マネー・ドール - 人生の午後 -

葉月零

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元カレの妻(2)

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 その夜は、みんなでコテージにおとまり。
 やっぱり、聡子さんに謝りたくて、杉本家の部屋へ行ったけど、出てきたのは、将吾だった。

「あの……聡子さんは?」
「コンビニに行っとるよ。三十分は帰って来んかなあ」
三十分……どうしよう……
「聡子になんか、用事か?」
「うん……ちょっと……」
「まあ、待っとけよ」
 将吾は、私に中に入れって、ドアを開けた。
迷ったけど、中に入った。聡子さんを待つために、中に入った。

 将吾は、昔ほどじゃないけど、やっぱり引き締まったカラダで、優しい感じにはなってるけど、どこか、不良っぽい感じで、慶太とは違う、男くささっていうか……フェロモンっていうか……
私は、Tシャツの袖から覗く、逞しい二の腕をぼんやり見ていて、その腕に抱かれていた、遥か昔のことを、思い出していた。

「なんか、飲むか?」
「ううん、いい」
将吾は隣に座って、ビールを飲んでいる。
「ハタチんときと、あんまりかわってないなあ」
「そんなこと、ないよ……」
「子供、つくらんかったんか?」
「……できなかったの」
「そうか……ごめん、悪いこと、聞いたな」
 将吾はタバコに火をつけて、遠い目をした。
「何年か前になぁ」
「うん」
「佐倉がふらっと、あの社宅に来たことがあった」
「いつ?」
「聡子と結婚した年やったから……十五年前か、そんなくらいかな」
十五年前……もしかして、あの時……
「結婚したって、言いにきたんかと思っとったけど、違ったんかもしれんなぁ」
「どうして?」
「タクシーで、おうたやろ」
「……うん」
「あの時の真純……到底、幸せそうには見えんかった」
 将吾……やっぱり……私のこと、わかってくれるのは、あなたしかいない。
「今は? どう? 幸せそう?」
 自分でも、幸せかどうなのか、わからなくなり始めていた。何が幸せなのか、わからない。
ねえ、将吾、私、わからないの。幸せって、何? どうすれば、幸せなの?
「そうやな……佐倉に、愛されとる」
何、それ……
「佐倉も、随分かわったな」
「私は?」
「お前は、昔のまんまや」
「昔の?」
「愛されたいって、甘えたの、真純のまんま」
愛されたい……甘えたい……そう、甘えたいの……
「佐倉は、甘えさせてくれやろ?」
たぶん、甘えたら、甘えさせてくれる。でも、甘えられない。なぜかはわかんないけど、甘えられない。
 でも……将吾には……
 
 将吾の肩。二十年ぶりの、彼の肩は、昔と変わらず、逞しくて、熱くて、委ねたカラダが、溶けていきそう。
「甘えられないの」
 握ったその手は、昔と変わらず、ゴツゴツしていて、少しカサカサしてる。
「どうして」
 彼の手が、私の手を握る。
「わかんない」
 
 ダメ。将吾、私を、拒否して。絶対、キスなんて、しないで……
  
 そう思いながら、待っている。昔みたいに、彼の、熱いキスを、待っている。

「将吾……私……間違ってた……」
「そんなこと、ない」
将吾は、笑って、私の髪を撫でた。
「俺とおったら、こんなにキレイになれんかったよ」
 バカな私は、その言葉を、受けとめられない。
「私のこと、もう好きじゃないの?」
「今でも、大事に思ってるよ」
大事……大事って? 大事って……好きってことでしょ? ねえ、好きって言って。私……やっぱり……
「私……将吾のこと……今でも、好きなの」
 でも、将吾は俯いて、目をとじて、低く、呟いた。
「……真純……俺らはもう、終わったんや」
「終わってないもん!」
 ダダをこねる子供みたいに、将吾に抱きついて、その唇に、私の唇を重ねて、昔みたいに、タバコの味のする唇に舌を這わせて……
ねえ、私のキス……どう?

