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成人編
04.北原裕也
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その日は雲一つない青い空に春の日差しが強くキラキラした晴天だった。
前日まで出発準備とアパートの後始末を手伝っていた裕也の両親も見送りに来ていた。
「昨日はご苦労様、サエラちゃん
手伝わせてしまってごめんね」
少し心配そうに、裕也を見送りに来た裕也のお母さんが挨拶をする。
当の裕也は大きな荷物を空港の荷物預け入れカウンタで手続していた。
裕也のお父さんが小さく咳をすると……
直ぐに「二人でお茶でもして来たらどう?」と裕也のお母さんが言ってくれた。
多分二人に気を使ってくれたのだ。
お言葉に甘えて、二人で話をしながら空港の喫茶店までいく。
「お母さんも一緒に居たいだろうに、本当にご両親には感謝です
でも、いろいろな物が沢山入った大きな荷物ね……
驚きなのはあんな大きなリュックを売ってることもだけど……
世の中には便利なものが多くあるのね」
「驚いたやろ、俺も秋山先輩からいろんな情報を聞いて、必要なものを探して集めたんや
最近のアウトドア用品は、軽いし嵩張らないから優れモノやな」
昨日手伝った時にも様々なモノを見せてもらった。
アウトドアの知識は殆どない、キャンプと言えば結局お父さんが殆ど準備していた、料理はお母さんが準備していた。
私は、準備されたことのお手伝いしただけだった。
なんか俄然アウトドアに興味が湧いてきた。
「そうそう研究室の教授には話をしといたから、訪ねて行ってみ……
たぶん、明日からでも出来そうな用事を言いつけられてこき使われるから」
「なんか、怖いわね4回生の後期まで近づかないでおきたいわね」
「あそこの教授と助教はな、研究目的で海外にもよく行っとるんや
研究に必要な観察のための野営やとか、その場で料理何かもやっとるんや………
たぶんこの種の(アウトドア用品)をよく使っているから情報を収集するには最適やで」
「ふうん、そうなんだ」
と気の無い返事をしながら笑う……
いやいや、裕也君いろいろ興味はあるが、二人の人物像が怪しくて、なんか近づき難いぞ。
「ごめんな、本当は『研究室に入って直ぐに海外へ行くので休学とは何事だ!!』とか責められたんで……
『実は有望な新人を代わりに紹介させていただきます』とか言うてしもたんやけどな」
「酷~い」
なるほど、そういうことだったか。
もちろん休学中だが、教授たちの要望に応えるために現地での情報集めも要請されているらしい。
他愛のない話をしただろうか、もうお別れの時間が近づいていた。
考えないようにはしていたが、時計が目に入ると悲しくなった。
でも旅立ちなのだ、泣いてどうする、ここは笑って送り出すのだと一生懸命頑張っていた。
「ごめんやで、今聞いちゃダメやと思うし、今答えなくても良いんやけど、サエラはどうするつもりや?」
「私はまだ少し時間が必要だと思うけど、行きたい、いや行くと思うわ……違う『行くわ!!』
私は私の思いのために行くの、だから何時になるか分からないけどね」
「そうか、それやったら、今は『サエラ頑張り』と言うとくわ」
言いたいことは沢山あったけど全てを話すことは出来ない。
時間が来て彼を乗せた航空機がゆっくりと空に舞い上がって行く。
白い機体があの時の”パール”が空に舞い上がってそして北へ帰って行った時を思い出させた。
「私も頑張るわぁ~」そう叫んでいた。
裕也が行ってしまった、彼のご両親の居る前だったが、頑張っていた目頭と目尻は流石に洪水だった。
前日まで出発準備とアパートの後始末を手伝っていた裕也の両親も見送りに来ていた。
「昨日はご苦労様、サエラちゃん
手伝わせてしまってごめんね」
少し心配そうに、裕也を見送りに来た裕也のお母さんが挨拶をする。
当の裕也は大きな荷物を空港の荷物預け入れカウンタで手続していた。
裕也のお父さんが小さく咳をすると……
直ぐに「二人でお茶でもして来たらどう?」と裕也のお母さんが言ってくれた。
多分二人に気を使ってくれたのだ。
お言葉に甘えて、二人で話をしながら空港の喫茶店までいく。
「お母さんも一緒に居たいだろうに、本当にご両親には感謝です
でも、いろいろな物が沢山入った大きな荷物ね……
驚きなのはあんな大きなリュックを売ってることもだけど……
世の中には便利なものが多くあるのね」
「驚いたやろ、俺も秋山先輩からいろんな情報を聞いて、必要なものを探して集めたんや
最近のアウトドア用品は、軽いし嵩張らないから優れモノやな」
昨日手伝った時にも様々なモノを見せてもらった。
アウトドアの知識は殆どない、キャンプと言えば結局お父さんが殆ど準備していた、料理はお母さんが準備していた。
私は、準備されたことのお手伝いしただけだった。
なんか俄然アウトドアに興味が湧いてきた。
「そうそう研究室の教授には話をしといたから、訪ねて行ってみ……
たぶん、明日からでも出来そうな用事を言いつけられてこき使われるから」
「なんか、怖いわね4回生の後期まで近づかないでおきたいわね」
「あそこの教授と助教はな、研究目的で海外にもよく行っとるんや
研究に必要な観察のための野営やとか、その場で料理何かもやっとるんや………
たぶんこの種の(アウトドア用品)をよく使っているから情報を収集するには最適やで」
「ふうん、そうなんだ」
と気の無い返事をしながら笑う……
いやいや、裕也君いろいろ興味はあるが、二人の人物像が怪しくて、なんか近づき難いぞ。
「ごめんな、本当は『研究室に入って直ぐに海外へ行くので休学とは何事だ!!』とか責められたんで……
『実は有望な新人を代わりに紹介させていただきます』とか言うてしもたんやけどな」
「酷~い」
なるほど、そういうことだったか。
もちろん休学中だが、教授たちの要望に応えるために現地での情報集めも要請されているらしい。
他愛のない話をしただろうか、もうお別れの時間が近づいていた。
考えないようにはしていたが、時計が目に入ると悲しくなった。
でも旅立ちなのだ、泣いてどうする、ここは笑って送り出すのだと一生懸命頑張っていた。
「ごめんやで、今聞いちゃダメやと思うし、今答えなくても良いんやけど、サエラはどうするつもりや?」
「私はまだ少し時間が必要だと思うけど、行きたい、いや行くと思うわ……違う『行くわ!!』
私は私の思いのために行くの、だから何時になるか分からないけどね」
「そうか、それやったら、今は『サエラ頑張り』と言うとくわ」
言いたいことは沢山あったけど全てを話すことは出来ない。
時間が来て彼を乗せた航空機がゆっくりと空に舞い上がって行く。
白い機体があの時の”パール”が空に舞い上がってそして北へ帰って行った時を思い出させた。
「私も頑張るわぁ~」そう叫んでいた。
裕也が行ってしまった、彼のご両親の居る前だったが、頑張っていた目頭と目尻は流石に洪水だった。
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