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2.お前が待っているのは俺じゃないから
明日への旅立ち①
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『女王になる』
それが私の答えるべきことだと、分かっていた。
でもそれは答えられない、だってもう王女ではない。
「父上様、母上様、親族・・・多くの私の周りの人が処刑されてしまった」
私を女王へ導く王族経験者は、もう誰もいない。
ブロス、貴方の言うように王族の血があれば本当に国は再興出来るの?
今の私には信じられないし、その返事を明確に答えられない。
私はまだ子供、だからいきなり女王には成れない。
お願い誰か、私に女王になるということを教えて。
そうだ、王族の血であればロレッタさんが居るじゃない。
彼女の方が適役ではないのだろうか、なぜ私なんだろうか?
そんなことを思案していたら、フェスリーのところまで来てしまった。
私は小さな声でフェスリーに話しかける。
「フェスリー、そうか寝てるのね?
赤ちゃんが出来るので準備しているとラミア様が言っていた。
安静にしていなければならない時期だと言っていた。
私もあなたの柔らかくて暖かい懐で寝ても良いかしら?」
この時ロザリアはフェスリーが答えてくれるとは思っても無かった。
でもフェスリーは眠ってはいない、彼女は戦っていた。
精霊石の力と魔石の鬩ぎ合いを調停しながらお腹の子供を育てていた。
それは大きな痛みとエネルギーを使うことだった。
それでもフェスリーはロザリアに返事をした。
フェスリーは返事をしなければならないと感じたのだろう。
「良いわよ。ゆっくりお眠りなさい」
「ああ、起こしちゃってごめんなさい。
・・・えっ?
フェスリー今返事した・・・?」
「何を驚いているの、当たり前でしょ。
ロザリアが話しかけたのではないの?」
「えっ?驚いたフェスリーお話が出来るの?」
「そうだけど秘密だよ、馬鹿者のジェイには教えちゃ駄目だからね」
「馬鹿者のジェイってジェイ様のこと?」
「そうさ、でもあいつは私が会った二人目の馬鹿者だよ」
「ふふふ、何だか面白い話ね」
「ねえフェスリー、私は女王様にならないといけないようなの。
でも女王様なんてなれないわ。
だいたい、王様も居ない国の女王様ってなにをすれば良いの?」
「ロザリアは難しいことを考えているのね」
「難しいというか分からないのよ。
国や国民のための女王って何だろうって?
そんな大きなものになれるのだろうかってね」
「それなら一緒だね。
私は子供がもうすぐ生まれる。
そして私は母親と言う大きな役割を与えてもらえるんだよ。
もちろん不安はある。
でも不安がってばかりでは生まれて来てくれる子供のためにならない。
そうさ、私は私の出来ることを一生懸命に考えて子供のために頑張るだけさ」
「そうか!!
私も、私の出来ることを一生懸命に考えて国民のために頑張るだけなのね」
「そうだよ。
そうそう、生まれてくるのは女の子。
もう名前も考えてある。
『アイシャ』という名前さ。
父親の名前『アイク』から考えたんだ」
「今までもそうだったけど、今日の戦いの中でも、フェスリーには色々と助けられた。
美味しいおっぱいも貰ったしね。
私にとってはフェスリーはお母さんみたいに思えるわ。
そうか、私にとっては生まれてくる『アイシャ』は妹みたいなものね。
そうよ、妹よ。
『アイシャ』
兄弟の居なかった私に出来る私の大事な妹。
そうか、妹への思いも国民への思いも同じね。
やっぱり私の出来ることを一生懸命に考えてみんなのために頑張るだけ
そこは変わらないのね」
ロザリアは何かすっきりした気持ちになった。
「フォグリスのことは良く分からないからどう聞けばいいのか分からないけど『アイク』さんて優しかった?」
「ああ、優しかったよ、でも馬鹿だった。
ジェイのようにね。
結局私を一人残してさっさとあの世に行ったのさ」
「そうかそれは寂しいわね。
でもそれでジェイ様は二人目に会った馬鹿?なのね。
そして、今もそのジェイ様と一緒という訳ね」
「そうだ、因果は巡ると言うことだろう。
すまない、少し疲れたから眠るよ。
ロザリアもちゃんと休んでおかないといけないよ」
「はい!!お母さん。
私も早く会いたい。
『アイシャ』
私の妹」
この時にもフェスリーは痛みを堪えていた。
もちろん精霊石と魔石の相反する力の反応を体の中で受け止めていた。
その力はフェスリー自体を弱らせていた。
(ロザリア、私は長く生きられない。
でも『アイシャ』を妹と呼んでくれる貴方になら任せられると信じている。
ロザリア『アイシャ』を我が子をよろしくね)
◆ ◆
ラミアは積極的だった。
それは今の布団の乱れ方で分かる。
だが、結局ラミアに負けてしまった。
俺は先に降伏し果てた。
つまり、最後の一線は超えられなかった。
でもラミアはそれでも満足したのか眠っていた。
今日のラミアは積極的だったが、不思議なことがある。
もし俺が一線を超えた場合俺の命を奪うつもりだったんだろうか?