「将吾、昔みたいに……して」
 私のカラダ……ねえ、このカラダ、抱いてたのよ? あなたが熱く抱いたカラダ……きっと、かわってない。ねえ、抱いて……昔みたいに……

 もう、自分でも、何をやっているのか、わからない。こんなことして、いいわけない。
誰も幸せにならない。誰もが不幸になる。
わかってる。
わかってるのに、わからない。

 そう、わかってるの。あなたがそうすることも、わかってる。

「寂しいなら、佐倉にそう言えよ」
 将吾は、優しく私の腕を解いて、カラダを離した。
そんな……そんな答え、欲しくない!
「大事に思ってるって、言ったじゃん」
「大事だよ。幼馴染やし……妹やからな……」
妹……本当に? 私達は、血を分けた兄妹なの?
「そんなの、信じられない! 私のこと、忘れるための口実でしょ!」
「真純、俺が悪かったんや……俺がお前に、惚れてもうたから……」
「今でも好きでしょ?」
 将吾は俯いて、首を横に振る。
「許してくれ……もう……」
許す? 何を? 何を許すの? ねえ、わからない……将吾……教えて……
「俺には聡子がおって、お前には佐倉がおる」
将吾は、間違ってない。百二十パーセント、悪いのは私。わかってるのに、受けとめらない。わかってるのに……

「聡子さん、私に似てる」
「……そうやな……」
「私の代わりなんでしょ?」
 また、私は……こんなこと言って、何になるの?
「私のこと、今でも好きなんでしょ? 私の代わりに、あの人とセックスしてるんでしょ? 私のこと……」
「いい加減にしろ!」
 将吾が、そんな風に怒鳴るのは、本当に初めてで、私は、自分が情けなくて、聡子さんに申し訳なくて、どうしようもなくて……
「何よ! 昔は私のこと好きだって、私の言うことなんでも聞いてたじゃない! ねえ、抱いていいよ? エッチ、してもいいんだよ?」
 バカな私を、将吾は憐れむような目で見て、優しく抱きしめてくれた。
昔みたいに、優しく……熱く……

 将吾……私ね……
「寂しいの……」
「真純、お前には佐倉がおるやろ? 佐倉はお前のこと、愛してる。お前も、佐倉のこと愛してる」
 将吾の腕……力強くて、熱くて、力が抜けていく……
「不安なんやな?」
「わかったようなこと言わないで!」
 私は、泣いていた。田山くんの部屋の時みたいに、知らない間に、泣いていた。
 将吾は私の髪を撫でながら、じっと見つめて、呟いた。
「聡子のこと、愛してるんや。子供らもな……」
一番、認めたくない事実。そう、それが、現実。
「私より?」
「俺らはもう、ハタチの頃とは違うんや……わかるやろ?」
 将吾は、昔みたいに、小さな子供を諭すように、優しく言った。

 将吾の携帯が鳴る。通知の名前を見て、髪を撫でる手が、止まった。
「はい。……ああ、来たよ。聡子に用事があったみたいで……いや、すぐ帰ったけどな……」
 彼は携帯で話しながら、ちらりと私を見た。その目は、帰れ、って言ってる。
 きっと、慶太からね。
私を、探してるんだ。そうよね、黙って、出てきたもん。

 私は、会話を残して、部屋を出た。
目、あかい……どうしよう……バレちゃうかな……

 コテージの外は真っ暗で、少し肌寒い。
そのまま、部屋に戻ることができなくて、川に向かった。
「真純ー! 真純ー! どこだー!」
 慶太の声……
探してくれてるんだ。心配、してくれてるんだ……慶太……ごめんなさい……

「真純! こんなとこにいたのか! 心配するだろ!」
「ごめんなさい」
「どうしたんだよ。なんか、おかしいぞ?」
「なんでもないの」
 慶太は私の手をとって、私達は、黙って、河原を歩いた。
 コテージに近づくと、外灯が、ぼんやり、私達を照らし始める。

