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2.お前が待っているのは俺じゃないから
砂漠の民⑰ 怒りの巨人(アンガージャイアント)
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空中戦であればお相手せねばなるまい。
「さん、にぃ、いち、点火!!」
腰の結界を少し変形させロケット推進装置にする。
燃料は空気中の水を分解した水素と酸素だ。
これを混ぜ電撃で点火すると俺は一瞬でロケット花火のように大空に舞い上がった。
(そうそう前回の失敗の経験から首はチャンと防御しています)
空に舞い上がると奴らは火炎弾にて攻撃してきた。
尤も、そんな攻撃ロケット推進で進む俺には当たらない。
ところが少し飛行して欠点に気が付いた。
燃料の水は空気中から連続的に補給しているのだが、実際には補給する水分に対して消費量が大きいようだった。
そこでロケット方式じゃなくてジェット方式に変更することにした。
風を操る魔法で空気を圧縮し燃焼室に送りその空気に水素を混ぜて一気に爆発させた。
圧縮された空気も熱膨張により膨張することでより推力が増大する。
そして最終的に速度が増すと、その高速により空気自体が圧縮されるという循環が出来るのだ。
そうなると逆に圧縮魔法が邪魔になるので圧縮魔法はこの段階で停止する。
そうこれは圧縮魔法が不要なラムジェットである。
ラムジェットは強力である、その推力は軽くマッハ5を超える速度を叩きだした。
そして俺の周りの空気は摩擦により結構な表面温度になっているようだった。
火の玉のようになった俺が目にも止まらない速度でイーグレットの周りをグルグルする。
まだ攻撃はしていないのだが、奴らは俺に当たりもしない攻撃を繰り返し繰り出してくる。
彼らの言っていたロザリアのところに行くという初期目的を忘れて必死にその場で攻撃してくる。
それだけ奴らも驚いているようだった。
案の定バグラは焦っていた。
「なんて速さだ、まったく攻撃が当たらん、まだ相手も攻撃を始めていないから良いが、奴の攻撃が始まる前に応援を呼ぶんだ」
「何を言っているのですかバグラ様、この砂漠にすぐに応援に来れるものなど居りません」
「奴らだ、奴らを応援に寄こせと連絡しろ!!」
目にも止まらない速度で飛行する相手へイーグレットは当たらない攻撃をしていた。
そしてギアナは連絡用の水晶に連絡の魔法をかけ始めた。
しかし空を飛んでいるのだが、この「既視感」は何だろう。
そうかあれだ、子供の頃見たアニメで主人公がこんな装置を使っていた。
そう考えると、また歌が頭に浮かんできた。
「生まれた世界に別れを告げて
召喚された知らん国
惚れた女を守って生きる。
俺がやらなきゃ、誰がやる!!」
ジャン、ジャカジャカジャジャと勇ましい曲が頭の中で再現され戦いの中に俺は埋没していった。
今回は速度を生かした肉弾戦つまりキックやパンチによる攻撃だ。
「電光ミサイルキック、電光ミサイルパンチだ」
その攻撃は絶大だった、数回体当たりしただけなのにイーグレットは地面に落ちていった。
(マッハ5以上の速度で体当たりするんだから当たり前か、でもこちらも衝撃を受けているのだが結界なので全く問題はなかった)
「ギアナ、ボール・プロテクションだ。急げ」
「確かに劣勢ですが、このまま守りに入るのですか?」
「当たり前だ、あの攻撃ではゴーレムの形を維持できなくなる、このまま地上で守りに入るぞ。ボール・プロテクションであれば精霊石の防御力も使えるのだ、ともかく応援が来るまで防御だ、防御を優先しろ」
「了解いたしました」
イーグレットは頭を足の方の向け見た目は赤い丸いボールのようになった。
「ボールプロテクションが完成しました、それとバグラ様、ゴーズ様への連絡が付きました」
ゴーズは機嫌が悪いようだった。
「バグラどうしたんだ、こんな朝早くに話によっては許さんぞ」
「ゴーズよ、ロザリア王女を追い詰めたのだが後少しなのだが手こずっておる。まぁ、元はと言えばお前たちがロザリア王女を逃がしたことが原因だ。だから少し手伝えと言っている」
「ロザリア王女を追い詰めているのかでかしぞ、よし、すぐにでも応援を出そう、場所を指示しろ、俺も行く」
「お前は来なくて良い、足手まといだ、今は一刻も早くこちらに来れる者を向かわせろ」
「ずいぶんな言い分だな、お前の部隊以外で砂漠に適した者たちなど居らんだろ」
「元セグリア王国の砂漠戦闘を担当していた近衛部隊が居るだろう、奴らを出せ」
