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第1章

頼る。

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(やばい…。俺にはどうすることもできてないぞ。そうだ!)


「レイ!時計!時計かしてくれ!」
「え、あ、はい。」

「もしもしー、レティシア。ちょっと困ったことがあって…」
「どうかしたの?」
「実は、人狼ゲーム的な感じになって。でも、外から来た俺達じゃ何もできなくて。」
「むーん、なるほどぉ。命懸けって訳か。追放や、襲撃されて、死んだ場合は生き返らせよう。成功率は低めだけど、ただ死んでいくよりはましでしょう。」
「ありがとう!でも、俺が何もできないのが悔しくて…」
「そこは臨機応変にごんばれー。」
「わかった。」
「じゃあねぇ~?」
「あ、ちょっと念のため、懐中時計繋いだままで頼む。」
「オッケー。」
臨機応変に、か。むずい。
 
取りあえず、成り行きを見てよう。

「……今はランダムにしか、投票できない。投票は、やめにするべきだと思う。」
カエデが冷静に言った。
「俺はそうは思わない。危険なものは減らすべきだ。」
セダムが言う。
「ちょっとまてぃ!」
「あ?てめえは何だ?」
レイドが睨み付ける。
「俺は冥界の神、レティシア様の使い、ハルトだ!」
「レティ、シア…?」
(よしよし、レティシアの名前を出したことでビビってるぞ。虎の威を借る狐作戦、大成功だポン!)
「誰だそりゃ??」
「ティナ、知ってる?」
「いや。」
「俺も知らないな。」
「わしゃあしらないね。」
「!」
カエデだけは驚いていたような気がしたが、その他の人はポカンとしていた。
「あ、あれ?もしかして聞こえなかった?」
「いや、聞こえてたぜ?レ…なんだっけ?の使いだっけか?」
「………あれぇ?レティシアさん。もしかして、そんな有名じゃない…?」
「あ、あはははは…」
実際にレティシアは見えないが、目が泳いでいるだろう。

「で、話の続きだけど。何?」
マリンが促す。
「追放や、襲撃にあったひとが、もし狼じゃないなら、生き返る可能性がある。神様が遣ってくれるんだ。」
「すごい…。」
俺が聞いたリーフの始めての一言だった。ていうか存在忘れてた。
「でも、可能性は低いらしい。だから、あまりそれにたよりすぎないでほしい。」
「わかった。ありがとうございます。レなんとか様。」
「………レなんとか様って……」
「神様として、名前を覚えてもらえないのは辛いよな……」
「言いあだ名ね!」
「そう来たか!」
「それでは、投票1時間前じゃ。くれぐれもふざけないように。」
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