色々なことをそのまま放り投げた状態で俺も退場と言うのは余りにも無責任な気がする?
それはラミアも同じだろう。
だとすると、もしかするとラミアは猶予はくれるつもりだったのかもしれない。
「フェスリーの子供」か?
どんな子供が生まれてくるのだろうか、なんか楽しみだ。
そのことでラミアに何か変化が起こるのだろうか?
ただ、問題なのはこれからだ・・・・
ザガール国の目的としている場所『ダカダ』。
さっきラミアが話してくれた。
そこに至るには相当な距離があるようだった。
単純に計算して距離にすると千キロはあるようだ。
ここに居る二千人で移動するとした場合歩きになる。
そうだどんなに急いでも数か月かかるんじゃないのか?
そんなことは出来ない。
そこで皆が乗れるほどのトカゲを大量に捕まえるか?
無理だな、そんなことをしていたら奴らに追いつかれてしまう。
と言うことで何らかの移動手段を必要としている。
よって幾つかのアイデアを考えていた。
良い道具はあるさ・・・
さっきの戦いで使われた精霊石と同じような魔道具をラミアも持っているようだった。
精霊石の丸いディスク・カードだ。
これを使えば何とかできそうな気がする。
そんなこんなで、眠気はすっかり失せていた。
そして少し喉が渇いたので準備してあったお茶を飲みに部屋を出ることにした。
部屋を出て気が付いたが、考えて見れば俺たちは昼間から寝ていた。
夜を徹して戦っていたからな。
しかし、まだ明るい内からラミアと結界一つ挟んで大勢の隣で「何を、何していた」ようだった。
何ともエッチなことだ。
不意に声を掛けられた。
「おお、ジェイ様、お目覚めになりましたか?」
声を掛けて来たのはブロスという男だった。
「実は少しお話が有ります。
落ち着いてお話しできる場所があれば良いのですが生憎部屋がございません。
そのあたりで座ってお話でもいたしませんか?」
「部屋が必要なら作るけど」
「えっ?」
「もともと、ここも俺が作ったんだ。
いくらでも改造は出来るよ」
「えっ?そうなんですか?
でもどうやって?
こんな快適な環境をこの砂漠で作れるんですか?」
「とりあえず何人ぐらい座れればいい?」
中くらいの会議室と言う要望だった。
相談と言うより今後のコトノ会議をしたかったようだった。
少し大きめの部屋を結界で作った。
そこにはSTD13のメンバーが揃った。
そして寝ていたはずのラミアも声を聞いていたらしく一緒に会議に出ることになった。
「ご紹介が遅れました。
我々十三人はセグリア王国で元老院所属者と賢者会議を任せられていたものです。
私、ブロスを含む五名は元老院を仰せつかるもの。
恐れ多くも王への助言と王の諮問機関の役割を与えられていたものです。
もっとも、我々五人も通常時には国務や外務等の国政に関する大臣として従事させて頂いておりました。
そしてこちらの八賢者は国と地方の統治機関としての役割を担っておりました」
「ほう、SDT13と言うから凄腕の近衛兵部隊と思っていたが違っていたか」
「昔は近衛兵や官僚も拝命はしておりましたが
歳と共に仕事は変わるものでございます。
先ほどロザリア王女の『女王に御成りになる意思』をお尋ねしました。
しかし答えは『もう少し時間が必要です』と言われております。
それとは別に先ほどこのタイミングにイグル様より協力依頼がありました。
これはそうですね、時代が動き始めていると申しましょうか・・・
私には『今この時間』が最もセグリア王国復興への重要な転機ではないか?
と考えに至りました」
「やっぱりな、時期が来ればロザリアも女王になるんだなぁ」
「その通りです、我々も女王陛下になられるロザリア王女のために
正式な戴冠式を行わねばなりません。
そのためにも国を復興し体裁を何とか繕う必要があるのです。
そこでお願いがあるのです。
今後のことについて、お二人にご相談をさせて頂きたく思っております」
最初は「ロザリアをドラゴンズゲートまで送る」と言う単純な話であった。
なのに、だんだん話が大きくなって来たな・・・
それが私の答えるべきことだと、分かっていた。
でもそれは答えられない、だってもう王女ではない。
「父上様、母上様、親族・・・多くの私の周りの人が処刑されてしまった」
私を女王へ導く王族経験者は、もう誰もいない。
ブロス、貴方の言うように王族の血があれば本当に国は再興出来るの?
