切り合いは外でやってくれ!!」
 店の主人がそう言うと切り掛かった者が4名と酒を飲んでいた男は外に出た。

 俺も直ぐに外に出た。
「一人に多数とは卑怯だな、俺も加勢するぜ!!」
 そう言うと俺も刀を抜いた。

 なるほどこの者は強い、舞うように刀を振るい峰打ちで倒す。
 俺も同じく峰打ちで倒していった。
 4名の刺客は簡単に倒され、その後やって来た役人に引き渡した。

 その男は危機は去ったことで気が緩んだのだろうか?
「お前さんも強いな」ということで夜通し酒を酌み交わしたのだった。

 朝になって宿屋の布団から男は起きてきた。
 しばらく悩んだような顔をしてをして、俺の顔を見ていた?
 そして、小さな声で話しかけてきた……
「その方、誰じゃ?」

 しばらくして、不思議なことでもあったかのように大きな声で叫んだ。
「そういう某は誰だ?」
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