給料なんて半分は慰謝料さ!!

魔茶来

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No1.給料なんて半分は慰謝料だ

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 給料は仕事の対価だ、そしてそのために働くと思っていた時期もある。

 だが給料なんて半分は慰謝料だ。

 そうだ半分は会社での人間関係で壊れた自分に充てられた慰謝料だ。
 会社とは、それほど精神を削られる場所だ。

 慰謝料、つまり自分の精神をまともに保つために使うためのもの……
 例えば自分にご褒美をあげたり、趣味に使ったり……
 精神のバランスを整えないと会社で精神は壊れるだろう。

 そんなことは無いと思うだろうか?

 メディアではストレス社会とか言っている世の中ですが、実際には会社の中で壊れているのは?
 多分あなたも社内でストレスを社内の同僚とぶつけあっているのでは無いですか?

 そしてそのように社内でストレスの発散場所がある人はまだ良いのですが……

 同期入社だった長田おさだは壊れて行った。

 俺たちは同期入社だった長田おさだは営業部、俺は総括管理部だった。

 だが営業部は上司が馬鹿だった。

 昭和の脳筋営業である鮫島取締役

 彼が営業職で戦っている時代は、既に何の教訓にもならない昭和のバブル真っ最中だった。

 そのため勲章にように言うセリフがあった。
 よく激を飛ばすときに言っているようだ。

 「俺たちの頃はともかくお客様を回れと言われた!!100件回れば1件は成約が取れる!!」

 そんなものとっくに終わった手法であり、今その手法で売れるモノは殆どないと考えられる。

 だが同期だった長田おさだはそんな激を飛ばされ、必死に駆け回っていた。

 俺の分析ではブランディングが成功している我が社の商品は価格破壊さえなければ安定していたはずだった。

 だが価格破壊したバカ者がいたのだ。
 利益は出なくなっているのに販売量だけをノルマにされて長田おさだは責任を感じて戦っていた。

 それが正しいと感じたのだろう販売量のノルマを達成しようと売れるはずの無い顧客回りを繰り返していた。

 世間的にも新聞で取り上げられるほど、今の時代の猛暑は殺人的だった。
 長田はある日に座り込んだと思うと、そのまま倒れて病院に運ばれた。

 その時鮫島は病院に見舞いに言って長田にねぎらいの言葉を掛けたらしい。
 だが、営業会議では他の営業に「あいつは鍛え方が足らん」とか言っていたそうだ。

 そしてそのまま長田おさだは体調不良のまま、会社を辞めた……

 俺も実は、今では会社で仕事を頑張る気力がない。

 入社当初は、俺にもたぶん「夢」もあった。
 時間が経つに連れ、会社と言うところでの「人関関係」に嫌気が差してきた。

 俺はマーケッティングと企業システムを研究してきた、それなりの自信もあった。
 だが入社後、活躍の場があってもシステムに既得権を奪取されると感じた上司が俺を疎んじた。
 
 システム化案は全てメリットが無い者とされた。
 その後の検討会や会議でも、この会社では全く味方になる者は居ない状況で、あるはずのメリットも無いと断言されてことごとく潰された。

「お疲れさま!!」
 そう言うと、今日も、そそくさと片付け、そして帰る準備をする。
 実際にはこの会社の人間と挨拶すらする気力もないのだが……

「今日も、お早いですね、お疲れ様」
 見ていた女子社員たちに皮肉混じりに言われるが、お構いなしだ。
 俺が出て行くと笑い声が聞こえてくる…

 まずは長田おさだの仇を打つチャンスが向こうから訪れる時が来るのだった。
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