今の私には信じられないし、その返事を明確に答えられない。
私はまだ子供、だからいきなり女王には成れない。
お願い誰か、私に女王になるということを教えて。
そうだ、王族の血であればロレッタさんが居るじゃない。
彼女の方が適役ではないのだろうか、なぜ私なんだろうか?
そんなことを思案していたら、フェスリーのところまで来てしまった。
私は小さな声でフェスリーに話しかける。
「フェスリー、そうか寝てるのね?
赤ちゃんが出来るので準備しているとラミア様が言っていた。
安静にしていなければならない時期だと言っていた。
私もあなたの柔らかくて暖かい懐で寝ても良いかしら?」
この時ロザリアはフェスリーが答えてくれるとは思っても無かった。
でもフェスリーは眠ってはいない、彼女は戦っていた。
精霊石の力と魔石の鬩ぎ合いを調停しながらお腹の子供を育てていた。
それは大きな痛みとエネルギーを使うことだった。
それでもフェスリーはロザリアに返事をした。
フェスリーは返事をしなければならないと感じたのだろう。
「良いわよ。ゆっくりお眠りなさい」
「ああ、起こしちゃってごめんなさい。
・・・えっ?
フェスリー今返事した・・・?」
「何を驚いているの、当たり前でしょ。
ロザリアが話しかけたのではないの?」
「えっ?驚いたフェスリーお話が出来るの?」
「そうだけど秘密だよ、馬鹿者のジェイには教えちゃ駄目だからね」
「馬鹿者のジェイってジェイ様のこと?」
「そうさ、でもあいつは私が会った二人目の馬鹿者だよ」
「ふふふ、何だか面白い話ね」
「ねえフェスリー、私は女王様にならないといけないようなの。
でも女王様なんてなれないわ。
だいたい、王様も居ない国の女王様ってなにをすれば良いの?」
「ロザリアは難しいことを考えているのね」
「難しいというか分からないのよ。
国や国民のための女王って何だろうって?
そんな大きなものになれるのだろうかってね」
「それなら一緒だね。
私は子供がもうすぐ生まれる。
そして私は母親と言う大きな役割を与えてもらえるんだよ。
もちろん不安はある。
でも不安がってばかりでは生まれて来てくれる子供のためにならない。
そうさ、私は私の出来ることを一生懸命に考えて子供のために頑張るだけさ」
「そうか!!
私も、私の出来ることを一生懸命に考えて国民のために頑張るだけなのね」
「そうだよ。
そうそう、生まれてくるのは女の子。
もう名前も考えてある。
『アイシャ』という名前さ。
父親の名前『アイク』から考えたんだ」
「今までもそうだったけど、今日の戦いの中でも、フェスリーには色々と助けられた。
美味しいおっぱいも貰ったしね。
私にとってはフェスリーはお母さんみたいに思えるわ。
そうか、私にとっては生まれてくる『アイシャ』は妹みたいなものね。
そうよ、妹よ。
『アイシャ』
兄弟の居なかった私に出来る私の大事な妹。
そうか、妹への思いも国民への思いも同じね。
やっぱり私の出来ることを一生懸命に考えてみんなのために頑張るだけ
そこは変わらないのね」
ロザリアは何かすっきりした気持ちになった。
「フォグリスのことは良く分からないからどう聞けばいいのか分からないけど『アイク』さんて優しかった?」
「ああ、優しかったよ、でも馬鹿だった。
ジェイのようにね。
結局私を一人残してさっさとあの世に行ったのさ」
「そうかそれは寂しいわね。
でもそれでジェイ様は二人目に会った馬鹿?なのね。
そして、今もそのジェイ様と一緒という訳ね」
「そうだ、因果は巡ると言うことだろう。
すまない、少し疲れたから眠るよ。
ロザリアもちゃんと休んでおかないといけないよ」
「はい!!お母さん。
私も早く会いたい。
『アイシャ』
私の妹」
この時にもフェスリーは痛みを堪えていた。
もちろん精霊石と魔石の相反する力の反応を体の中で受け止めていた。
その力はフェスリー自体を弱らせていた。
(ロザリア、私は長く生きられない。
でも『アイシャ』を妹と呼んでくれる貴方になら任せられると信じている。
ロザリア『アイシャ』を我が子をよろしくね)
◆ ◆
ラミアは積極的だった。
それは今の布団の乱れ方で分かる。
だが、結局ラミアに負けてしまった。
俺は先に降伏し果てた。
つまり、最後の一線は超えられなかった。
でもラミアはそれでも満足したのか眠っていた。
今日のラミアは積極的だったが、不思議なことがある。
もし俺が一線を超えた場合俺の命を奪うつもりだったんだろうか?
