私の愛した王子様

山美ハル

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兄と妹

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王国の南にある町ミルク

名前の由来は町の特産物のミルクからとられたとされている

バター男爵の領地である

「マドレーヌ降参しないか」

闘技場の観客席からバター男爵は告げる

「バター男爵は貴方に負けて欲しいみたいね」

キャサリンことショコラはマドレーヌに話掛ける

「何を言ってるのよ勝つのは私お父様に認められるためにも」

マドレーヌの瞳は輝いている

「一歩も動けないじゃない」

地面とマドレーヌは氷漬けにされ足を一歩も動かせる状況ではなかった

何とか氷を叩き壊そうとするも氷は厚く氷を叩く手は赤くはれてくる

「こんな氷なんて」

「諦めなさい」

「男爵の為にも負けを認めなさい」

「負けない 負けない」

ショコラはため息をつきながら指を鳴らした

氷はマドレーヌの腰付近に近づく

「もういい マドレーヌ降参しろ」

タルトが泣きそうな顔で説得する

「いやだ」

「私はお兄様の分まで頑張るときめたんだ!!!」

「お兄様⁉」

「そう 私の兄はサバラン・バターだ」

「あの天才魔法使いと言われた」

「知っていたのか?」

「優しい人だったはね」

ショコラは目を閉じ過去の記憶を呼び戻す

「妹がいるんだ」

「俺は妹に自慢の兄と言われてるんだ」

「ふーん」

「将来バター家を有名な貴族にする事が俺の夢なんだ」

「頑張って頂戴ね」

「相変わらずクールだな」

「貴方には負けるは」

「普段クールなのに妹には甘いのよね」

「大事だからな」

ショコラは目を開けマドレーヌに質問した

「お兄さんはまだ帰ってこないの?」

「お兄様はあの日から帰ってこないよ」

マドレーヌの足元の氷が少しづつ動いていることにショコラは気が付く

「終わりにしましょう」

ショコラは右手を上げ提唱する

冷たい氷よ矛となり突き刺せアイスピア

氷で出来た矛がマドレーヌに向かっていく

「サバラン兄様お願い力を貸して」

マドレーヌはぎゅっと目を閉じた

「お兄様は無敵の魔法使いなんでしょ」

「そうだよ俺は無敵の魔法使いだよ」

サバランは親指を立てる

「宮廷魔法師になれるよね?」

「難しいけど頑張るよ俺はマドレーヌの兄だからな」

「お兄様はすごいな」

宮廷魔法師になるには年に一度開催される宮廷魔法師試験に合格する必要がある

多くの魔法使いの憧れの職であると同時にその家の名声が約束される

「お兄様・・・私も魔法使いになるのよ」

「お前には無理だな」

マドレーヌはうつむき落ち込む

「冗談だよ冗談」

「お兄様酷い」

マドレーヌはそっぽむく

「ごめんごめん許してよ」

「宮廷魔法師になったら許してあげる」

マドレーヌは笑う

「絶対なるよマドレーヌも魔法使いになれよ」

「うん 私才能がないけど頑張ってみる」

マドレーヌには残念な事に魔法の才能があまりなかったが日々努力を続けた

魔導書を夜遅くまで読み漁り

朝早くから学校に行き魔法を学んだ

友達からの誘いを断り鍛錬に明け暮れた

そして年に一度宮廷魔法師試験の日事件が起きた

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