「元セグリアの近衛か、なる程な奴らも砂漠戦闘に特化した部隊を編成していたな」
「そうだ、ともかく一刻も早く奴らの出動を頼んだぞ」
ガーガー・・・
「えっ、どうした、おい・・・」
通信が途絶えた、実際にはジェイの攻撃が激しくなったために通信が出来なくなったようだった。
「爆裂攻撃が激しいので通信が途絶えたのか、だがここなら守りは完璧だからな」
「そうですな、元セグリアの近衛も砂漠を走る『砂漠馬』を操りますからな、1時間もあればここまで来るでしょう」
「小癪なロザリア王女も元セグリア王国の者が相手であればどうするか見ものだ」
「そうですな、果報は寝て待てですな」
◆ ◆
襲い掛かっていたイグルは振り落とされ、ゴーレムへ格納されたゲバラ達は、白いGスーツ、ライオネスに変化した。
ライオネスはライオンのような形ではなく三角形に近い顔、そして手が回転ドリルになっていた。
「我々の勝ちとはどういうことですかゲバラ様、今はあの小僧とグレスの攻撃でも一杯一杯なのですよ」
「イグルは狂戦士だ、奴は狂戦士状態になって義弟を殺したのだよ。尤もあの時は奴も義弟も共に怒りの巨人になっていたのだがな。そうだ死んだ義弟はガリアとか言ったかな奴がザガールでは最強の姿だとか言っていたよ。だがその姿になると理性が無いのだよ。つまり変身すれば仲間も分からなくなるのだ。クルーラ、お前も奴を煽れ、そうすれば奴らは怒りの巨人になった、イグルにより全滅するだろう」
「噂に聞く狂戦士とはイグルのことだったのですか」
クルーラは魔法で外部に声を響かせた。
「聞こえるか、イグル、お前の女房は本当に柔肌で忘れらん、今でも思い出すだけで本当にヒヒヒヒ」
「下衆が、お前たちにマグリを渡した俺は。。。」
「王族はすべて処刑が当然の扱いなのだがマグリだけは特別扱いだったのだ感謝してもらわんとな、そうお前たち親子のために特別に生かしておいたのだ」
「生かしておくだと・・・お前たちの慰みものにしておきながら」
言葉が続かないイグル、その表情は暗く、そしてまるで背伸びをするかのような仕草をし始めた。
父の様子がおかしいことに気が付くグレス。
「父さん落ち着いてください、どうしたのですか」
「マグリは、マグリは・・・・」
「いかん、イグル様は怒りの巨人になるつもりだ」
「父さん止めるんだ、そんなことをしても母さんは喜ばない」
必死に叫ぶグレスの言葉は聞こえていたはずだったがイグルは大きく変身を始めた。
「さん、にぃ、いち、点火!!」
腰の結界を少し変形させロケット推進装置にする。
燃料は空気中の水を分解した水素と酸素だ。
これを混ぜ電撃で点火すると俺は一瞬でロケット花火のように大空に舞い上がった。
(そうそう前回の失敗の経験から首はチャンと防御しています)
空に舞い上がると奴らは火炎弾にて攻撃してきた。
尤も、そんな攻撃ロケット推進で進む俺には当たらない。
ところが少し飛行して欠点に気が付いた。
燃料の水は空気中から連続的に補給しているのだが、実際には補給する水分に対して消費量が大きいようだった。
そこでロケット方式じゃなくてジェット方式に変更することにした。
風を操る魔法で空気を圧縮し燃焼室に送りその空気に水素を混ぜて一気に爆発させた。
圧縮された空気も熱膨張により膨張することでより推力が増大する。
そして最終的に速度が増すと、その高速により空気自体が圧縮されるという循環が出来るのだ。
そうなると逆に圧縮魔法が邪魔になるので圧縮魔法はこの段階で停止する。
そうこれは圧縮魔法が不要なラムジェットである。
ラムジェットは強力である、その推力は軽くマッハ5を超える速度を叩きだした。
そして俺の周りの空気は摩擦により結構な表面温度になっているようだった。
火の玉のようになった俺が目にも止まらない速度でイーグレットの周りをグルグルする。
まだ攻撃はしていないのだが、奴らは俺に当たりもしない攻撃を繰り返し繰り出してくる。
彼らの言っていたロザリアのところに行くという初期目的を忘れて必死にその場で攻撃してくる。
それだけ奴らも驚いているようだった。
案の定バグラは焦っていた。
「なんて速さだ、まったく攻撃が当たらん、まだ相手も攻撃を始めていないから良いが、奴の攻撃が始まる前に応援を呼ぶんだ」
「何を言っているのですかバグラ様、この砂漠にすぐに応援に来れるものなど居りません」
「奴らだ、奴らを応援に寄こせと連絡しろ!!」
目にも止まらない速度で飛行する相手へイーグレットは当たらない攻撃をしていた。