色々なことをそのまま放り投げた状態で俺も退場と言うのは余りにも無責任な気がする?
それはラミアも同じだろう。
だとすると、もしかするとラミアは猶予はくれるつもりだったのかもしれない。
「フェスリーの子供」か?
どんな子供が生まれてくるのだろうか、なんか楽しみだ。
そのことでラミアに何か変化が起こるのだろうか?
ただ、問題なのはこれからだ・・・・
ザガール国の目的としている場所『ダカダ』。
さっきラミアが話してくれた。
そこに至るには相当な距離があるようだった。
単純に計算して距離にすると千キロはあるようだ。
ここに居る二千人で移動するとした場合歩きになる。
そうだどんなに急いでも数か月かかるんじゃないのか?
そんなことは出来ない。
そこで皆が乗れるほどのトカゲを大量に捕まえるか?
無理だな、そんなことをしていたら奴らに追いつかれてしまう。
と言うことで何らかの移動手段を必要としている。
よって幾つかのアイデアを考えていた。
良い道具はあるさ・・・
さっきの戦いで使われた精霊石と同じような魔道具をラミアも持っているようだった。
精霊石の丸いディスク・カードだ。
これを使えば何とかできそうな気がする。
そんなこんなで、眠気はすっかり失せていた。
そして少し喉が渇いたので準備してあったお茶を飲みに部屋を出ることにした。
部屋を出て気が付いたが、考えて見れば俺たちは昼間から寝ていた。
夜を徹して戦っていたからな。
しかし、まだ明るい内からラミアと結界一つ挟んで大勢の隣で「何を、何していた」ようだった。
何ともエッチなことだ。
不意に声を掛けられた。
「おお、ジェイ様、お目覚めになりましたか?」
声を掛けて来たのはブロスという男だった。
「実は少しお話が有ります。
落ち着いてお話しできる場所があれば良いのですが生憎部屋がございません。
そのあたりで座ってお話でもいたしませんか?」
「部屋が必要なら作るけど」
「えっ?」
「もともと、ここも俺が作ったんだ。
いくらでも改造は出来るよ」
「えっ?そうなんですか?
でもどうやって?
こんな快適な環境をこの砂漠で作れるんですか?」
「とりあえず何人ぐらい座れればいい?」
中くらいの会議室と言う要望だった。
相談と言うより今後のコトノ会議をしたかったようだった。
少し大きめの部屋を結界で作った。
そこにはSTD13のメンバーが揃った。
そして寝ていたはずのラミアも声を聞いていたらしく一緒に会議に出ることになった。
「ご紹介が遅れました。
我々十三人はセグリア王国で元老院所属者と賢者会議を任せられていたものです。
私、ブロスを含む五名は元老院を仰せつかるもの。
恐れ多くも王への助言と王の諮問機関の役割を与えられていたものです。
もっとも、我々五人も通常時には国務や外務等の国政に関する大臣として従事させて頂いておりました。
そしてこちらの八賢者は国と地方の統治機関としての役割を担っておりました」
「ほう、SDT13と言うから凄腕の近衛兵部隊と思っていたが違っていたか」
「昔は近衛兵や官僚も拝命はしておりましたが
歳と共に仕事は変わるものでございます。
先ほどロザリア王女の『女王に御成りになる意思』をお尋ねしました。
しかし答えは『もう少し時間が必要です』と言われております。
それとは別に先ほどこのタイミングにイグル様より協力依頼がありました。
これはそうですね、時代が動き始めていると申しましょうか・・・
私には『今この時間』が最もセグリア王国復興への重要な転機ではないか?
と考えに至りました」
「やっぱりな、時期が来ればロザリアも女王になるんだなぁ」
「その通りです、我々も女王陛下になられるロザリア王女のために
正式な戴冠式を行わねばなりません。
そのためにも国を復興し体裁を何とか繕う必要があるのです。
そこでお願いがあるのです。
今後のことについて、お二人にご相談をさせて頂きたく思っております」
最初は「ロザリアをドラゴンズゲートまで送る」と言う単純な話であった。
なのに、だんだん話が大きくなって来たな・・・
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