 どうしよう……明るいところに行ったら、顔が見えるよね……まだ、涙が滲んでくる……
「ほら」
慶太の手には、ハンカチがあった。

 慶太は、わかってる。

 私が、将吾に気持ちを、甦らせたことを。

 「ありがとう」
 コテージの前で、聡子さんと、子供達に会った。聡子さんは、私達に軽く会釈して、子供達の手を引いて、彼女のコテージへ、歩いて行く。
「ちょっと、待ってて」
 私は、聡子さんを追った。どうしても、謝りたかった。いろんなことを、謝りたかった。

「聡子さん」
 聡子さんは振り向いて、涼くんに、先に行ってて、と、コンビニの袋を渡して、涼くんは、碧ちゃんの手を引いて、歩き出した。
「あの……昼間は、ひどいこと言って、ごめんなさい。どうかしてたの、ほんとに……」
「いいのよ。気にしてないから」
聡子さんは、優しく、笑ってくれた。
「つきあいだした頃ね、私のこと、よく、真純って、間違えて呼んでた」
「……ごめんなさい……」
「真純さんが謝ることじゃないわ。そりゃ、そうよね。ずっと、一緒にいたんだもん」
「将吾……くんのこと、傷つけたの、私……」
聡子さんは、後ろに立つ慶太を見て、
「素敵なダンナさんよね。私でも、好きになっちゃうかも」て、笑った。
 どうして……どうして、そんなに優しいの? 私、ひどいこと、したのに……
「将吾ね、いいパパなの。子供達に、とっても優しくてね……」
聡子さんが、何を言いたいのか、わかってる。
 家庭。子供。
私達、夫婦にはない、死んでも守らなきゃいけない、大切なもの。
「今じゃ、幼馴染にしか思えないから」
聡子さんは、私のウソがわかってる。でも、微笑んで、うん、と頷いた。
「じゃあ、また明日ね」
「おやすみなさい」

 聡子さんの後姿をぼんやり見送ると、後ろから、慶太が言った。
「杉本には、家族がいるんだよ、もう。わかるだろ?」
わかってるよ、そんなこと。壊しちゃいけないってことくらい、わかってる。わかってる!
 私は、慶太を無視して、部屋へ入った。
「真純」
 慶太が私の手首を掴んだ。
痛い……そんなに強く、握らないで!
「わかってるって言ってんじゃん!」
「好きなんだよ」
慶太は、そう言って、私を抱きしめた。強く、強く、痛いくらい、強く。
「ずっと、杉本からお前を奪いたかった」
慶太……そんなに……痛いよ……

「俺のところにいてくれよ……」
 耳元の慶太の声は、弱々しくて、震えていて、うなじが濡れた。

 泣いてるの? 慶太、泣いてるの?
「私のこと、好き?」
「好きだって……言ってるだろ」
「私のこと、愛してる?」
「愛してる……愛してるんだよ、真純……だから、俺だけを、愛してくれよ……」

 愛されたい。甘えたい。

 きっと、子供のころ叶えられなかった欲望に、私は囚われてる。

「慶太……私ね……寂しいの……」

 寂しい。
ずっと、寂しかった。

 ずっと、ずっと、寂しかった。

 お腹が空いて、寂しくて、悲しくて、それを、ずっと、ずっと、そばで埋めてくれたのは、将吾。

 でも、気がつかなかった。そのことに。
私は、お金を選んだ。そして、慶太を選んだ。でも、そんな私を、慶太は愛してくれてる。いろんなことがあったけど、慶太は、許してくれてる……