そしてギアナは連絡用の水晶に連絡の魔法をかけ始めた。
しかし空を飛んでいるのだが、この「既視感」は何だろう。
そうかあれだ、子供の頃見たアニメで主人公がこんな装置を使っていた。
そう考えると、また歌が頭に浮かんできた。
「生まれた世界に別れを告げて
召喚された知らん国
惚れた女を守って生きる。
俺がやらなきゃ、誰がやる!!」
ジャン、ジャカジャカジャジャと勇ましい曲が頭の中で再現され戦いの中に俺は埋没していった。
今回は速度を生かした肉弾戦つまりキックやパンチによる攻撃だ。
「電光ミサイルキック、電光ミサイルパンチだ」
その攻撃は絶大だった、数回体当たりしただけなのにイーグレットは地面に落ちていった。
(マッハ5以上の速度で体当たりするんだから当たり前か、でもこちらも衝撃を受けているのだが結界なので全く問題はなかった)
「ギアナ、ボール・プロテクションだ。急げ」
「確かに劣勢ですが、このまま守りに入るのですか?」
「当たり前だ、あの攻撃ではゴーレムの形を維持できなくなる、このまま地上で守りに入るぞ。ボール・プロテクションであれば精霊石の防御力も使えるのだ、ともかく応援が来るまで防御だ、防御を優先しろ」
「了解いたしました」
イーグレットは頭を足の方の向け見た目は赤い丸いボールのようになった。
「ボールプロテクションが完成しました、それとバグラ様、ゴーズ様への連絡が付きました」
ゴーズは機嫌が悪いようだった。
「バグラどうしたんだ、こんな朝早くに話によっては許さんぞ」
「ゴーズよ、ロザリア王女を追い詰めたのだが後少しなのだが手こずっておる。まぁ、元はと言えばお前たちがロザリア王女を逃がしたことが原因だ。だから少し手伝えと言っている」
「ロザリア王女を追い詰めているのかでかしぞ、よし、すぐにでも応援を出そう、場所を指示しろ、俺も行く」
「お前は来なくて良い、足手まといだ、今は一刻も早くこちらに来れる者を向かわせろ」
「ずいぶんな言い分だな、お前の部隊以外で砂漠に適した者たちなど居らんだろ」
「元セグリア王国の砂漠戦闘を担当していた近衛部隊が居るだろう、奴らを出せ」
「元セグリアの近衛か、なる程な奴らも砂漠戦闘に特化した部隊を編成していたな」
「そうだ、ともかく一刻も早く奴らの出動を頼んだぞ」
ガーガー・・・
「えっ、どうした、おい・・・」
通信が途絶えた、実際にはジェイの攻撃が激しくなったために通信が出来なくなったようだった。
「爆裂攻撃が激しいので通信が途絶えたのか、だがここなら守りは完璧だからな」
「そうですな、元セグリアの近衛も砂漠を走る『砂漠馬』を操りますからな、1時間もあればここまで来るでしょう」
「小癪なロザリア王女も元セグリア王国の者が相手であればどうするか見ものだ」
「そうですな、果報は寝て待てですな」
◆ ◆
襲い掛かっていたイグルは振り落とされ、ゴーレムへ格納されたゲバラ達は、白いGスーツ、ライオネスに変化した。
ライオネスはライオンのような形ではなく三角形に近い顔、そして手が回転ドリルになっていた。
「我々の勝ちとはどういうことですかゲバラ様、今はあの小僧とグレスの攻撃でも一杯一杯なのですよ」
「イグルは狂戦士だ、奴は狂戦士状態になって義弟を殺したのだよ。尤もあの時は奴も義弟も共に怒りの巨人になっていたのだがな。そうだ死んだ義弟はガリアとか言ったかな奴がザガールでは最強の姿だとか言っていたよ。だがその姿になると理性が無いのだよ。つまり変身すれば仲間も分からなくなるのだ。クルーラ、お前も奴を煽れ、そうすれば奴らは怒りの巨人になった、イグルにより全滅するだろう」
「噂に聞く狂戦士とはイグルのことだったのですか」
クルーラは魔法で外部に声を響かせた。
「聞こえるか、イグル、お前の女房は本当に柔肌で忘れらん、今でも思い出すだけで本当にヒヒヒヒ」
「下衆が、お前たちにマグリを渡した俺は。。。」
「王族はすべて処刑が当然の扱いなのだがマグリだけは特別扱いだったのだ感謝してもらわんとな、そうお前たち親子のために特別に生かしておいたのだ」
「生かしておくだと・・・お前たちの慰みものにしておきながら」
言葉が続かないイグル、その表情は暗く、そしてまるで背伸びをするかのような仕草をし始めた。
父の様子がおかしいことに気が付くグレス。
「父さん落ち着いてください、どうしたのですか」
「マグリは、マグリは・・・・」
「いかん、イグル様は怒りの巨人になるつもりだ」
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