 どうして? 慶太のこと、愛してるのに……何が不満なの? 何が寂しいの? こんなに、恵まれてるのに……
 慶太がいなくなったら、もっと寂しいくせに……

「俺じゃ、ダメか?」
ダメとか、そんなんじゃない。
私が、ワガママなの。それだけなの。

「愛してるの、慶太のこと」
「うん」
「でも、わかんなくなるの」
「何が?」
わかんない。何がわかんなくなるのか、わかんない。
私……私が、わかんないの……
「俺のこと、信じられない?」
「そうじゃないの……私が、いけないの……」
「杉本のこと、後悔してるの?」
「後悔は、してないけど……将吾、私のこと、とっても大切にしてくれたのに、私……ひどいことをしてしまって……」
 後悔とか、未練とか、そんなんじゃない……
こんな私を、受け止めてくれるのは、将吾しかいない気がするの……
「……甘え、られないの……」
「俺に?」
「うん」
「どうして?」
「わかんない……」
 慶太は、私のおでこに、彼のおでこをくっつけた。
「じゃあ、俺も、甘えていい?」
慶太も……同じ?
「カッコつけるの、疲れちゃった」
慶太は微笑んで、私を抱きしめた。
「ダサい俺のこと、嫌いにならない?」
「うん」
「杉本のことさ、好きでもいいからさ」
「私が、他の人のこと、好きでもいいの?」
「ダサいけど、それでもいいんだ、俺。それでも、お前にいて欲しいんだ」
慶太……そんなに、私のこと……
「慶太、私……」
さっきのこと、言うか迷ったけど、もう、きっと、わかってるよね……
「ごめんなさい」
「俺が悪かったんだ。俺、ダメなヤツだからさ。ずっと、お前を傷つけてきた。だから、杉本みたいに、まっすぐお前のこと、愛してた男に気持ちが戻るのも、仕方ない」
そんなんじゃないの……悪いのは私なの……
「すぐにとは言わないから、俺のこと、信じてくれ。俺、もう絶対、真純が悲しむようなこと、しないからさ」

 胸が、痛い。心臓が、締め付けられる。息が、苦しい。
どうして、こんな私に、みんな優しくしてくれるの?
こんな、ワガママで、バカな私なのに……

 私なんて、誰からも愛される資格のない、人間なのに……

「俺さ、ずっと、杉本からお前を奪ったこと、重荷に感じてた」
 そう……だったんだ……
「杉本に、言われたんだ。真純のこと、大切にしてくれって。俺の代わりに、守ってやってくれって」
将吾が? そんなことを?
「なのに、俺は、約束を守れなかった。お前のこと、傷つけてばっかりで……あの夜のこと……本当に悪かった」
あの夜……乱暴に、した夜のことよね……
「もう、そんなの、いいの」
 正直に言うと、私は、あの時、そんなに傷つかなかった。
それどころか、ちょっと嬉しかった。初めて、あんなに、慶太が私に気持ちをぶつけてくれて、嬉しかった。
でも、あの頃の私は、素直になれなくて、寝室を出て、鍵をかけた。傷ついたのは、きっと、慶太のほう。

「将吾のとこ、行ったのね……」
「ああ。お前が出て行って、もう、ダメだなって、俺にはもう、無理だって、謝りに行ったんだ……でも、言えなかった。杉本は、お前とよく似た女と、一緒になってて……兄妹だとか、言って……」
知ってたんだ……慶太も、そのこと……
「もっと早く、話せればよかったな」

 言葉が足りないのは、私だね。
言って欲しいことを、言えばいいんだよね。
言いもしないで、受けとめてくれない、なんて……勝手よね、私。

 ねえ、慶太。私ね、本当はね……あなたに、甘えたいの。
甘えてもいい? 私、キャリアウーマンでも、なんでもないの。
本当はただの、普通の、アラフォーのおばさんなの。
普通の……『女』なの……

「慶太にね……もっと、甘えたいの」
「甘えてくれよ、思う存分」

「慶太、私ね……もう、会社……疲れたの」
「そうか。無理、しなくていいよ」

「お休みの日はね、ベッドでね、ゴロゴロしたりね、パジャマで過ごしたりしたいの」
「じゃあ、今度の日曜日は、そうしようか」

 優しい笑顔。
 優しい声。
 優しい言葉。

 優しいね。慶太、あなたはずっと、優しかった。こんなワガママな私に、ずっと、ずっと、優しい。
 
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